2014年12月25日木曜日

[16] ”STAP細胞はありません”では済まされない。相次ぐ研究不正・論文不正にようやく声明。【国内不祥事】

相次ぐ研究不正や論文不正が発覚し、発覚後も調査の不十分さや関係者の処分がなされていないケースが目立ち、日本の研究への信頼回復に向けて、対応が注視されていました。
このような状況のもと、日本学術会議と国立大学協会、公立大学協会、日本私立大学団体連合会の三大学団体は2014.12.11に共同にて、「科学研究の健全性向上のための共同声明」を出しましたのでご紹介致します。
http://www.scj.go.jp/kohyo-23-261211.pdf
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1.大学等の研究機関は、世界における研究活動の中心の一つとしての役割をさらに高めていくため、研究活動における不正行為、研究費の不正使用を許さず、世界の範たる健全な研究を遂行する。もし疑惑が生じた場合には、第三者の協力を得つつ、組織の責任として、適切な方法で迅速・的確に対処する。 
2.研究活動における不正行為、研究費の不正使用の防止には予防的な措置が不可欠であり、大学等の研究機関は、すべての研究者が健全な研究活動を実践できるよう、広く研究の倫理を含めて、適切な学習プログラムの履修を義務付けるとともに、これらが実効性あるよう、継続的に評価・審議していく。 
3.大学等の研究機関及び日本学術会議は、我が国の科学者コミュニティの主要な一員として、研究活動における不正行為、研究費の不正使用に対する厳正な対処・予防のための学習プログラムの開発と普及に向けて相互に協力し、我が国の科学研究に対する国内外の信頼を高めるために全力で取り組む。
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不正調査に携わる者として、日本人として、今後当該不正が発生しないよう全力で取り組んで頂きたいと思います。また、不幸にして不正が発覚した場合には、第三者を交えて適切な調査、処分並びに是正措置の実施を希望します。
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士 松澤公貴/
www.jp-kmao.com

2014年12月22日月曜日

[15] 税理士、会計士がいない国【国際政経】

エストニアってご存知ですか。
バルト三国の1つで面積は小さいながら三国の中では財政的に優れているそうです。その理由は「eガバメント(電子政府)」で、国民DBを確立し、ICチップの入ったIDカードにより各種行政サービスは当然のこと、選挙の投票までスマホでできるとのことです。さらに、このDBは国民の銀行口座まで把握でき、税金も自動計算となることから個人だけでなく企業も納税申告する必要がないのだそうです。
そのため税理士や会計士という職業は不要となり、職業として存在しないという事態になっているようです。国の状況が変われば自分の職業もなくなってしまう可能性があることにちょっとショックを受けましたが、日本がここまでになるのは当分先の話だと思って気楽に生きていこうかと思います。
【執筆者:公認会計士・税理士 青木重典】

2014年12月18日木曜日

[14] My numberが始まる!事前準備は着々と【国内税務】

◆社会インフラとしてのマイナンバー
 マイナンバー法が成立(H25/5/31公布)したことにより、情報化社会のインフラが整備されることになります。マイナンバーは、個人と法人に付与されますが、個人については「社会保障分野」、「税分野」に利用範囲を限定して導入されます。法人については、広く一般に公表されることになっているので、官民問わず様々な用途で活用される予定となっています。


◆導入スケジュール
 現在のところ、H27/10から個人番号・法人番号の通知、H28/1から順次、社会保障、税、災害対策分野で利用開始することが予定されており、所得税の申告についてはH28年分の申告書から、法人税の申告についてはH28/1以降に開始する事業年度に係る申告書から、法定調書についてはH28/1以降の金銭等の支払等に係るものから、また、申請書等についてはH28/1以降に提出すべきものからマイナンバーの記載が開始されることになります(公的年金の源泉徴収票、報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書、配当等の支払調書等、国外財産調書も同じくマイナンバー記載をする様式変更が行われます)。

