国際商取引における外国公務員への不正な利益供与が、国際商取引の競争条件を歪めているという認識のもと、これを防止することを目的として、不正競争防止法に外国公務員贈賄罪(1999年2月施行)が規定されています。すなわち、国際商取引において自分らの利益を得たり、維持するために、外国公務員に対して直接または第三者を通して、金銭等を渡したり申出たりする行為は犯罪であることです。違反すると、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金(又はこれらの併科)、法人重課として3億円以下の罰金が科せられるとともに、国民の国外犯も処罰されることになっています。
経済産業省は、国際商取引に関わる企業の自主的、予防的なアプローチを支援することを目的に、「外国公務員贈賄防止指針」を2004年5月26日に公表し、以降2007年1月29日、2010年9月21日と改訂してきましたが、米司法省など海外当局が日本企業を汚職事件で摘発する事例が生じているため、今後改訂を予定しているようです。
現行の「外国公務員贈賄防止指針」は、経済産業省のWebサイトをご覧ください。http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/zouwai/pdf/20100921zouwaiboushishishin.pdf
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士 松澤公貴】
Webサイト | www.jp-kmao.com
2015年6月29日月曜日
2015年6月25日木曜日
[66] TPPと士業の未来【国際政経】
2015.6.25アメリカでTPPに関連して大統領に通商一括交渉権(TPA)を付与する法案が可決されました。これによりTPPで懸案だった日米協議は最終合意へ向かうようです。
TPPといえばニュースになるのは自動車と農産品が多いですが、自動車産業は日本の主力産業ですそ野も広く、農産品については農家保護が重要なテーマであり、どちらも日本の将来にとって重要なものです。
ただし、TPPにおいてはあまりニュースになりませんが、我々士業もある程度影響を受けるかもしれません。TPPを巡る交渉ではTPP協定発効後に資格の相互承認について検討する枠組みが設けられる予定であり、そこで他国との相互承認が行われれば海外の資格保有者が日本で日本の資格保有者と同等の業務を行うことができるため、これまで以上に激しい競争にさらされることになります。
一方で、これはチャンスという見方もあり、日本企業の進出が多い東南アジアで日本の資格でビジネスができれば日本の資格保有者にとっては大きなプラスになることも考えられます。どこでどのように稼ぐか、選択肢が増える分選択の仕方によっては成功人も増えるのではないでしょうか。
【執筆者:公認会計士・税理士 青木重典】
TPPといえばニュースになるのは自動車と農産品が多いですが、自動車産業は日本の主力産業ですそ野も広く、農産品については農家保護が重要なテーマであり、どちらも日本の将来にとって重要なものです。
ただし、TPPにおいてはあまりニュースになりませんが、我々士業もある程度影響を受けるかもしれません。TPPを巡る交渉ではTPP協定発効後に資格の相互承認について検討する枠組みが設けられる予定であり、そこで他国との相互承認が行われれば海外の資格保有者が日本で日本の資格保有者と同等の業務を行うことができるため、これまで以上に激しい競争にさらされることになります。
一方で、これはチャンスという見方もあり、日本企業の進出が多い東南アジアで日本の資格でビジネスができれば日本の資格保有者にとっては大きなプラスになることも考えられます。どこでどのように稼ぐか、選択肢が増える分選択の仕方によっては成功人も増えるのではないでしょうか。
【執筆者:公認会計士・税理士 青木重典】
2015年6月22日月曜日
[65] 全法連が経理チェックシートを完結リニューアルにして好評【国内税務】
◆中小企業のガバナンス
全国法人会総連合(全法連)が、企業自身でコンプライアンスや経理水準をチェックできる「自主点検チェックシート・ガイドブック」の「入門編」を作成し、ホームページ上で公表しました。今まであったチェックシートは全83項目でしたが「企業にとってより取り組みやすいものを」との要望に応えて、日本税理士会連合会(日税連)の監修、国税庁が後援のもと、中小企業のガバナンス確保に必要な基本40項目+補足5項目の計45項目に絞っています。
◆チェックシートの中身
チェックシートは、
・ 「社内体制」
・ 「貸借関係(資産科目)」
・ 「貸借関係(負債・資本科目)」
・ 「損益関係」
・ 「その他」の5分野に大きく分かれ、
さらに該当取引があるときのみ利用する「小切手・手形関係」、「損益関係(福利厚生費)」の補足2分野から成り立っています。
それぞれの分野では、さらに「現預金・小切手」や「棚卸資産」「借入金」・・・など細かい項目ごとの管理がされているか、会計上の処理が正しくされているかなどを一つひとつ確認できるようになっています。更にシートには、必要に応じて会社で点検項目を追加するスペースも用意されているため、使いやすいようにアレンジすることも可能。点検日時や記入欄も複数用意されているので、一度チェックするだけではなく、不備が見つかった点については改善計画を立てて実施し何度も繰り返しチェックすることが重要といえます。
◆以前のチェックシートからさらに簡素化して登場
もともとこのチェックシートは、昨年に全法連が中小企業の税務コンプライアンス向上を目的として作成したもので、その「正式版」は全83項目にわたって内部統制や税務コンプライアンスの水準をチェックできるようになっていました。項目数が多い分、細かいところまでチェックすることが可能ですが一方で、取り組みへのハードルが高いと指摘されていました。そうした声を受け、全法連は今回の「入門編」の作成に踏み切ったのです。これによりチェック項目がより重要+基本的なことに絞られて「正式版」に比べて手軽に活用できるようになりましたね。http://tax-compliance.brain-server2.net/compliance/units/
*** ひとりごと ***
たしかにこれならわかり易いです!! これなら中小企業は税理士とは別に税務リスクを軽減できますね~?!
