2015年5月28日木曜日

[58] 空き家問題の解決を目指す「空家等対策の推進に関する特別措置法」が全面施行【法務】

国土交通省は、2014.11.27に公布され、2015.2.26から一部施行されていた「空家等対策の推進に関する特別措置法」(平成26年法律第127号)が2015.5.26より全面施行されたことに伴い、適切な運用を図るためのガイドラインを発表しています。

http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html
空き家対策の実施主体となる市町村は、危険な「特定空家等」に対して、ガイドラインに基づいた除却・修繕・伐採などの措置を行えるようになり、ガイドラインには、市町村が「特定空家等」に該当するかを判断する上で参考となる基準や、「特定空家等に対する措置」の手続について参考となる考え方が示されているようです。
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士 松澤公貴】
Webサイト/
www.jp-kmao.com

2015年5月25日月曜日

[57] サラリーマンの経費精算【国内税務】

サラリーマンの経費の精算は一般的にはシステム上で経費申請したうえで領収書を社内便で経理部門に送付するという流れになっており、税務上領収書の原本は一定の期間保管が義務付けられています。

現状でもスキャナーで読み込んだ場合に限って原本の廃棄が許容されていますが、これをやっている企業はあまり聞いたことがありません。最近財務省では領収書をスマホで撮影してデータを保管することにより原本の廃棄を認めるという案の検討に入ったそうです。これが実現すればわざわざ会社に帰り領収書を経理に送ったりスキャンしたりする必要がなくなり、サラリーマンの雑務が軽減されます。また、経団連によると国内企業が領収書など税務関係の書類保管に年間3,000億円費やしていることから、企業の経費削減にも一役買うことができそうです。
【執筆者:公認会計士・税理士 青木重典】
関連記事:スキャナ保存制度の規制緩和【規制】
http://keiei-economy.blogspot.jp/2015/02/31.html

2015年5月21日木曜日

[56] 確定給付型企業年金へ移行する企業【経営】 

♪負担が大きい世代間扶養… これも日本のよいところ? 
   

◆企業年金の2つ
企業年金には退職後の支払額が確定している「確定給付型」と、現役時代の支払額(拠出という)のみを退職後の受け取る時に変動させる「確定拠出型」の2種類があります。最近では、「確定拠出型」年金から「確定給付型」年金に移行する企業が増えています。

◆なぜ「確定給付型」なのか
かつて隆盛を誇った「確定拠出型」年金が減少する理由は以下のように考えられます。「確定給付型」と「確定拠出型」の最大の違いは、予定通りにいかないときの運用リスクを誰が引き受けるのか❓という点にあります。
・「確定給付型」・・・企業が引き受ける
・「確定拠出型」・・・運用リスクを従業員個人が引き受ける
つまり「確定給付型」に移行することで従業員のリスクを軽減させ、企業は将来きめられた年金を個人に受給させてあげようとするものです。

◆企業の負担は? 現役従業員にまわってくる…
当初のまま企業の業績が良ければ、年金不足分の拠出は容易です。経済が成長し、配分できる財源が増えるのであれば、増えた財源を現役と退職者で分配すればいいのですから問題はありません。しかし、年金は掛けはじめてから実際に受け取るまでに長期間かかりますから、その間の掛金の運用がうまくいけばいいのですが、予定通りにいかない場合もあります。「確定給付型」年金では、資産運用がうまくいかないときに生じる不足分は企業が負担しなければなりません。ところが、実際のところは企業業績が振るわない中で確定給付型の年金水準を維持するとすれば、これから厳しくなる環境で働いて稼いでもらわなければならない現役従業員の給与を削りながら、すでに会社を離れた退職者に、限られた企業財源を振り向けざるを得ない事態に追い込まれます。

◆世代間扶養の二面性 陰と陽
退職者とすれば年金の対価としての労働は既に提供済みであり、一時金としてもらうこともできた自分の資産を年金という形で受け取っているのですから、約束された年金額を受給するのは当然の権利だと考えます。しかし、現在働いている現役の従業員からすれば、労働の負荷はますます重くなり、私生活においても育ち盛りの子供を抱え生活費が増加するのに、退職者の年金を維持するために自分の給与を減らされるのは釈然としないわけです。

結論、経済全体のパイが増えない状況では、確定給付型年金は限られた財源の奪い合いになり、深刻な世代間対立を引き起こす可能性があるといえます。医療の進歩は人の寿命は延ばし、今後退職する人は百歳まで生きることも不思議ではない時代が到来し、働いている期間より年金をもらう期間の方が長くなる人も増えてくるでしょう。一方、時代の変化は激しく、一昔前の優良企業が瞬く間に存亡の淵に立たされる事例が相次いでいます。どんな優良企業でもその寿命が人間の寿命より長いとは断言できず、企業が人間の生涯にわたる保証を行えると考えるのは、これからは企業の傲慢❓無理あるプライドになるかもしれません。残念ながら、退職後の経済保証をかつて所属した企業に求めることができる時代は終わりはじめている事を認識しなければなりません。運用の自己責任は一層重要になるでしょう。記事(税務研究会 税研情報センター)
**** ひとりごと ****
以前わたしは、年金の世代間扶養には無理があるので反対派でした。なぜなら、かつて戦後の高度経済成長時代には、現在年金を受給されているシルバーの方々がそれこそ企業戦士とも言われながら不眠不休で働き続け、その結果日本企業はどんどん業績を伸ばし景気も上昇していきました。家族も一体になって日本全体が団結していましたね。それで将来の年金給付財源も潤沢であったようにみえました。

