2015年1月29日木曜日

[24] 「信書」問題に関する時代と規制【規制】

ヤマト運輸が本年度末をもってメール便を廃止するようです。

理由は配達する書類について信書か否かを判断するのが難しいためとのこと。
郵便法によれば「信書」とは「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」だそうで、見積書や納品書、招待状や戸籍謄本などが信書に該当し、郵便法による規制を受けます。一方で論文、小切手、クレジットカードなどは信書ではないため誰でも配達可能です。
一見、信書ではない方が価値が高く規制が必要なようにも見えますが、そうでなくとも見積書や納品書などは、すでにWEBでやり取りされている時代なのに、このような規制って意味があるんでしょうか。安倍政権では規制改革をテーマとしているので、とりあえずこのようなくだらない規制はさっさと止めてほしいですね。
【執筆者:公認会計士・税理士 青木重典】

2015年1月26日月曜日

[23] 会社法改正のポイント①:中小企業編【法務】

2014.6.20に、会社法(平成十七年七月二十六日法律第八十六号)の一部を改正する法律が成立し、2015.5.1から施行されます。

改正法は、多岐に亘っており、ビジネスに与える影響が大きいと予想されています。よって、3回に分けてポイントのみ解説致します。1回目は、「中小企業」にも影響があるポイントに絞り解説致します。
改正1:監査役の監査範囲を会計監査に限定している場合の登記義務
 定款で株式の譲渡制限を定めている株式会社は、定款で監査役の監査の範囲を会計監査に限定する旨定めることができます。改正法において、監査役の監査の範囲を会計監査に限定する場合はその旨を登記することが義務づけられました(会社法第911条3項17号)。当該登記は、改正会社法の施行後最初に監査役が就退任(重任を含む)する際に行う必要があります。
改正2:多重代表訴訟制度
 改正法では、従来の株主代表訴訟に加え、新たに親会社の株主が子会社の役員の責任について一定の要件を満たせば株主代表訴訟ができる制度(多重代表訴訟制度)が設けられました(同法第847条の3第1項)。
改正3:社外役員(取締役・監査役)の資格要件の変更
 社外役員については、要件が厳格化され、親会社や兄弟会社の関係者でないことや(同法第2条15号ハ、16号ハ)、関係者の近親者(配偶者または2親等内の親族)ではないことが必要となりました(同法第2条15号ホ、16号ホ)。また、過去10年間当該会社または子会社の業務執行取締役等でなかった者は社外取締役になることができるようになりました(同法第2条15号ロ)。
改正4:責任限定契約を締結できる取締役・監査役の範囲の拡大
 業務執行取締役・執行役または支配人その他使用人でない取締役と全ての監査役は、会社との間で責任限定契約を締結することが可能になりました。これに伴い責任限定限度額も、業務執行をしていたか否かで区分する形に変更されました(同法第425条1項)。
改正5:株主名簿等の閲覧等の拒絶事由の削除
 株主名簿等の閲覧等の拒絶事由であった「請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、またはこれに従事するものであるとき」が削除されました(同法第125条3項、252条3項)。


次回も引き続き解説致します。なお、詳しい内容は、法律の専門家にお問合せ下さい。
【執筆者:公認会計士松澤公貴】

Webサイト/www.jp-kmao.com
<関連記事>
会社法改正のポイント②:公開会社編【法務】(
http://keiei-economy.blogspot.jp/2015/02/25.html
会社法改正のポイント③:M&A編 【法務】(http://keiei-economy.blogspot.jp/2015/02/28-m.html)

2015年1月22日木曜日

[22] 外国人観光客の購買力を経済成長の足掛かりに【国内政経】

日本政府観光局は、2014年に日本を訪れた外国人数(推計値)が前年比29.4%増の13,413,600人だったと発表しています。


円安で日本への旅行が割安となったほか、東南アジアの訪日ビザ緩和、2014.10からの消費税の免税対象拡大を追い風に、2年連続で過去最多を更新したようです。また、観光庁によると、2014年に外国人が買い物や宿泊等を通じ日本国内で消費した総額も、43.3%増の2305億円と過去最高になったようです。

以前から日本政府は「観光立国」を掲げ、「東京五輪開催2020年までに20,000,000人、2030年までに30,000,000人」の外国人観光客誘致を目標としています。日本の人口減少が続く中、日本にやってくる富裕層外国人観光客の消費誘致、地方への誘導は日本の経済成長、景気刺激策にも欠かせない重要な戦略のひとつとなりつつあるのでしょう。
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士 松澤公貴】
Webサイト/www.jp-kmao.com