全法連も書いているように、会社を成長させるためには、売上や利益を上げることの他に、内部統制や経理面の室を向上させることも大切であると記載しています。こうするとこで「入出金が適切に管理される」「内部の不正行為を未然に防止できる」など結果として成長にもつながるのですね。この足元が固まっていない場合には「売掛債権が回収できない」「重要書類を紛失する」「会社の資産が不明確になる」「お金がなくなる」など経営上の大きな問題へ発展することもあります。
未来志向の視点とは逆で、とても地味なことのようです、コップの水が下から抜け漏れないように頑丈にしておく事はとても大切です^^。 *♡最近スタバのMyタンブラーはやっています💛
【執筆者: 金田一希世美 税理士・CFP・FP1級技能士】
Webサイト | http://et-inc.jp
2015年6月18日木曜日
[64] 研究不正防止のための海外の取組み【規制】
近年相次いで発生した研究不正行為を受けて文部科学省は、2014.8.26に「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」を策定し、2015.4.1から運用を開始していることは、周知のとおりです。今回は、海外の取組みをご紹介致します。
【1】 欧州:「研究公正に関する欧州行動規範(2011年)」
欧州科学財団(ESF)における欧州22か国の31の資金配分機関・研究機関からの代表者と、40ヵ国の53のアカデミーが検討して作成された文書で、医学、自然科学、人文・社会科学における適切な研究実践に係る欧州における行動規範としての位置付けを持っています。
具体的には、研究者の行動規範として、
誠実性(honesty in communication)
信頼性(reliability in performing research)
客観性(objectivity)
独立性(impartiality and independence)
公開性(openness and accessibility)
等を定め、不正行為には、ねつ造・改ざん・盗用に加えて、利害関係の非開示や秘密保持違反等の利益相反に係る事項も含めています。また、責任ある研究活動の在り方として、データ管理の在り方から論文投稿の在り方に至るまでの原則を定めています。
【2】米国
米国においては、1989年に国立衛生研究所(NIH)が初めて研究不正行為の定義化を行い、同年からRCR教育を要請し、1992年に研究公正局(ORI)を設置しています。2007.8に成立した「米国競争力法」は、大学等の研究機関に対し、申請計画の中で、学部学生・大学院生・ポストドクターに責任ある研究活動と倫理についてのトレーニングコースを受けさせることを義務付けています。さらに、これを受けて、国立科学財団(NSF)は、2010.1から、大学に対して、研究倫理教育プログラムの策定を義務付けています。
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士 松澤公貴】
Webサイト/www.jp-kmao.com
【関連記事】
[16] ”STAP細胞はありません”では済まされない。相次ぐ研究不正・論文不正にようやく声明。【国内不祥事】http://keiei-economy.blogspot.jp/2014/12/stap.html
[49] 今、不正発覚が増加しています【国内不祥事】http://keiei-economy.blogspot.jp/2015/04/49.html
【1】 欧州:「研究公正に関する欧州行動規範(2011年)」
欧州科学財団(ESF)における欧州22か国の31の資金配分機関・研究機関からの代表者と、40ヵ国の53のアカデミーが検討して作成された文書で、医学、自然科学、人文・社会科学における適切な研究実践に係る欧州における行動規範としての位置付けを持っています。
具体的には、研究者の行動規範として、
誠実性(honesty in communication)
信頼性(reliability in performing research)
客観性(objectivity)
独立性(impartiality and independence)
公開性(openness and accessibility)
等を定め、不正行為には、ねつ造・改ざん・盗用に加えて、利害関係の非開示や秘密保持違反等の利益相反に係る事項も含めています。また、責任ある研究活動の在り方として、データ管理の在り方から論文投稿の在り方に至るまでの原則を定めています。
【2】米国
米国においては、1989年に国立衛生研究所(NIH)が初めて研究不正行為の定義化を行い、同年からRCR教育を要請し、1992年に研究公正局(ORI)を設置しています。2007.8に成立した「米国競争力法」は、大学等の研究機関に対し、申請計画の中で、学部学生・大学院生・ポストドクターに責任ある研究活動と倫理についてのトレーニングコースを受けさせることを義務付けています。さらに、これを受けて、国立科学財団(NSF)は、2010.1から、大学に対して、研究倫理教育プログラムの策定を義務付けています。
