2016年11月28日月曜日

[212] 個人型DCの愛称が「iDeCo」に【国内政経】

全国銀行協会や生命保険協会など金融関連団体で組織する「確定拠出年金普及・推進協議会」は、個人型の確定拠出年金(DC)の愛称を「iDeCo(イデコ)」に決定したと発表しました。金融機関はすでにこの愛称を使って自社商品のPRを始めています。「iDeCo」は個人型確定拠出年金の英語表記の単語の一部で構成されたもので、4,351件の応募のなかから30代女性の案が選ばれました。「i」には「私」という意味が込められていて、協議会は「自分で運用する年金の特徴をとらえている」と評価しました。

確定拠出年金は、毎月決まった額を拠出し、その積立金を基に本人が資産運用し、損益が給付額に反映される年金制度。将来の給付額が決まっている確定給付年金と異なり、毎月どれだけ支払うかは定められている代わりに、将来もらえる額は確定しませんが、投資時や年受取時には税優遇が受けられます。
個人で入る「個人型」と会社ごとに入る「企業型」があり、来年以降、これまで自営業者や企業年金のない会社員が対象だった個人型につき、主婦(加入対象約400万人)や公務員(同900万人)、すでに企業年金に入っている会社員(同1,300万人)が加わることになります。
【執筆者:Kyosann 税理士・CFP・FP1級技能士】Webサイト | http://et-inc.jp

2016年11月24日木曜日

[211] 不適切な手続による貸付【国内不祥事】

2016.11.22に商工中金の危機対応業務において、不適切な手続による貸付が判明し、経済産業省及び財務省は、商工中金に対して、本事案の徹底調査と原因の究明、再発防止策の策定等を指示しています。
 


【内容】
商工中金鹿児島支店において、一部の職員が、顧客から受領した試算表等を自ら書き換えて危機対応貸付を行っていた事実が判明し、危機対応業務の要件に合致しない貸付が行われた可能性があります。

詳細は、経済産業省のWebサイトをご覧ください(http://www.meti.go.jp/press/2016/11/20161122003/20161122003.html)。

【執筆者:公認会計士・公認不正検査士・税理士 松澤公貴】
Webサイト | www.jp-kmao.com

2016年11月17日木曜日

[209] のれん償却方法の違いから見る企業文化【国際会計】

現在の日本の会計基準では、M&Aで生じる資産側に発生するのれんについて、20年以内で定期的に償却をすることを定めています。一方、IFRS(国際会計基準)や米国会計基準では定期償却はせず、のれんはそのままの金額で資産に残し、買収した事業や企業の収益性が落ちたときに、減損として費用処理するようにしています。したがってこの場合、収益性が落ちない限り、のれんの償却は発生しません。資産にあるのれんを償却すれば、損益計算書に費用が発生するのに、償却しなければ費用が出ないので、日本の会計基準はM&Aでは不利になると言われています。

のれんを償却しようがしまいが、会計上の処理方法が違うというだけであり、キャッシュフローには関係なく、企業行動に影響することはありません。M&Aをするかしないかは、企業なり事業を手に入れるために投下したキャッシュフローと、獲得した企業や事業が将来獲得するであろうキャッシュフローを比較して判断することですから、会計基準の変更自体は企業に影響を与えないと考えるべきです。ただ、会計基準が違えば表示される利益が違ってきますから、株価には影響を与えることはあるかもしれません
先ほども述べたように、のれんの償却、非償却は本質的にM&Aの判断に影響を与えるものではありません。ただ、のれんを償却するかしないかという会計基準の違いは、日本と欧米の企業文化の相違を示唆しているように考えます。
のれんについて、日本基準は定期償却ですから、買収対象事業や企業の損益状況とは無関係に償却が発生します。また、のれんの償却費は企業全体の利益から控除されます。こうした会計基準の背景には、事業や企業も買収されてしまえば、もはや親会社と一体になったという認識があります。買収の象徴として発生したのれんは買収対象企業が親会社と一体化するにつれ、徐々に小さくなり、何年か経てば消えてなくなると考えます。同じ企業グループになったのだから、いつまでも買収した側と買収された側を区分して、個別の事業の採算を云々するのではなく、企業グループ全体で前向きに進もうという思想には合致した会計処理だといえます。ただ、この場合、個別の責任追及は甘くなる傾向があります。
これに対し、IFRSや米国会計基準ではのれんの定期償却はせず、買収した事業や企業の業績が著しく悪化したときに、減損をします。そこには、同じ企業グループに入ったといっても、ある事業の損失を他の事業でカバーする全体責任ではなく、あくまで個別事業体として、損失が発生した責任はその事業にとってもらうという発想があります。これは事業ごとの責任追及には適した思想ですが、企業グループ一体で利益を追求するという観点とはやや違います。
どちらの思想にも一長一短があり、どちらがいいとか、悪いとかいうことではないのですが、買収が終わってしまえば、買収した方もされた方も一体だという集団主義的考え方の方が日本人のメンタリティーにはあっているような感じもあります。
【執筆者:Kyosann 税理士・CFP・FP1級技能士】Webサイト | http://et-inc.jp