しかし単純な話、当時の政府は50年先100年先の人口統計を含めたところのリスクなどを考えておらず、と言いますか、まあそんな先のことどうでもよかったというのが政府の本音でしょうか、年金の運用を結局失敗してしまい世代間扶養のひずみをが表面化する結果になったわけです。ですので、わたしはCFPになった頃に世代間扶養は現在の時代にはミスマッチであるから早々に改善すべきだと思っていました。
でも最近この世代間扶養を、違う角度から見るようになったのです。何かと申しすと…、現在も日本は経済界で世界のトップバッターとしてのゆるぎない立ち位置をもち、その実績と自信があります。日本製品は繊細であり高品質で、技術もはんぱじゃなく高いです。一方日本はもともと農耕民族であったこともあり、周りの人への思いやり団結力がほかの欧米国にくらべて秀でています。つまり日本の世代間扶養の背景には “自国の自信と豊かさ+温情が深くやさしい” というキーポイントがある‼ですので老人保健医療、生活保護、母子家庭、障碍者保護などの諸手当、国民全員年金制度など福祉的制度がとてもあつく、いろいろとみんあで “あ~だこ~だ”と 議論しても言っても変わることがなくずっと続いてるのだろうと…。
世代間扶養と安定志向は、世界経済のトップクラスを築いてきた日本の自信と国民的やさしさなのですね。これは日本人が誇れる文化かもしれません。日本は国民性もふくめてやはり素敵な国ですね^^
【執筆者: 金田一希世美 税理士・CFP・FP1級技能士】
Webサイト |
http://et-inc.jp

2015年5月18日月曜日

[55] 中小法人の優遇税制とシャープの奇策【国内税務】

シャープが減資をし、資本金1億円にするという報道がなされましたが、批判を考慮し、断念したようです。ここで、中小法人と大法人でどのように税務上の取扱いが異なるのか纏めてみましたので、ご参考にして下さい。

お薦めはしませんが、新たな奇策が見つかるかもしれません。
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士 松澤公貴】
Webサイト/
www.jp-kmao.com

2015年5月14日木曜日

[54] 東芝の不適切な会計処理【国内不祥事】

粉飾決算のことをなぜ不適切な会計処理と呼ぶようになったのかはわかりませんが、東芝がこれにより決算発表を延期することになりました。なんでもインフラ工事に係る不正のようで、決算発表は6月まで延期、配当を無配にするとのこと。延期期間が長すぎることもさることながら、無配にするというのには驚きました。

不正の内容は工事進行基準に関係するもので、工事進行基準とは通常は工事が完成したときに売上を計上するところ、工期が長期間に及ぶ工事においては工事の進捗に応じて売上を計上するというものです。
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/kouji-keiyaku/kouji-keiyaku.pdf
この基準を適用する際には想定される工事原価を見積ったうえで、実際に発生した工事原価との比率から進捗度を算定し、これに受注金額を乗じて売上を計上することになります。このような計算により売上が計上されるため、想定される工事原価を実際よりも低く見積もれば、早い段階でより多くの売上を計上することが可能になります。2007年にIHIで同様の粉飾が行われましたが、この時は金融庁からの課徴金が16億円、株主代表訴訟により損害賠償の判決もでました。さて、今回はどうなりますか注目ですね。
【執筆者:公認会計士・税理士 青木重典】