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士 松澤公貴】
Webサイト/www.jp-kmao.com
【関連記事】
[16] ”STAP細胞はありません”では済まされない。相次ぐ研究不正・論文不正にようやく声明。【国内不祥事】http://keiei-economy.blogspot.jp/2014/12/stap.html
[49] 今、不正発覚が増加しています【国内不祥事】http://keiei-economy.blogspot.jp/2015/04/49.html
2015年6月15日月曜日
[63] 株主総会の季節【経営】
株主総会の季節ですが、東証の調べによると今年の集中日は2015.6.26で東証上場の3月決算会社2,363社のうち977社と41%を占めています。
近年総会の集中を避ける動きも出ていますがまだまだなんですね。
さて、本日トヨタが株主総会を開催し種類株式の発行議案が可決されるか注目されました。種類株式とは普通株式とは異なる権利を与えられた株式のことで、優先的に配当を受ける優先株などが代表的です。今回トヨタが議案とした種類株式は「普通株と同等の議決権を持ち、5年間売却できないが5年後は発行価格での買い取り請求が可能で普通株への転換もできる。」とのことで、転換社債に議決権が付いているようなものです。
トヨタでは長期保有の個人安定株主を増やすことが目的のようですが、議決権行使助言会社の最大手ISSは安定株主の増加が経営の緊張感をなくすという理由で反対とのことでした。ISSの反対が決議にどのような影響を及ぼすか注目されましたが、結果は3分の2以上の賛同により可決されました。大塚家具の株主総会でも一定の存在感を示した議決権行使助言会社ですが、さすがにトヨタの議案を否決するだけの力はないようです。
【執筆者:公認会計士・税理士 青木重典】
さて、本日トヨタが株主総会を開催し種類株式の発行議案が可決されるか注目されました。種類株式とは普通株式とは異なる権利を与えられた株式のことで、優先的に配当を受ける優先株などが代表的です。今回トヨタが議案とした種類株式は「普通株と同等の議決権を持ち、5年間売却できないが5年後は発行価格での買い取り請求が可能で普通株への転換もできる。」とのことで、転換社債に議決権が付いているようなものです。
トヨタでは長期保有の個人安定株主を増やすことが目的のようですが、議決権行使助言会社の最大手ISSは安定株主の増加が経営の緊張感をなくすという理由で反対とのことでした。ISSの反対が決議にどのような影響を及ぼすか注目されましたが、結果は3分の2以上の賛同により可決されました。大塚家具の株主総会でも一定の存在感を示した議決権行使助言会社ですが、さすがにトヨタの議案を否決するだけの力はないようです。
【執筆者:公認会計士・税理士 青木重典】
2015年6月11日木曜日
[62] 新スタート!結婚・子育て資金の一括贈与の非課税 H27/4月~【国内税務】
♪ 資産移転で経済の活性化 *ゼクシイ調査結婚費用333万円~?! ♪
◆結婚・子育て資金の一括贈与の非課税創設
平成27年4月より「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税」制度がスタートしています。これはいうなれば「教育資金の一括贈与」の ⇒ 「結婚・子育て」版です。信託協会によれば平成26年12月現在の教育資金贈与信託の契約数は101,866件、信託財産設定額合計は6,973億円だそう。「高齢者資金を若年世代に移転する」という政策意図に見事にはまったものといえるでしょう。このような「成功例」もあり、今回の税制改正で「結婚・子育て資金」の非課税制度の創設が開始されたのです。
◆「通常額」を「その都度」支出する場合
もともと、扶養義務者から「生活費」又は「教育費」として贈与を受けた場合には、
①金額が通常必要と認められるものであり、
②必要の都度「生活費」「教育費」に充てられるものについては、
⇒ 贈与税の非課税とされています。
ととえば、
1.父母・祖父母が、子・孫の婚姻後の生活を営むために必要最低限の家具等の購入資金として贈与した資金もこれにあたります。
2.親が、子や孫の結婚式や披露宴の費用を負担した場合も、内容や招待客との関係、地域の慣習の事情に応じて、負担分担されている場合も贈与に当たらないこととされています。
◆「一括贈与」のニーズの高まり
しかし、今年3月までは「将来の結婚のために渡しておきたい…」という場合は、「通常額をその都度」という要件にあたらないため、贈与税の課税対象となっていました。今回の改正では、このような「一括贈与」でも非課税にしようという新制度となったのです。
◆非課税にするための要件は?