2016年11月14日月曜日

[208] 財務省(税関)「関税法基本通達の一部改正について」を公表【国内税務】

2016.11.1、税関ホームページで「関税法基本通達の一部改正について(平成28年11月1日財関第1302号)」が公表されました。

詳細は、税関のWebサイトをご覧ください(http://www.customs.go.jp/kaisei/tsutatsu/H28tsutatsu/H28tsutatsu1302/index.htm)。
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士・税理士 松澤公貴】
Webサイト | www.jp-kmao.com

2016年11月7日月曜日

[206] 相続税の20%加算と養子【国内税務】

相続税で特に多く指摘される項目
◆指摘が多いのは2割加算
 相続税の基礎控除引き下げにより、課税対象者が大幅に増加しました。国税庁では申告書の内容に誤りがあると疑われる場合に、納税者に文書を送付し申告書の見直しを促していますが特に指摘の多いのが「相続税額の2割加算」のようです。


◆相続税額の2割加算
「相続税額の2割加算」とは、相続又は遺贈により財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の人である場合に、相続税額を2割加算するとするものです。一親等の血族とは父母や子を指すので、それ以外のいわゆる被相続人の兄弟姉妹が相続等で財産を取得した場合や、血縁関係がない者などに遺贈があった場合には割増し加算があるのです。

 また、孫も2割加算の対象ですが、被相続人の子が相続開始以前に死亡するなどし、代襲相続人となっている場合には2割加算は不要となります。
◆一親等の法定血族でも孫養子は
  一親等の血族には「養子」も含まれますが、例外があり、被相続人の直系卑属で被相続人の養子になっている者、つまり“孫養子”は2割加算対象外に含まれません(代襲相続人は除く)。「養子」に2割加算はないが、“孫養子”に限っては2割加算があるというこの取扱いのところに間違いが多いようです。

◆孫養子類似の一親等の法定血族だが
  国税庁の質疑応答事例に「被相続人の直系卑属でない者が養子となっている場合」の事例があり、ここでは「子の配偶者」が養子となっている場合に2割加算がないことを示しています。すなわち、“孫養子”以外の「養子」は一親等の血族に含まれるため、例えば、「孫の配偶者」や「養子の養子縁組前の子(養子 
の連れ子)」が養子となっていても2割加算は不要です

◆代襲相続でも2割加算される例
  国税庁の質疑応答事例には、代襲相続した孫やひ孫で、遺贈があるので代襲相続人の地位を放棄した場合、この相続放棄者には2割加算除外の適用がない、という珍事例も紹介しています。(代襲相続の規定では放棄をなかったものとするとしていない。)

※上記の記載内容は、平成28年7月1日現在の情報に基づいて記載しております。今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
【執筆者:Kyosann 税理士・CFP・FP1級技能士】Webサイト | http://et-inc.jp

2016年11月3日木曜日

[205] 経済産業省「生産性向上設備投資促進税制の概要資料(更新)」等を公表【国内税務】

本税制措置は、質の高い設備の投資について、特別償却50%又は最大4%の税額控除が適用出来る税制措置です。


具体的には質の高い設備投資の促進によって事業者の生産性向上を図り、もって日本経済の発展を図るため、 「先端設備」や「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」を導入する際の税制措置を新設しています。対象設備は、平成26年1月20日から平成29年3月31日の間に取得等をし、かつ、事業の用に供した設備です。A類型 とB類型の2つの確認等の方法があり、どちらかの確認等を受けた上で取得価額要件等を満たした場合に税制措置が受けられます。
詳細は、経済産業省のWebサイトをご覧ください(http://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/kyousouryoku_kyouka/seisanseikojo.html)。
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士・税理士 松澤公貴】
Webサイト | www.jp-kmao.com