関連記事:[49] 今、不正発覚が増加しています【国内不祥事】
http://keiei-economy.blogspot.jp/2015/04/49.html

2015年5月11日月曜日

[53] 運転資金分析:キャッシュ・コンバージョン・サイクル【経営】

♪だんだん黒字法人が増えてきました…。資金繰りも同時に検証しましょう。

●6年ぶりに黒字法人が増えてきた!
平成25年度の日本の法人数は259万5,903社(前年増6万631社)。資本金1千万円以下法人は85.3%、1千万円超1億円以下は13.8%で、資本金1億円以下の企業が全体の99.1%となっています。そして連結子法人の数を差し引いた258万5,732社のうち赤字法人は68.2%(176万2,596社)なのですが、実は7割を下回ったのは平成19年度(67.1%)以来6年ぶりのことです。(1.8%と微少ですが…。)
~赤字法人・黒字法人~
 業種別の赤字法人割合は、料理飲食旅館業が79.5%で最も高く、繊維工業、出版印刷業、食料品製造業、小売業、その他の製造業、農林水産業の7業種が7割超で、前年度は9業種が7割超で、そのうち2業種が8割超でした。黒字法人の利益処分の内訳を構成比で見ると、社内留保51.1%、支払配当23.0%、法人税額15.3%、その他の社外流出10.6%となっており、社内留保が5割を超えるのは現在の調査基準になってからはじめてだといえます。
~繰欠~
 繰越欠損金は5年連続で減少し、繰越欠損金の残高は68兆6344億円と前年度比4兆4,492億円の減少です。ようやくリーマンショック前の水準に戻ったところです。 
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●運転資金の分析のひとつ!
黒字法人とは利益がプラスということですが、資金があるのとは別のことになります。つまり利益が黒字でもキャッシュがなければ経営は苦しいことになり、ます。資金繰りは企業の血液の流れといえ、この重要な健康診断を定期的に行っていかなければなりません。ここでひとつキャッシュ分析の方法をご紹介。
~キャッシュ・コンバージョン・サイクル~
 次の算式で表される仕入から、販売、代金回収までのサイクルタイムのことで、「CCC」或いは「現金循環化日数」などとも呼ばれます。
【計算算式】CCC=棚卸資産回転日数+売上債権回転日数-買掛債務回転日数
この「キャッシュ・コンバージョン・サイクル」の日数が短くなればなるほど、「運転資金が楽になる」ことを示しています。
~売掛金の資金化+買掛金の支払のタイミング~
 計算式からわかるのは「売掛金の資金化」と「買掛金の支払」のサイクルを組み合わせて、会社の必要資金を表しています。例えば、会社が商品を仕入れたのち、販売、売掛金回収という「資金化」のサイクルは、「棚卸資産回転日数+売掛債権回転日数」と表現されます。一方、仕入れた商品の買掛債務の支払いは、上の売掛金回収のタイミングより先行することが通常です。従って、「棚卸資産の回転日数+売上債権回転日数-買掛債務回転日数」に相当する「運転資金」を用意しなければならないということになります。「日数」という分かりやすい表現にすることで「売掛金回収の弱点がどこにあるのか」「何をしなければならないのか」という課題が浮き彫りとなることがこの指標のよいところで、日数をグラフにするなど図表で示したりすると運転資金の流れがより感覚的に理解できます
~CCCを短くするにはどうするか?~
 この「CCC」を短くする施策には次のようなものがあります。
(1) 在庫回転日数を短くする(在庫削減)
(2) 売掛金回転日数を短くする(現金回収を増やすなど取引条件を見直す)
(3) 買掛債務回転日数を長くする(取引条件を緩和してもらう)
~自社の「CCC」の前期比較を見てみる!~
 まず、会社の「CCC」の前期比較を作成して頂くと、資金面での状況変化がわかります。また、業界平均との「CCC」の比較、重要取引先毎、重要商品毎の「CCC」を出してみると、運転資金面での「強み」「弱み」が分かるので、是非活用してみたい経営分析ツールの一つであると言えます。

**** ひとりごと ****
この仕事にながいこと携わっている私ですが、いままで当所のクライアント様で黒字倒産したところも、まして倒産そのものをしたという事業者はいらっしゃいません。これに関しては事業の繁栄とご家族・従業員の安心安全を目指すわたしの想いからして大変にうれしいことです。クライアント様の繁栄とともに自分が頑張れることに感謝の日々です。これからもどうぞよろしくお願いいたします^^

【執筆者: 金田一希世美 税理士・CFP・FP1級技能士】
Webサイト/
http://et-inc.jp

2015年5月7日木曜日

[52] 世界の競争法違反リスク【規制】

日本の独占禁止法のように市場における公正で自由な競争の実現を目指す法律は、一般に競争法(Competition Law)と呼ばれています。現在、経済のグローバル化、市場経済化の流れを受けて、世界各国でその整備が進んでおり、今やほとんどの国において整備されている状況です。また、主要国を中心に競争法の執行(制裁)も活発化し、日本企業の海外子会社に対して当該国の競争法が適用される事例も増加しています。

このような競争法の執行強化の動きは中小企業にも及んでおり、多額の課徴金を課される事例もでてきています。今すぐに自社の競争法コンプライアンス体制を見直す必要があるでしょう。
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士 松澤公貴】
Webサイト/
www.jp-kmao.com

2015年5月4日月曜日

[51] 女性の社会進出と税制【国内税務】

2017年に向けて配偶者控除の見直しが検討されるようです。


現在の制度では、配偶者控除は妻の年収が103万円以下なら夫の課税所得から38万円の控除が受けられる設計になっていますが、これを妻の年収制限を廃止し、一定金額の控除を受けられるようにする案が軸となるようです。
確かにパートタイマーの女性に対しては有効でしょうが、フルタイムで働いている女性にとってはほぼ関係ない話。女性の社会進出を謳うのであればフルタイム勤務の女性に対しての対策の方が大事ではないでしょうか。フルタイム勤務の女性が子供を育てながら働くことができる社会を作ることで少子化も解消できますし、女性が働きやすい環境を構築ししっかり運用している会社に税制上の優遇措置もしくは補助金を与える方が有効だと思うのです。
【執筆者:公認会計士・税理士 青木重典】