非課税にするための要件を前回につづき再度記載します‼
(1)贈与者である親・祖父母が、金融機関に受贈者である子・孫(20歳~50歳未満)の名義口座を開設し、
(2)その口座に結婚・子育て資金を一括して拠出した場合(現金預入のほか、その資金で有価証券の購入でもOK)、
(3)子・孫ごとに1,000万円を非課税とする。
(4)贈与者死亡時の残高は相続財産に加算するが2割加算はない。
(5)受贈者が50歳に達する日に口座は終了し残高があれば贈与税を課税する。
(6)金融機関の営業所を経由して「結婚・子育て資金非課税申告書」を提出すると1000万円まで非課税。
(7)適用期限は、平成27年4月1日~平成31年3月31日までです。
***** ひとりごと *****
今年の資産税改正では、世代間の資産移動が無税でできるようにとの配慮がされており、柔軟的に組み合わせていけると相続税の節約にもつながる可能性大です!
たとえば簡単には次のようなもの・・・
★住宅取得資金贈与の非課税枠が拡大
…限度額について住宅取得等に消費税10%が適用される場合で一定の住宅取得には非課税枠は最大3,000万円。
★教育資金贈与の追加
…対象である教育資金の範囲に、通学定期代・留学渡航費が加えられます。
★非上場株式に係る納税猶予の見直し
…非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予につき、事業承継の円滑化の観点から贈与税の納税義務が生じないような改正で、具体的には、1代目が存命中に、2代目が3代目に株式を贈与した場合(3代目が納税猶予制度を活用して再贈与を受けること)には猶予されていた贈与税の納税義務が免除される等の改正です。
===================
■一方、冷静な世論は、・・・・
<資産を持たない中間所得者層以下にとっては、今年からのこの“結婚養育費贈与”非課税制度は無縁な制度であり、以前からある“教育資金贈与”非課税制度も最初から「カネ持ち優遇税制」との強い批判がある>と言っています。
リクルートグループのゼクシィの調査では、結婚式にかかる費用は挙式・披露宴で平均333万7,000円とまだまだ高額になっており、今回創設された“結婚・子育て資金贈与”非課税制度も、こうしたカップルにはもってこいかもしれませんが、そうでない家庭のカップルにとっては、あってもなくてもよい制度である、と手厳しいです。
極端に言えば「ゆりかごから墓場まで」お金持ちが優遇される政策が蔓延する先にあるのは、経済的格差社会が広がる事ではないか世論は伝えておりますが、私はそれがすべてではない気がしますけどね^^♪
さて、そもそもの制度の創設趣旨ですが、“ 両親や祖父母の資産を早期に移転することを通じて、消費を活性化し、子や孫の結婚・出産・育児を後押しする!”となっています。
たしかに前者2つはそう言えるかもしれません。しかし実際には、もらった1,000万円はすぐに消えるでしょう。その時はまた贈与❓
ましてお金で後押しされた結婚と出産?! それもそれでどうかと思うのですが(汗)…。
【執筆者: 金田一希世美 税理士・CFP・FP1級技能士】
Webサイト | http://et-inc.jp
◆結婚・子育て資金の一括贈与の非課税創設
平成27年4月より「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税」制度がスタートしています。これはいうなれば「教育資金の一括贈与」の ⇒ 「結婚・子育て」版です。信託協会によれば平成26年12月現在の教育資金贈与信託の契約数は101,866件、信託財産設定額合計は6,973億円だそう。「高齢者資金を若年世代に移転する」という政策意図に見事にはまったものといえるでしょう。このような「成功例」もあり、今回の税制改正で「結婚・子育て資金」の非課税制度の創設が開始されたのです。
◆「通常額」を「その都度」支出する場合
もともと、扶養義務者から「生活費」又は「教育費」として贈与を受けた場合には、
①金額が通常必要と認められるものであり、
②必要の都度「生活費」「教育費」に充てられるものについては、
⇒ 贈与税の非課税とされています。
ととえば、
1.父母・祖父母が、子・孫の婚姻後の生活を営むために必要最低限の家具等の購入資金として贈与した資金もこれにあたります。
2.親が、子や孫の結婚式や披露宴の費用を負担した場合も、内容や招待客との関係、地域の慣習の事情に応じて、負担分担されている場合も贈与に当たらないこととされています。
◆「一括贈与」のニーズの高まり
しかし、今年3月までは「将来の結婚のために渡しておきたい…」という場合は、「通常額をその都度」という要件にあたらないため、贈与税の課税対象となっていました。今回の改正では、このような「一括贈与」でも非課税にしようという新制度となったのです。
◆非課税にするための要件は?