◆源泉徴収票はA6からA5へ
 H27/7に所得税法や法人税法、相続税法など改正が公布されることにより、法定調書にマイナンバーを記載するようにするための様式改正が行われます。現在の源泉徴収票には情報がギッシリ詰め込まれるので、従来様式の手直しでは対応しきれなかったという事で、現在の「A6判」を倍の「A5判」にした上で、本人及び扶養親族等のマイナンバーの記載をすることになりました。

 ***** ひとりごと *****
 国民すべてに個別の番号を振り、その番号で納税などを一元管理する共通番号制度は、行政の効率化につながりますが、今までもプライバシー侵害の懸念が何度も廃案になってきています。ネット取引では通常、パスワードを定期的に変えることでセキュリティーが保たれますが、それを膨大な個人情報につながるいわばパスワードとも言うべき「共通番号」を生涯一つに固定し、手続きや取引に使い回すというのですから制度として危険?「先行する海外で見直しが始まっているなか、日本で導入を強行するのはアナクロニズムそのものとの意見も。。。個人の所得も病歴の収集分析も簡単にされるかもです。一方1兆円規模のコストがかかると言われる中、ITベンダーには住基ネット以上の巨大な特需をもたらす事でしょう。      
【執筆者: 金田一希世美 税理士・CFP・FP1級技能士】

2014年12月15日月曜日

[13] 今年の漢字は「税」/H26年度税制改正(接待飲食費概要解説)【国内税務】

忘年会シーズン真っ只中、1年の世相を表す「今年の漢字」がH26/12/12、清水寺貫主の揮毫により発表されました。
そこで今回は、H26年度税制改正の一部をお浚いします(詳細は、国税庁HPをご覧下さい)。
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 改正前における交際費等の損金不算入制度は、次のとおりでした。
[1] 中小法人以外の法人:支出する交際費等の全額が損金不算入
[2] 中小法人:支出する交際費等の額のうち年800万円(以下、「定額控除限度額」)を超える部分の金額が損金不算入
 H26年度税制改正では、この交際費等の損金不算入制度について、その適用期限をH28/3/31まで2年延長するとともに、交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除く。以下、「飲食費」)であって、帳簿書類に飲食費であることについて所定の事項が記載されているもの(以下、「接待飲食費」)の額の50%に相当する金額は損金の額に算入することとなっています。なお、中小法人については、接待飲食費の額の50%相当額の損金算入と、定額控除限度額までの損金算入のいずれかを選択適用することができ、定額控除限度額までの損金算入を適用する場合には、確定申告書、中間申告書、修正申告書又は更正請求書に定額控除限度額の計算を記載した別表15を添付する必要があります。
(注1)「社内飲食費」は、飲食その他これに類する行為のために要する費用であって、専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するもの。
(注2)1人当たり5,000円以下の飲食費で書類の保存要件を満たしているものについては、交際費等に該当しない。
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お酒は飲み過ぎても、税金の払い忘れに留意しましょう。
【執筆者:公認会計士松澤公貴/
www.jp-kmao.com

2014年12月11日木曜日

[12] 国債の格付けの引下げ【国内政経】

最近格付け会社が相次いで日本の国債の格付けを引下げています。
通常格付けが下がると国債が売られ、金利は上がるものですが、今は日銀が国債を買い入れているため金利への影響も限定的となっているようです。市場が混乱しないのはいいことですが、このような状況は正常ではないのでこれが続けばいつか取返しのつかないことが起こるのではと心配です。日本政府には米国のようにうまく対応してほしいものです。それにしても格付けが韓国よりも低く、チェコと同じというのは釈然としませんね。
【執筆者:公認会計士・税理士 青木重典】

2014年12月8日月曜日

[11] おさえておきたい贈与税~今年と来年の精算課税の違い~【国内税務】

◆相続時精算課税の制度とは
 贈与税本来の暦年課税方式(超過累進税率)にかえて、一律20%の税率と特別控除2,500万円がある相続時精算課税制度の適用を受けることができるという制度です。


