近年相次いで発生した研究不正行為を受けて文部科学省は、2014.8.26に「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」を策定し、2015.4.1から運用を開始していることは、周知のとおりです。今回は、海外の取組みをご紹介致します。
【1】 欧州:「研究公正に関する欧州行動規範(2011年)」
欧州科学財団(ESF)における欧州22か国の31の資金配分機関・研究機関からの代表者と、40ヵ国の53のアカデミーが検討して作成された文書で、医学、自然科学、人文・社会科学における適切な研究実践に係る欧州における行動規範としての位置付けを持っています。
具体的には、研究者の行動規範として、
誠実性(honesty in communication)
信頼性(reliability in performing research)
客観性(objectivity)
独立性(impartiality and independence)
公開性(openness and accessibility)
等を定め、不正行為には、ねつ造・改ざん・盗用に加えて、利害関係の非開示や秘密保持違反等の利益相反に係る事項も含めています。また、責任ある研究活動の在り方として、データ管理の在り方から論文投稿の在り方に至るまでの原則を定めています。
【2】米国
米国においては、1989年に国立衛生研究所(NIH)が初めて研究不正行為の定義化を行い、同年からRCR教育を要請し、1992年に研究公正局(ORI)を設置しています。2007.8に成立した「米国競争力法」は、大学等の研究機関に対し、申請計画の中で、学部学生・大学院生・ポストドクターに責任ある研究活動と倫理についてのトレーニングコースを受けさせることを義務付けています。さらに、これを受けて、国立科学財団(NSF)は、2010.1から、大学に対して、研究倫理教育プログラムの策定を義務付けています。
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士 松澤公貴】
Webサイト/www.jp-kmao.com
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