非課税にするための要件を前回につづき再度記載します‼
(1)贈与者である親・祖父母が、金融機関に受贈者である子・孫(20歳~50歳未満)の名義口座を開設し、
(2)その口座に結婚・子育て資金を一括して拠出した場合(現金預入のほか、その資金で有価証券の購入でもOK)、
(3)子・孫ごとに1,000万円を非課税とする。
(4)贈与者死亡時の残高は相続財産に加算するが2割加算はない。
(5)受贈者が50歳に達する日に口座は終了し残高があれば贈与税を課税する。
(6)金融機関の営業所を経由して「結婚・子育て資金非課税申告書」を提出すると1000万円まで非課税。
(7)適用期限は、平成27年4月1日~平成31年3月31日までです。
***** ひとりごと *****
今年の資産税改正では、世代間の資産移動が無税でできるようにとの配慮がされており、柔軟的に組み合わせていけると相続税の節約にもつながる可能性大です!
たとえば簡単には次のようなもの・・・
★住宅取得資金贈与の非課税枠が拡大
…限度額について住宅取得等に消費税10%が適用される場合で一定の住宅取得には非課税枠は最大3,000万円。
★教育資金贈与の追加
…対象である教育資金の範囲に、通学定期代・留学渡航費が加えられます。
★非上場株式に係る納税猶予の見直し
…非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予につき、事業承継の円滑化の観点から贈与税の納税義務が生じないような改正で、具体的には、1代目が存命中に、2代目が3代目に株式を贈与した場合(3代目が納税猶予制度を活用して再贈与を受けること)には猶予されていた贈与税の納税義務が免除される等の改正です。
===================
■一方、冷静な世論は、・・・・
<資産を持たない中間所得者層以下にとっては、今年からのこの“結婚養育費贈与”非課税制度は無縁な制度であり、以前からある“教育資金贈与”非課税制度も最初から「カネ持ち優遇税制」との強い批判がある>と言っています。
リクルートグループのゼクシィの調査では、結婚式にかかる費用は挙式・披露宴で平均333万7,000円とまだまだ高額になっており、今回創設された“結婚・子育て資金贈与”非課税制度も、こうしたカップルにはもってこいかもしれませんが、そうでない家庭のカップルにとっては、あってもなくてもよい制度である、と手厳しいです。
極端に言えば「ゆりかごから墓場まで」お金持ちが優遇される政策が蔓延する先にあるのは、経済的格差社会が広がる事ではないか世論は伝えておりますが、私はそれがすべてではない気がしますけどね^^♪
さて、そもそもの制度の創設趣旨ですが、“ 両親や祖父母の資産を早期に移転することを通じて、消費を活性化し、子や孫の結婚・出産・育児を後押しする!”となっています。
たしかに前者2つはそう言えるかもしれません。しかし実際には、もらった1,000万円はすぐに消えるでしょう。その時はまた贈与❓
ましてお金で後押しされた結婚と出産?! それもそれでどうかと思うのですが(汗)…。
【執筆者: 金田一希世美 税理士・CFP・FP1級技能士】
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2015年6月8日月曜日
[61] 「新興国」が台頭【国際政経】
よく「新興国」という言葉を使いますが、特に2000年代に入ってから使われることが増えてきました。多くは、近年急速に経済力をつけてきた国々をさすことが多いのですが、こちらを簡単に解説したいと思います。
【1】BRICs
BRICsは、Brazil, Russia, India及びChinaの頭文字をとったもので、2000年代以降著しい経済発展を遂げているブラジル、ロシア、インド、中国の4ヶ国の総称です。ゴールドマン・サックスのエコノミストであるジム・オニールによって書かれた2001.11.30の投資家向けレポート『Building Better Global Economic BRICs』で初めて用いられ、世界中に広まったものです。また、BRICsの4ヶ国に南アフリカ共和国を加え、5ヶ国を、BRICSと総称されこともあります。
【2】NEXT11
N-11は、ゴールドマン・サックス及びエコノミストのジム・オニールが研究論文において、BRICs諸国に次いで21世紀有数の経済大国に成長する高い潜在性があるとした11ヶ国の総称です。具体的にはイラン、インドネシア、エジプト、トルコ、ナイジェリア、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、メキシコ、大韓民国であり、これは、マクロ経済の安定性、政治の成熟度、貿易及び投資政策の開放性、教育の質が基準の対象となっています。
【3】VISTA
VISTAは、Vietnam, Indonesia, South Africa, Turkey及びArgentinaの頭文字をとったもので、BRICs経済研究所のエコノミスト・門倉貴史氏が、BRICsに続くグループとして2006.11に提唱した造語です。豊富な天然資源、労働力の増加、外資の導入、政情の安定、購買力のある中産階級の台頭を勘案して、新興国からポストBRICsの候補として選出されています。
