2015年6月11日木曜日

[62] 新スタート!結婚・子育て資金の一括贈与の非課税 H27/4月~【国内税務】 

♪ 資産移転で経済の活性化 *ゼクシイ調査結婚費用333万円~?! ♪
  

     

◆結婚・子育て資金の一括贈与の非課税創設
平成27年4月より「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税」制度がスタートしています。これはいうなれば「教育資金の一括贈与」の ⇒ 「結婚・子育て」版です。信託協会によれば平成26年12月現在の教育資金贈与信託の契約数は101,866件、信託財産設定額合計は6,973億円だそう。「高齢者資金を若年世代に移転する」という政策意図に見事にはまったものといえるでしょう。このような「成功例」もあり、今回の税制改正で「結婚・子育て資金」の非課税制度の創設が開始されたのです。

◆「通常額」を「その都度」支出する場合
 もともと、扶養義務者から「生活費」又は「教育費」として贈与を受けた場合には、
①金額が通常必要と認められるものであり、
②必要の都度「生活費」「教育費」に充てられるものについては、
⇒ 贈与税の非課税とされています。

ととえば、
1.父母・祖父母が、子・孫の婚姻後の生活を営むために必要最低限の家具等の購入資金として贈与した資金もこれにあたります。
2.親が、子や孫の結婚式や披露宴の費用を負担した場合も、内容や招待客との関係、地域の慣習の事情に応じて、負担分担されている場合も贈与に当たらないこととされています。

◆「一括贈与」のニーズの高まり
  しかし、今年3月までは「将来の結婚のために渡しておきたい…」という場合は、「通常額をその都度」という要件にあたらないため、贈与税の課税対象となっていました。今回の改正では、このような「一括贈与」でも非課税にしようという新制度となったのです。

◆非課税にするための要件は?
非課税にするための要件を前回につづき再度記載します‼

(1)贈与者である親・祖父母が、金融機関に受贈者である子・孫(20歳~50歳未満)の名義口座を開設し、
(2)その口座に結婚・子育て資金を一括して拠出した場合(現金預入のほか、その資金で有価証券の購入でもOK)、
(3)子・孫ごとに1,000万円を非課税とする。
(4)贈与者死亡時の残高は相続財産に加算するが2割加算はない。
(5)受贈者が50歳に達する日に口座は終了し残高があれば贈与税を課税する。
(6)金融機関の営業所を経由して「結婚・子育て資金非課税申告書」を提出すると1000万円まで非課税。
(7)適用期限は、平成27年4月1日~平成31年3月31日までです。

 ***** ひとりごと *****
今年の資産税改正では、世代間の資産移動が無税でできるようにとの配慮がされており、柔軟的に組み合わせていけると相続税の節約にもつながる可能性大です!

たとえば簡単には次のようなもの・・・
★住宅取得資金贈与の非課税枠が拡大
…限度額について住宅取得等に消費税10%が適用される場合で一定の住宅取得には非課税枠は最大3,000万円。
★教育資金贈与の追加
…対象である教育資金の範囲に、通学定期代・留学渡航費が加えられます。
★非上場株式に係る納税猶予の見直し
…非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予につき、事業承継の円滑化の観点から贈与税の納税義務が生じないような改正で、具体的には、1代目が存命中に、2代目が3代目に株式を贈与した場合(3代目が納税猶予制度を活用して再贈与を受けること)には猶予されていた贈与税の納税義務が免除される等の改正です。
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■一方、冷静な世論は、・・・・

<資産を持たない中間所得者層以下にとっては、今年からのこの“結婚養育費贈与”非課税制度は無縁な制度であり、以前からある“教育資金贈与”非課税制度も最初から「カネ持ち優遇税制」との強い批判がある>と言っています。
リクルートグループのゼクシィの調査では、結婚式にかかる費用は挙式・披露宴で平均333万7,000円とまだまだ高額になっており、今回創設された“結婚・子育て資金贈与”非課税制度も、こうしたカップルにはもってこいかもしれませんが、そうでない家庭のカップルにとっては、あってもなくてもよい制度である、と手厳しいです。
            
極端に言えば「ゆりかごから墓場まで」お金持ちが優遇される政策が蔓延する先にあるのは、経済的格差社会が広がる事ではないか世論は伝えておりますが、私はそれがすべてではない気がしますけどね^^♪

さて、そもそもの制度の創設趣旨ですが、“ 両親や祖父母の資産を早期に移転することを通じて、消費を活性化し、子や孫の結婚・出産・育児を後押しする!”となっています。
たしかに前者2つはそう言えるかもしれません。しかし実際には、もらった1,000万円はすぐに消えるでしょう。その時はまた贈与❓ 
ましてお金で後押しされた結婚と出産?! それもそれでどうかと思うのですが(汗)…。  
                                                       
【執筆者: 金田一希世美 税理士・CFP・FP1級技能士】

Webサイト | http://et-inc.jp

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