2016年7月25日月曜日

[176] 消費税の軽減税率の対象事例集を公表【国内税務】

政府は消費税増税の延期を発表しましたが、その一方で、国税庁は、消費者や事業者が軽減税率の対象になるかどうかを判断するための参考となる事例集を公表しています。
事例集には、
・「飲食料品」の譲渡の範囲等、
・飲食料品の輸入取引、外食の範囲、
・「一体資産」の適用税率の判定、
・「新聞の譲渡」の範囲等、
・区分記載請求書等の記載方法、    
等が全75項目がQ&A形式で掲載されています。軽減税率制度では、客の自宅やホテルに出向いて調理や給仕を伴うケータリング・出張料理などのような相手方が指定した場所において行う調理等は外食に当たるため、軽減税率の対象から除外されています。ただし、「有料老人ホームその他の人が生活を営む場所として政令で定める施設」での飲食料品の提供は除かれ、外食の対象外として軽減税率が適用されています。


なお、有料老人ホームとは、入居者が60歳以上の者、介護保険法の要介護認定又は要支援認定を受けている60歳未満の者、前記のいずれかに該当する者と同居している配偶者のいずれかに該当する者をいいます。これらの施設には、有料老人ホームのほか、
①サービス付き高齢者向け住宅
②義務教育諸学校の施設
③夜間課程を置く高等学校の施設
④特別支援学校の幼稚部又は高等部の施設
⑤幼稚園の施設
⑥特別支援学校に設置される寄宿舎などもあります。

事例集では、外食の範囲の中で「有料老人ホームの飲食料品の提供」を掲載し、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅での食事は、原則、軽減税率の対象ですが、同一の日に同一の者に対して提供する食事の対価の額(税抜き)が1食当たり640円以下で、1日の合計の食事代が1,920円までは軽減税率の対象となるとし、小中学校や夜間高等学校などの食事も同様としています。
一方、学生食堂や社員食堂の食事は軽減税率の対象とはなりません。事例集によると、軽減税率の適用対象となる「学校給食」とは、その学校の児童や生徒の全てに対して学校給食として行う飲食料品の提供をいい、利用が選択できる学生食堂での食事はこれに該当しないとしているためです。また、学生食堂での飲食料品の提供は、飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供に該当するので、軽減税率の適用対象とならないようです。

※上記の記載内容は、2016.7.1現在の情報に基づいて記載しております。今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
【執筆者: Kyosann 税理士・CFP・FP1級技能士】Webサイト | http://et-inc.jp

2016年7月21日木曜日

[175] 監査提言集の公表【国内不祥事】

2016.7.1に日本公認会計士協会は、「監査提言集」を公表しています。主に会計監査人にとっての注意喚起ポイントが取り纏められておりますが、受監側にとっても非常に有益な注意すべきポイントが網羅されております。

詳細は、日本公認会計士協会のWebサイト(http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/20160701db7.html)をご覧ください。
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士・税理士 松澤公貴】 Webサイト | www.jp-kmao.com

2016年7月14日木曜日

[173] 在宅勤務制度の就業方法がひろがりつつあります【国内政経】

昨今、在宅勤務を本格的に導入する企業が増えています。2016.8月、トヨタ自動車は、総合職社員を対象に在宅勤務制度をとり入れます。具体的には、週に1日、2時間だけ出社すれば、あとは自宅などの社外で働いてもよいことになります。

制度がはじまった後は、これまで会社でパソコンを利用して仕事をしている人は、会社で行っている仕事を終日自宅で行うことが可能になります。そのほか、営業担当者が訪問先から直接自宅に戻り、自宅で報告書を作成するといった働き方も実現します。
在宅勤務の導入は、トヨタ自動車だけでなく、ホンダや日本生命、マイクロソフトなど、多数の企業が実施、あるいは実施を予定しており、業種も多岐にわたります。
在宅勤務制度への取組みは、米国では以前から進められており、2008年には就業者人口の約30%に在宅勤務が普及していました。ところが、同時期、日本では10%に留まっていました。ここにきて日本で在宅勤務を導入する企業が増えた背景の一つには、「働き方の多様性」が大きな事項としてあります。企業は多様性を認めて、働き手の一人ひとりが、自身の都合に合わせた労働場所や時間を選べるようにしようという動きが強まっているのです。

◆メリット
これは従業員だけでなく、企業側にもメリットがあり、育児や介護がしやすい環境を整えることは、離職の防止にもつながります。なかでも、親の介護でベテランの社員を失うリスクは、この先、高まる一方です。そこで、自宅で仕事が可能になれば、大切な人材をより長く活用できることになります。