◆H27年以後の贈与の相続時精算課税の改正
 来年(平成27年)から贈与税改正があることをご存知の方の中には、親族間の資産移転を来年にしようかと考えている方もいらっしゃるかもしれません。今回は、来年(平成27年)以降の贈与から適用される相続時精算課税制度の改正点について確認します。
◆H26年までの相続時精算課税制度
 この制度の適用を受けることができる受贈者・贈与者の要件は次のとおりです。
  (1) もらう人は、
 贈与者の推定相続人(子と、孫でもその代襲相続人のみ)のうち、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること。
  (2) あげる人は、
 贈与をした年の1月1日において65歳以上である者であること。また、この制度を受けようとする(1)は、贈与税の申告期限内(通常は翌年3/15まで)に「相続時精算課税選択届出書」を税務署まで提出します。
◆H27年以後の贈与の精算課税制度
 このもらう人、あげる人の要件が平成27年1月1日以後の贈与から、次のとおり拡充されることになりました。
  (1) もらう人要件の拡充
 あげる人の孫は、H26年までは子の代襲相続人としてあげる人(=孫)ケースでのみが精算課税の適用対象でしたが、H27年からは、その年の1月1日において20歳以上である「孫」であれば、精算課税の適用を受けることができるようになりました。
  (2) あげる人要件の拡充
 改正前の「65歳」の年齢要件が「60歳」に引き下げられました。
 
 この改正により、平成27年からは60歳を迎えたばかりの祖父母が、20歳以上の子・孫の両者に相続時精算課税を適用することができることとなります。具体的には、平成27年以後であれば、昭和30年1月2日以前に生また祖父母が、平成7年1月2日以前に生まれ孫に贈与するケースでも、この制度の適用を受けることができます。つまり、来年の方が適用枠はひろがり税金の面からは柔軟的な検討ができそうです。
【執筆者: 金田一希世美 税理士・CFP・FP1級技能士】

2014年12月4日木曜日

[10] 相次ぐ政治資金問題と政治資金監査制度の問題点【国内不祥事】

「政治資金規正法」が2007/12月に改正され、国会議員関係政治団体については、あらかじめ、収支報告書、会計帳簿、領収書等について、登録政治資金監査人(政治資金適正化委員会の登録を受けた公認会計士等)による政治資金監査を受けることが義務付けられており、私自身も登録政治資金監査人です。
しかしながら、政治とカネのスキャンダルは後を絶ちません。これは、「国民の不断の監視と批判」に堪える制度として導入された政治資金監査制度にまだまだ乗り越えなければならない問題点が存在するからだと思料します。
第一に、現行制度では、監査対象となる範囲が、「支出」のみに限定され、「収入」及び資産や負債の「残高」は監査の対象となっていません。第二に、現行制度では、登録政治資金監査人は、監査対象につき適正性、適法性について意見を言うことはできません。例えば、政治活動とは無関係な事象(例:家族旅行、SMバーetc.)に支出しても領収書が存在すれば問題なく、政治活動との関連性は問えないことになっています。
このような点を踏まえると、政治資金監査制度は、通常公認会計士が実施する財務諸表監査とは「似て非なるもの」なのです。
ある政治家は、自身のスキャンダルの報道に対し「公認会計士を入れて、きちんと税務処理をしており、何の問題もない。」と回答しています。政治資金監査制度の問題点を理解すれば、少なくとも「何の問題もない。」とは、回答できないのではないでしょうか。

【執筆者:登録政治資金監査人松澤公貴/www.jp-kmao.com

2014年12月1日月曜日

[9] 石油新時代の幕開け【国際政経】

石油価格の下落が止まらないなか、OPECが減産の見送りを決定しました。2014/6月以降30%も下落しているにも関わらず減産を見送った背景にはシェールオイル(shale oil)の影響があるようです。
シェールオイルとは地下深くのシェール層に埋まっている石油の一種で、技術革新によりアメリカを中心に開発が進められています。これによりアメリカが石油の輸入国から輸出国になることで、石油に関する世界の力関係が大きく変わってくると思われます。これは単に経済の話だけではなく、アメリカがこれまでのように中東に興味を示さなくなるという点で政治面でも大きな転換期を迎えることでしょう。
【執筆者:公認会計士・税理士 青木重典】