2016年10月27日木曜日

[203] 印紙を忘れてペナルテイが3,000万円【国内税務】

兵庫県警の警察官や職員らを組合員とする某金融機関が、課税文書への収入印紙への貼り忘れで、約2,900万円分の印紙税を納めていなかったことが分かりました。その後、印紙税の規定に従い過怠税約3,100万円を納めたものの、もし気付くのがさらに遅れていれば、税負担は9,000万円近くになっていた可能性があるようでした。

印紙税は、不動産契約書や手形、領収書などの法で定められた取引文書について、記載金額に応じた額を納めなければならないもの。印紙税額は5,000万円を超える不動産契約書であれば1通60,000円を超えるため、額の大きい取引を多くこなす企業や団体であれば、印紙税の負担は巨額なものとなります。
兵庫県警信組が、他の信用組合で同様の納付漏れがあったため内部調査をして、疑わしいものがあったので税務署に相談したところ、納付漏れを指摘されたとのことです。
信組が納付していなかったのは、昨年11月までの3年間に扱った住宅ローンの申込書にかかる税金で、印紙税の規定上、住宅ローン申込書はおおむね非課税ですが、同信組の作成した書類は名称が「申込書」であっても実際には契約成立を意味する文言が盛り込まれていたため、課税文書に当たる実質上の契約書と認定されました。
印紙税の納付漏れにかかる過怠税は、納付していなかった税額の1.1倍です。そのため信組は、不納付2,900万円の1.1倍に当たる約3,100万円を納めました。1.1倍というのは、あくまで調査を受ける前に自発的に納付漏れに気付いて納めたときの話で、税務署などの調査によって発覚したケースだと過怠税はなんと当初の税額の3倍になります。もし課税当局の指摘によって初めて気付いていた場合、同信組が納めなければならない税額は2,900万円の3倍に当たる8,700万円となっていたことになります。
【執筆者:Kyosann 税理士・CFP・FP1級技能士】Webサイト | http://et-inc.jp

2016年10月24日月曜日

[202] 「割賦販売法の一部を改正する法律案」が閣議決定【法務】

2016.10.18に「割賦販売法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、臨時国会に提出されます。

本法律案は、近年、クレジットカード番号等の漏洩事件や不正使用被害が増加するとともに、消費者トラブルが増加している現状を踏まえ、安全・安心なクレジットカードの利用環境の整備に向けて、所要の措置を講じるものです。

クレジットカード情報の適切な管理等:販売業者に対し、クレジットカード番号等の適切な管理及び不正使用の防止(決済端末のIC対応化等)の義務付け。         


販売業者に対する管理強化:クレジットカード番号等の取扱いを認める契約を締結する事業者に登録制度を設け、その契約を締結した販売業者に対する調査及び調査結果に基づいた必要な措置を行うこと等の義務付け。

FinTechの更なる参入を見据えた環境整備:

特定商取引法の改正に対応するための措置:特商法の改正により、不当な勧誘があった場合の消費者の取消権等が拡充されたことに合わせ、こうした販売契約と並行して締結された分割払い等の契約について、割賦販売法においても同様の措置。

詳細は、経済産業省のWebサイトをご覧ください(http://www.meti.go.jp/press/2016/10/20161018001/20161018001.html)。
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士・税理士 松澤公貴】
Webサイト | www.jp-kmao.com

2016年10月17日月曜日

[200] 個人型DCの改正【国内税務】

2017年から個人型確定拠出年金(DC)の制度が変わります。節税効果を売り物に、個人の投資行動を促す狙いですが、新しく制度の対象に加わる専業主婦は掛け金に対する所得控除が認められていないなど注意すべき点があります。自民党税制調査会が、専業主婦世帯の税負担を軽減する「配偶者控除」の見直しを検討するなど、今後税制が大きく変わる可能性があるだけに、対象者には慎重な判断が求められそうです。

個人型DCは、
① 掛け金の全額所得控除、
② 運用益の非課税、
③ 給付金の税制優遇措置――の3つの税制優遇措置が最大のメリット。

一方、積立金の運用は加入者自身の責任で行うこと、原則60歳まで引き出せないこと、口座手数料がかかることなど注意点もあります。従来は自営業者や企業年金のない会社員が対象でしたが、今回の制度改正で主婦や公務員、すでに企業年金に加入済みの会社員も対象に加わります。
このうち、所得がない専業主婦では掛け金に対する所得控除が認められていません。控除の対象はあくまで加入者本人の掛け金のみで、社会保険料のように配偶者など本人以外の負担を含めることができないためです。課税所得が500万円ある対象者が毎月23,000円を拠出した場合、節税効果は所得税と住民税の合計で年82,800円。30年間で考えると、積立額828万円に対して248万4千円もの効果がある計算ですが、こうしたサラリーマンなど向けの説明を専業主婦層がそのまま受け止めないよう注意が必要と言えます。
運用益については非課税ですが、利回りや開始時期によって左右される面もあります。3号被保険者である専業主婦には「保険料を支払わなくても基礎年金が受け取れるのは不公平」との議論があり、配偶者控除の見直しが進む可能性もあるため、慎重な検討が欠かせません。
                                                           