【4】CIVETS
CIVETSは、Colombia、Indonesia、Vietnam、Egypt、Turkey及びSouth Africaの頭文字をとったもので、HSBCが、BRICsに次ぐ経済発展が期待されている新興国として提唱した造語です。
日本経済も盛り上げて行きたいですね。
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士 松澤公貴】
Webサイト/www.jp-kmao.com
【1】BRICs
BRICsは、Brazil, Russia, India及びChinaの頭文字をとったもので、2000年代以降著しい経済発展を遂げているブラジル、ロシア、インド、中国の4ヶ国の総称です。ゴールドマン・サックスのエコノミストであるジム・オニールによって書かれた2001.11.30の投資家向けレポート『Building Better Global Economic BRICs』で初めて用いられ、世界中に広まったものです。また、BRICsの4ヶ国に南アフリカ共和国を加え、5ヶ国を、BRICSと総称されこともあります。
【2】NEXT11
N-11は、ゴールドマン・サックス及びエコノミストのジム・オニールが研究論文において、BRICs諸国に次いで21世紀有数の経済大国に成長する高い潜在性があるとした11ヶ国の総称です。具体的にはイラン、インドネシア、エジプト、トルコ、ナイジェリア、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、メキシコ、大韓民国であり、これは、マクロ経済の安定性、政治の成熟度、貿易及び投資政策の開放性、教育の質が基準の対象となっています。
【3】VISTA
VISTAは、Vietnam, Indonesia, South Africa, Turkey及びArgentinaの頭文字をとったもので、BRICs経済研究所のエコノミスト・門倉貴史氏が、BRICsに続くグループとして2006.11に提唱した造語です。豊富な天然資源、労働力の増加、外資の導入、政情の安定、購買力のある中産階級の台頭を勘案して、新興国からポストBRICsの候補として選出されています。
【4】CIVETS
CIVETSは、Colombia、Indonesia、Vietnam、Egypt、Turkey及びSouth Africaの頭文字をとったもので、HSBCが、BRICsに次ぐ経済発展が期待されている新興国として提唱した造語です。
日本経済も盛り上げて行きたいですね。
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士 松澤公貴】
Webサイト/www.jp-kmao.com
2015年6月4日木曜日
[60] 税金逃れの節税商品規制へ【国内税務】
企業が行っている節税策について税理士に報告を義務付けることを政府が検討し始めたようです。
節税商品の代表的なものとして航空機リースがあります。主に匿名組合を利用したスキームですが、出資者が匿名組合に出資し、その資金をもとに組合は航空機を購入します。一方、組合は航空会社にリースをし、リース料を受領します。リース料は毎年定額ですが、組合の費用である減価償却費は定率法で行われるため、当初は減価償却の負担が大きく組合には損失が発生します。当該損失は出資者が損失として計上できるため節税効果があるという仕組みです。
税率が一定であればトータルでの課税はほぼかわらないですが、現在のように法人税率の引下げが行われる状況では利益はできるだけ先に繰延べる方がお得ということになります。課税の公平性の確保や税収増が目的なので国にとってはいいことではありますが、悪質なものと合法的なものの区別をしっかりとしてほしいですね。
【執筆者:公認会計士・税理士 青木重典】
節税商品の代表的なものとして航空機リースがあります。主に匿名組合を利用したスキームですが、出資者が匿名組合に出資し、その資金をもとに組合は航空機を購入します。一方、組合は航空会社にリースをし、リース料を受領します。リース料は毎年定額ですが、組合の費用である減価償却費は定率法で行われるため、当初は減価償却の負担が大きく組合には損失が発生します。当該損失は出資者が損失として計上できるため節税効果があるという仕組みです。
税率が一定であればトータルでの課税はほぼかわらないですが、現在のように法人税率の引下げが行われる状況では利益はできるだけ先に繰延べる方がお得ということになります。課税の公平性の確保や税収増が目的なので国にとってはいいことではありますが、悪質なものと合法的なものの区別をしっかりとしてほしいですね。
【執筆者:公認会計士・税理士 青木重典】
2015年6月1日月曜日
[59] 専業主婦の年金の手続き漏れに新制度&マイナポータル【規制】
♪日本人の平均寿命は男性80.21歳、女性86.61歳
◆専業主婦の手続き漏れの救済措置として、2015.4から遡り追納期間が10年に変更!
