2016年11月7日月曜日

[206] 相続税の20%加算と養子【国内税務】

相続税で特に多く指摘される項目
◆指摘が多いのは2割加算
 相続税の基礎控除引き下げにより、課税対象者が大幅に増加しました。国税庁では申告書の内容に誤りがあると疑われる場合に、納税者に文書を送付し申告書の見直しを促していますが特に指摘の多いのが「相続税額の2割加算」のようです。


◆相続税額の2割加算
「相続税額の2割加算」とは、相続又は遺贈により財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の人である場合に、相続税額を2割加算するとするものです。一親等の血族とは父母や子を指すので、それ以外のいわゆる被相続人の兄弟姉妹が相続等で財産を取得した場合や、血縁関係がない者などに遺贈があった場合には割増し加算があるのです。

 また、孫も2割加算の対象ですが、被相続人の子が相続開始以前に死亡するなどし、代襲相続人となっている場合には2割加算は不要となります。
◆一親等の法定血族でも孫養子は
  一親等の血族には「養子」も含まれますが、例外があり、被相続人の直系卑属で被相続人の養子になっている者、つまり“孫養子”は2割加算対象外に含まれません(代襲相続人は除く)。「養子」に2割加算はないが、“孫養子”に限っては2割加算があるというこの取扱いのところに間違いが多いようです。

◆孫養子類似の一親等の法定血族だが
  国税庁の質疑応答事例に「被相続人の直系卑属でない者が養子となっている場合」の事例があり、ここでは「子の配偶者」が養子となっている場合に2割加算がないことを示しています。すなわち、“孫養子”以外の「養子」は一親等の血族に含まれるため、例えば、「孫の配偶者」や「養子の養子縁組前の子(養子 
の連れ子)」が養子となっていても2割加算は不要です

◆代襲相続でも2割加算される例
  国税庁の質疑応答事例には、代襲相続した孫やひ孫で、遺贈があるので代襲相続人の地位を放棄した場合、この相続放棄者には2割加算除外の適用がない、という珍事例も紹介しています。(代襲相続の規定では放棄をなかったものとするとしていない。)

※上記の記載内容は、平成28年7月1日現在の情報に基づいて記載しております。今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
【執筆者:Kyosann 税理士・CFP・FP1級技能士】Webサイト | http://et-inc.jp

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