このように、在宅勤務の導入が広まりつつあります。これまで、日本企業が、在宅勤務に消極的だった理由の一つは、情報の漏えいがあり、社外秘のファイルを保存したパソコンを帰宅途中に紛失し、データが流出するという事件が何件も起きました。こうした問題点はインターネットの発達により、解消されつつあります。情報の漏えいについては、クラウドといって、社外秘のデータをパソコンに残さなくても利用できる仕組みが普及し、パソコンを失くしても、情報は別の場所に保管されているので漏えいの心配が以前よりなくなりました。
◆デメリット
ただし、在宅勤務制度にも課題がないわけではありません。日本よりも積極的に在宅勤務を取り入れてきた米国企業の中には「自宅ではなくオフィスで仕事をするように」と命令を下したところもあります。この会社では、自宅で仕事をしているはずの社員が会社に無断で起業したり、仕事をせずにさぼっている、といった事態が生じました。在宅勤務制度は勤怠管理が一つの課題といえます。

ほかにも、新商品の開発では、オフィスで顔を合わせて議論を交わす、あるいは食堂や通路で雑談する、といった会話からアイデアが生まれることがあります。新商品やサービスを生み出す部門では、会社という場での、従業員同士のコミュニケーションが実は大切な要素です。在宅勤務制度を導入することで、逆にこれまでの優れた要素が失われてしまう可能性があります。
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企業にとって、在宅勤務制度をメリットあるものにするには、従来の勤務形態の良さを残しながら、それぞれの企業に適した形を模索していく必要がるようですね。記事:税務研究会 より

【執筆者: Kyosann 税理士・CFP・FP1級技能士】Webサイト | http://et-inc.jp

2016年7月11日月曜日

[172] 「国税庁レポート2016」を公表【国内税務】

2016.6.30に国税庁のWebサイトにて「国税庁レポート2016(日本語版)」が公表されています。納税者に適正かつ円滑に申告・納税をしていただくための取り組みの一つとして、国税庁の1年間の活動やその年のトピックスについて、統計資料等を使いながら説明されています。

詳細は、国税庁のWebサイト(http://www.nta.go.jp/kohyo/katsudou/report/2016.pdf)をご覧ください。
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士・税理士 松澤公貴】 Webサイト | www.jp-kmao.com

2016年7月4日月曜日

[170] 国税もクレジットカード納税が可能に(2016年度税制改正)【国内税務】

本年の税制改正において、クレジットカード納付制度が2017.1.4より国税にも導入されることになりそうです(なお、地方税ではすでに実施されております)。

◆ 現行の国税の納付方法には、
① 税務署、金融機関の窓口で現金に納付書を添えて納付
② 指定した金融機関の預貯金口座から振替納税
③ ダイレクト納付またはインターネットバンキング等を利用して電子納税
④ 延納・物納(相続税・贈与税)という複数の方法があります

◆新設
上記に加えて、国税の納付手段の多様化を図る観点から、来春よりインターネットを利用したクレジットカード決済による納付が導入されます。一応、納付書で納付できる国税を対象としており、基本的に税目に制限はありません。

◆具体的方法
クレジットカードによる納税は、パソコンや携帯電話、スマホでインターネットに接続し専用サイト上でクレジットカードによる支払いをします。納税者がクレジットカード会社に納付手続きを委託し、クレジットカード会社がそれを受託した日に国税の納付があったものとして、延滞税や利子税等に関する規定も適用されます。

◆メッリト
クレジットカードで税金を納めるメリットとしては、インターネット上でできることから、家や職場にいながら税金が払えることはもちろんですが、現金が引き落とされるタイミングが納期限より遅くなるため、資金繰りの好影響が期待できるとも考えられますね。インターネットを利用することで現金を持ち歩かず自宅で納付!という安心感もあります。さらにはクレジットカードですので分割やリボ払いもできるというところがうれしいところでしょうか。

◆デメリット
インターネット利用による情報の漏えいリスクがあることと、納税者に手数料が発生し負担となることがあげられます。さらに、現行の地方税の取扱いと同じになるといわれていますが、東京都の場合、納税額1万円以下で78円、2万円以下で157円の手数料が発生します。また、分割払いやリボ払いは、別途クレジット会社が定める手数料が発生する場合もありますので、資金繰りには注意が必要です。

※上記の記載内容は、2016.7.1現在の情報に基づいて記載しております。今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
【執筆者: Kyosann 税理士・CFP・FP1級技能士】Webサイト | http://et-inc.jp