今までサラリーマンの扶養配偶者で3号被保険者が1号被保険者への切替の手続きを忘れてしまい、保険料未納期間になってしまっていたようなケースがあった場合には、保険料の納付遡り期間は2年間までとされておりそれ以前の期間は納める事ができませんでした。このような場合の救済措置として2015.4から遡り追納期間が10年になりました。(特例期間該当届・特例追納制度)
◆手続き漏れが多いケース
<ケース1>
サラリーマンの夫が、「・退職した・脱サラして自営業を始めた・65歳を超えた・亡くなった・サラリーマンの夫と離婚した」等
<ケース2>
・妻自身の年収が増えて夫の健康保険の被扶養者からはずれた(妻が会社員、夫が専業主夫の場合も同様)
※上記のような場合は、わすれずに、
第3号被保険者から第1号被保険者への切替え手続きが必要です。
◆さかのぼり納付のメリットは?
①未納期間があるため年金加入期間が足らず年金を受け取れないと言う事態を回避できます。たとえ保険料を納めなくとも「特定期間該当届」の手続きをすれば年金額は変わりませんが受給資格期間には算入できます。
②保険料の追納で年金額を増やす事ができます。届出を忘れていた特定期間について「後納・特定保険料納付申込書」の手続きで最大10年分保険料を納める事ができるので年金額に反映されます。
◆マイナンバー個人用サイト⇒「マイナポータル」
さて次に・・・、
★自分のマイナンバーが誰にいつ提供されたかの履歴や、自分の登録情報を確認できるマイナンバーの個人用システムの名称が
「マイナポータル」という名称に統一されました。(今までの仮称「情報提供等記録開示システム」や「マイポータル」など)
★2016.1に運用が開始されるマイナンバー制度では、税や社会保障などの分野での利用を目的として、番号に紐付けされた特定個人情報が、行政機関の間で提供され合うことになっています。番号の不正利用や目的外利用を防ぐ観点から、個人は「マイナポータル」を通じて、自分の情報がいつ、誰が、どのような目的で提供したのかを確認することができるそうです。
★また、行政機関などが持っている自分の特定個人情報が確認できる機能や、一人ひとりに合った行政機関などからのお知らせを表示する機能も盛り込むみたいですね。
★将来的には、引っ越しの際に必要となる各種手続きのワンストップ化や、クレジットカード決済で税金や社会保険料を納付できるサービスなども検討しているらしく、システムの利用ができるようになるのは、マイナンバー開始から1年遅れた2017.1の予定。
★パソコンからだけでなくスマートフォンやタブレット端末からも利用できるほか、高齢者や障害のある人でも利用できるように公的機関などに利用端末を設置することが検討されています。
**** ひとりごと ****
「日本人の平均寿命は男性80.21歳、女性86.61歳で、いずれも過去最高を更新し、男性が初めて80歳を超えたことが、厚生労働省の調査で分かり(2013年度)国際的な比較では女性は2年連続世界一、男性は前年の5位から4位に上昇した。同省はがんなどの死亡率が低下したことが要因とみている」 (日経新聞2014.8記事より)
長生きのリスクがはじまったと数年前より言われていますが、年金制度は終身受給ですから、もし仮に女性が90歳で亡くなると仮定した場合、受給開始年齢を67歳としたならば23年間はずっと年金を受けとれるだろうと予想できます(ただし相続財産として引き継げるのは配偶者同士だけでほかの家族には相続されません、独身だと掛け捨ての可能性も)。
年金制度は支払っている期間も、受給している期間も両方で税金の恩恵をうけることができる上、受給の1/3は国が負担してくれるのですから手厚い制度ともいえますね。 生涯を国にまかせるのもBestな選択肢かもしれませんね^^
★さて添付のカラー世界地図ですが、ピンクは平均寿命80歳以上のところ、オレンジ赤は45歳未満のところ黒は平均寿命が40歳未満のところなのです。アフリカは病気などで早く死亡する確率が高いのです。
“人は病気では死なず、寿命で死ぬ”など言われることもありますが、アフリカ人の2倍生きれる長寿国人としてつまり、年齢は1/2と考え・・・わたしは20代前半❢❔さあ、きもち新入社員、初めの一歩からですね^^
【執筆者: 金田一希世美 税理士・CFP・FP1級技能士】
Webサイト | http://et-inc.jp
◆専業主婦の手続き漏れの救済措置として、2015.4から遡り追納期間が10年に変更!