2015年1月19日月曜日

[21] スイスフランの急騰と教訓【国際政経】

先日、スイス国立銀行が自国通貨の上昇を抑えるための為替介入の中止を発表しました。

これによりスイスフランは対ユーロで約30%上昇し、為替市場だけでなく株式市場にも大きな影響を与えました。FXで多額の損失が出た人もいるようですが、FX業者の倒産まで起きるとはその影響の大きさがうかがえます。
日本でも現在金融緩和により円安誘導が行われていますが、これを永久に続けることはできずいつかはやめなければなりません。いずれ同じようなことが日本でも起きるということを覚えておかなければいけないですね。まあ金融緩和を止めれるほど景気回復ができればそれでもいいですが。。
【執筆者:公認会計士・税理士 青木重典】

2015年1月15日木曜日

[20] 「ひつじ」がある会社【経営】

今年はひつじ年ですが、決意を強くし未年の平成27年を迎えるだろうと推し量ることができるようにと、社名に「ひつじ」を取り入れた会社設立が目をひきます。
「羊」や「未」、「HITSUJI」など、「ひつじ」と読ませる文字を商号に含んだ会社・個人事業所は全国に226社あるそうです。これは東京商工リサーチが独自の企業データベースで把握できた会社を集計したもの。そのデータベースには239万7355社があるということですから、割合自体はそれほど高くありませんね。
一番多く使われている文字は「羊」(144社)、次いで「ひつじ」(72社)、「ヒツジ」(8社)、そして「HITSUJI」と「未」(ともに1社)でした。都道府県別ではやはり企業数が多い東京がトップの34社でしたが、それに続いたのが北海道の29社。「羊ヶ丘」「羊蹄山」などの地名・名所があるほか、緬羊牧場が多いことも影響したようです。
干支関連の屋号の会社より短いサイクルで「自社の年」が訪れるのが、オリンピックにちなんだ会社。東商リサーチの1年前の調べによると、「オリンピック」にちなんだと思われる社名の企業は全国に168社あるそうですよ。平成27年を会社の「飛躍」や「再生」の年にするため、会社の〝顔〟でもある「社名」を決めたときの気持ちを思い出しながら決意を新たにしたいところです。
***** ひとりごと *****
干支を社名にするなんて、おもしろい発想ですね♪ 通常、経営は1事業年度で管理されるので、経営計画や社歴を考えるのは10年単位です。しかし12年をひとくぎりとしてバイオリズムをつくるのもおもしろいかもしれませんね^^次のひつじ年になると初心にもどる!… あっ、まず12年はがんばらないとですね~^^
【執筆者:金田一希世美 税理士・CFP・FP1級技能士】Webサイト/
http://et-inc.jp

2015年1月13日火曜日

[19] 技術の海外流出防止のため不正競争防止法の改正へ【法務】


企業の「営業秘密」を漏えいしたときの罰則を厳しくする不正競争防止法の改正作業が進んでいますのでご紹介します。

2014.11末、経済産業省の有識者による委員会で、不正取得の未遂行為を新たに処罰対象とすることや、罰金引上げなどが了承され、政府は2015年の通常国会に改正案を提出、2016年度にも施行する方針のようです。なお、不正競争防止法は、企業の「営業秘密」を不正に外部に持出したり、外部の者が取得したりすることを禁じる法律で、日本企業の独自技術などの「営業秘密」が海外企業から狙われる例が増え、特にITの発展により情報が漏れる機会が増加し、政府は、日本産業の国際競争力を守るため制度改革が必要と「遅まきながら」判断したようです。営業秘密に係る近年の主な事件は、
※ 2012年:新日鉄住金が、韓国の鉄鋼会社、ポスコに対し高機能鋼板の製造技術を不正に取得したとして東京地裁に提訴。
※ 2014年:東芝が最先端の半導体技術を不正に韓国メーカーに流出されたとして同じく東京地裁に提訴(2014.12.19東芝が和解成立と発表)。
※ 2014年:横浜地検が、日産自動車の秘密情報を不正にコピーして転職先の会社に持込んだとして、元社員を在宅起訴。
※ 2014年:ベネッセが顧客情報流出し社会問題化、刑事事件に発展。
などがあります。「営業秘密」を漏えいを防止するためには、法改正のみでは限界があります。企業自身も子会社を含めて再度情報管理体制を改めて点検・強化することも必要となるでしょう。なお、法改正の詳細内容はまたの機会に解説致します。
【執筆者:公認会計士松澤公貴】Webサイト/
www.jp-kmao.com

2015年1月8日木曜日

[18] 2015年世界10大リスク【国際政経】

国際政治学者のイアン・ブレマー氏をご存じですか。アメリカの調査会社、ユーラシア・グループの社長で毎年世界10大リスクを発表しています。昨年は原油価格の下落などを予想していました。当たっているかどうかわからないものも結構ありますが、今年2015年下記のとおり「ヨーロッパの政治」が1位、「ロシア」が2位とのことです。