出典:エヌピー通信

※上記の記載内容は、平成28年7月1日現在の情報に基づいて記載しております。今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
【執筆者: Kyosann 税理士・CFP・FP1級技能士】Webサイト | http://et-inc.jp

2016年10月13日木曜日

[199] 「監査役の会計監査と監査役スタッフの役割」【経営】

日本監査役協会は、2016.9.29に「関西支部監査役スタッフ研究会「監査役の会計監査と監査役スタッフの役割~会計不祥事の防止に向けた実効性のある監査とは~」」を公表しています。65ページに及ぶ大作で、主な内容は、以下のとおりです。
 


  第1章 監査役監査の役割
  第2章 会計監査及び財務報告内部統制
    第1節 会計監査人が実施する会計監査
    第2節 監査役が実施する会計監査
    第3節 財務報告内部統制
  第3章 近年発生した会計不祥事
    第1節 会計不祥事の類型化と傾向
    第2節 会計不祥事の事例
    第3節 子会社に係る会計不祥事例から
  第4章 会計監査における監査役及び監査役スタッフの役割
    第1節 監査役の会計監査の実態
    第2節 監査役自らが実施すべき会計監査
    第3節 会計監査人との連携
    第4節 会計監査人の評価
    第5節 内部監査部門との連


詳細は、日本監査役協会のWebサイトをご覧ください(http://www.kansa.or.jp/news/briefing/post-370.html)。


【執筆者:公認会計士・公認不正検査士・税理士 松澤公貴】
Webサイト | www.jp-kmao.com

2016年10月6日木曜日

[197] 住宅の貸付けの消費税課税の例外【国内税務】

住宅の貸付けは消費税非課税となることはご存じのとおりなのですが、次のような一部のものは課税されたり、されなかったりすることになりますので注意が必要です。

1.家具付き住宅の場合
家具、照明器具、エアコンなどの住宅付属設備を含めた全体を貸付けの対価として賃貸借契約を締結している場合は、家賃全体を非課税として取り扱われます。

2.1ヶ月未満の住宅の貸付けの場合
住宅の貸付けであっても、ウイークリーマンションなどのように1ヶ月未満の貸付けや、民泊等は旅館業に係る貸付けに該当するため非課税になりません。

3.駐車場付きの住宅の場合
戸建住宅のように住宅の敷地の一部にある駐車スペースは、それも含めた全体が住宅の貸付けとして非課税の扱いとなります。しかし、賃貸用マンションのように必ずしも駐車スペースが住宅と一体でなく独立した賃貸借の目的の施設となっており、駐車料金として住宅部分とは別に定められている場合は、その駐車料金は課税扱いとなります。

4.賃貸借契約の際に発生する付帯収入
住宅の賃貸借契約の際に賃貸人が収受する礼金、保証金の償却や更新料のように賃借人に返還しなくてよい部分は、家賃と同様に非課税として扱います。敷金など返還を必要とする部分はもともと資産の譲渡に該当しませんので、消費税上課税の対象になりません。

5.賃貸中の住宅を売却した場合
売却代金のうち、土地の譲渡対価については非課税ですが、建物部分の譲渡対価に対しては課税の対象となります。住宅の譲渡代金は土地と建物との一体金額で取引されることが通常ですので、その場合はその譲渡代金を土地と建物に合理的に按分する必要があります。

6.共益費や管理費の取扱い
外灯の電気料、清掃費用や庭木の管理費用などのように、共同住宅でその利用者が共通に使用する施設の応分負担として徴収する共益費や管理費は住宅の貸付けの対価の一部として非課税扱いとなります。

※上記の記載内容は、平成28年7月1日現在の情報に基づいて記載しております。今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
【執筆者: Kyosann 税理士・CFP・FP1級技能士】Webサイト | http://et-inc.jp

2016年10月3日月曜日

[196] 現在開発中の会計基準に関する今後の計画【国内会計】

企業会計基準委員会は、2016.9.28に日本において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準及び修正国際基準の開発に関する予見可能性を高めるため、同委員会における検討状況及び今後の計画をまとめ公表しています。今後の動向に留意が必要です。

1. 開発中の会計基準
 収益認識に関する会計基準
2. 開発中の指針(実務上の取扱いを含む)
 税効果会計に関する指針
 リスク分担型企業年金に係る会計処理に関する指針
 一括取得型による自社株式取得取引に係る会計処理に関する指針
 権利確定条件付きで従業員等に有償で発行される新株予約権の企業における会計処 理に関する指針
 公共施設等運営権に係る会計処理に関する指針
 実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の
 取扱い」の見直し
3. 今後、開発予定の会計基準又は指針(実務上の取扱いを含む。)
 「企業結合に関する会計基準」に係る条件付取得対価の取扱い
 子会社株式及び関連会社株式の減損とのれんの減損の関係
 マイナス金利に関連する会計上の論点への対応

詳細は、企業会計基準委員会のWebサイトをご覧ください(https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/plan/plan_20160928.pdf)。

【執筆者:公認会計士・公認不正検査士・税理士 松澤公貴】
Webサイト | www.jp-kmao.com