今までサラリーマンの扶養配偶者で3号被保険者が1号被保険者への切替の手続きを忘れてしまい、保険料未納期間になってしまっていたようなケースがあった場合には、保険料の納付遡り期間は2年間までとされておりそれ以前の期間は納める事ができませんでした。このような場合の救済措置として2015.4から遡り追納期間が10年になりました。(特例期間該当届・特例追納制度)
◆手続き漏れが多いケース
<ケース1>
サラリーマンの夫が、「・退職した・脱サラして自営業を始めた・65歳を超えた・亡くなった・サラリーマンの夫と離婚した」等
<ケース2>
・妻自身の年収が増えて夫の健康保険の被扶養者からはずれた(妻が会社員、夫が専業主夫の場合も同様)
※上記のような場合は、わすれずに、
第3号被保険者から第1号被保険者への切替え手続きが必要です。
◆さかのぼり納付のメリットは?
①未納期間があるため年金加入期間が足らず年金を受け取れないと言う事態を回避できます。たとえ保険料を納めなくとも「特定期間該当届」の手続きをすれば年金額は変わりませんが受給資格期間には算入できます。
②保険料の追納で年金額を増やす事ができます。届出を忘れていた特定期間について「後納・特定保険料納付申込書」の手続きで最大10年分保険料を納める事ができるので年金額に反映されます。
◆マイナンバー個人用サイト⇒「マイナポータル」
さて次に・・・、
★自分のマイナンバーが誰にいつ提供されたかの履歴や、自分の登録情報を確認できるマイナンバーの個人用システムの名称が
「マイナポータル」という名称に統一されました。(今までの仮称「情報提供等記録開示システム」や「マイポータル」など)
★2016.1に運用が開始されるマイナンバー制度では、税や社会保障などの分野での利用を目的として、番号に紐付けされた特定個人情報が、行政機関の間で提供され合うことになっています。番号の不正利用や目的外利用を防ぐ観点から、個人は「マイナポータル」を通じて、自分の情報がいつ、誰が、どのような目的で提供したのかを確認することができるそうです。
★また、行政機関などが持っている自分の特定個人情報が確認できる機能や、一人ひとりに合った行政機関などからのお知らせを表示する機能も盛り込むみたいですね。
★将来的には、引っ越しの際に必要となる各種手続きのワンストップ化や、クレジットカード決済で税金や社会保険料を納付できるサービスなども検討しているらしく、システムの利用ができるようになるのは、マイナンバー開始から1年遅れた2017.1の予定。
★パソコンからだけでなくスマートフォンやタブレット端末からも利用できるほか、高齢者や障害のある人でも利用できるように公的機関などに利用端末を設置することが検討されています。
**** ひとりごと ****
「日本人の平均寿命は男性80.21歳、女性86.61歳で、いずれも過去最高を更新し、男性が初めて80歳を超えたことが、厚生労働省の調査で分かり(2013年度)国際的な比較では女性は2年連続世界一、男性は前年の5位から4位に上昇した。同省はがんなどの死亡率が低下したことが要因とみている」 (日経新聞2014.8記事より)
長生きのリスクがはじまったと数年前より言われていますが、年金制度は終身受給ですから、もし仮に女性が90歳で亡くなると仮定した場合、受給開始年齢を67歳としたならば23年間はずっと年金を受けとれるだろうと予想できます(ただし相続財産として引き継げるのは配偶者同士だけでほかの家族には相続されません、独身だと掛け捨ての可能性も)。
年金制度は支払っている期間も、受給している期間も両方で税金の恩恵をうけることができる上、受給の1/3は国が負担してくれるのですから手厚い制度ともいえますね。 生涯を国にまかせるのもBestな選択肢かもしれませんね^^
★さて添付のカラー世界地図ですが、ピンクは平均寿命80歳以上のところ、オレンジ赤は45歳未満のところ黒は平均寿命が40歳未満のところなのです。アフリカは病気などで早く死亡する確率が高いのです。
“人は病気では死なず、寿命で死ぬ”など言われることもありますが、アフリカ人の2倍生きれる長寿国人としてつまり、年齢は1/2と考え・・・わたしは20代前半❢❔さあ、きもち新入社員、初めの一歩からですね^^
【執筆者: 金田一希世美 税理士・CFP・FP1級技能士】
Webサイト | http://et-inc.jp
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