(1) 「ヨーロッパの政治」:ヨーロッパでは反EU勢力が台頭していることに加え、各国の中でも現政権への不満が高まっている。また、ロシアや過激派組織「イスラム国」など外的な不安定要因も高まっており、このため、ヨーロッパの政治が国際情勢の最大のリスク要因となっている。
(2) 「ロシア」:経済制裁と原油安でロシアの経済状況が悪化するなか、西側諸国との対立がさらに進めば、ロシアがサイバー攻撃やNATOとの境界付近での武力による威嚇行為が活発になる可能性がある。
(3) 「中国経済減速の影響」:中国経済の見通しは楽観的だが、原油などの資源価格が下落するなかで、中国への輸出に依存してきたブラジル、オーストラリア、インドネシアやタイなどの資源国は経済的に大きな打撃を受けることになる。
(4) 「金融の兵器化」:アメリカはロシアやイランへの制裁の手段として軍事力に代わって金融を武器として多用している。これが結果的にIMFや世界銀行などの世界の金融システムが弱体化するリスクがある。
(5) 「イスラム国」:「イスラム国」の影響力がイラクとシリアだけでなく、ほかの中東や北アフリカの国々にも広がり、欧米諸国がこうした勢力を抑込むことは一層難しくなる。こうしたなかで、欧米諸国と協力するスンニ派が多数を占める国々で「イスラム国」は特に支持者を増やし、リスク要因となる可能性がある。
(6) 「力を失った指導者たち」:ブラジルや南アフリカ、トルコなどの新興国の指導者にかつてのような求心力がない。これによって生じる新興国の混乱は世界全体の経済成長や政治の安定を妨げる可能性がある。
(7) 「戦略部門の台頭」:経済成長よりも政治の安定を重視する傾向が強まり、ロシアや中国だけでなくアメリカにおいても、安全保障に関わる情報通信や金融など戦略的な部門で政府の介入が強まり、企業活動が制限されるようになる可能性がある。
(8) 「サウジアラビア対イラン」:シーア派のイランとスンニ派のサウジアラビアの対立がさらに顕著になる可能性がある。核開発問題を巡るイランと欧米との協議が決裂すれば、イランが反発を強めて地域のバランスを変え、中東全体で宗派間の対立の激化を引き起こすリスクが高まる。
(9) 「中国と台湾の関係悪化」:中国政府が台湾を経済的に取り込む政策が進まないと判断した場合、すでに合意した台湾との貿易協定を撤回するなど強硬姿勢に転じる可能性があり、それに伴いアメリカと中国の関係にも影響を与える可能性がある。
(10) 「トルコ」:エルドアン大統領が強権的に押し進める政策がことごとく裏目に出ており、「イスラム国」の台頭によって不安定になっている中東情勢をさらに混乱させる要因となる可能性がある。
やはり、ヨーロッパの政治情勢が世界の政治経済に大きな影響を与えるようです。まずは今月のギリシャの総選挙がどうなるか注目ですね。
【執筆者:公認会計士・税理士 青木重典】

2015年1月5日月曜日

[17] 所得税申告漏れのワーストは風俗業【国内税務】

《新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします》さて、年末年始は楽しく飲む機会が増えるものです。カードで決済せずに現金で支払う場合が多いようですね。今回は身近な税の話題です。
◆平成25年度の所得税調査で発覚した申告漏れや所得隠しといった不正について、1件あたりの申告漏れ所得金額が高額だった業種は、1位「風俗業」、2位「キャバレー」、3位「バー」の順でした。このワースト3は前年度と全く同じ順位です。風俗業の申告漏れ所得金額は3,329万円。キャバレーは1,972万円、バーは1,226万円でした。
◆これらは基本的に現金商売ということもあって、毎年不正が発生しやすい業種です。1件あたりの申告漏れ所得金額でワーストだった風俗業の無申告が発覚したケースを見てみましょう。知人同士で風俗店を営業していた3人(A~C)が、その所得を隠蔽したケースが25事務年度に発覚しています。
A、B、Cは思惑・利害が一致。「儲けを全員が申告しなければ税務署にばれない」という考えの下で申告しませんでした。さらに、Aの妻が代表を務める法人から、Bに対して「原稿料」を支払っているかのように装いました。Bはその法人から受け取った源泉所得税未納の支払い調書を使って、文筆業として還付申告書を提出し、不正に還付金を得ていたそうです。
◆このほか、「くず金卸売業」(前年度7位)、「特定貨物自動車運送」(同15位)などが続きました。前年度5位の「人材派遣業」はランキング10位以内から外れています。
***** ひとりごと *****
以前は、風俗業以外にも美容院やおそば屋さんなど現金決済の個人事業店には、“こんばんは税務調査”が多かったですね。朝から玄関近くに隠れた調査官が来店客数と売上額を目算していて、閉店ごろ“こんばんは~今日の売上とレジ金みせてください~。”なんてやってくるんですよ。さすがにこのような調査は最近は行われていませんが、カードで決済では脱税行為はできませんのでこのほうが明朗納税になりますね^^明朗会計・明朗納税で新年も楽しく飲食しましょ~!
【執筆者:金田一希世美 税理士・CFP・FP1級技能士】
Webサイト/http://et-inc.jp/