2015年2月12日木曜日

[28] 会社法改正のポイント③:M&A編【法務】

2014.6.20に、会社法(平成十七年七月二十六日法律第八十六号)の一部を改正する法律が成立し、2015.5.1から施行されます。
改正法は、多岐に亘っており、ビジネスに与える影響が大きいと予想されています。最終回である今回は、「組織再編」や「M&A」に影響があるポイントに絞り解説致します。
改正9:支配株主の異動を伴う第三者割当による新株発行には株主総会の普通決議が必要
 募集株式の発行等により支配株主が異動する場合において、有価証券報告書を提出していない公開会社は、株主に通知または公告をし、総議決権の10%以上を有する株主が反対の通知をしたときは、株主総会の承認による決議を受けることが義務づけられました(会社法第206条の2第1項から第3項、第244条の2第1項から第4項)。ただし、当該公開会社の財産の状況が著しく悪化している場合において、当該公開会社の事業の継続のため緊急の必要があるときは、株主総会の承認決議は不要です(同法第206条の2第4項、第244条の2第5項)。なお、定款で株式の譲渡制限を規定しているいわゆる非公開会社では、従来から第三者割当による新株発行に株主総会の特別決議が必要です(同法第199条1項、2項)。

改正10:一定の要件を満たす子会社の株式等の譲渡は株主総会の特別決議が必要
子会社株式の譲渡は、親会社にとって実質的に事業譲渡であるとして、一定の場合に株主総会の特別決議が必要となりました(同法第467条1項2号の2)。
改正11:特別支配株主による株式売渡請求(キャッシュ・アウト)制度
総株主の議決権の10分の9を直接・間接に保有する株主(特別支配株主)が、他の株主に対しその保有する株式の売渡しを請求できる制度が新設されました(同法第179条1項)。
改正12:株主による組織再編の差止請求制度
 組織再編が法令または定款に違反する場合で株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、会社に対し、当該行為を止めることを請求することができるようになりました(同法第784条の2、第796条の2、第805条の2)。
改正13:詐害的な会社分割における分割会社の債権者保護
 債権者を害する会社分割が行われた場合に、承継会社に債務の履行を請求することができない分割会社の債権者(残存債権者)は、承継会社に対し、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができるようになりました(第759条4項、第761条6項等)。

会社法改正のポイントは今回で以上です。なお、詳しい内容は、法律の専門家にお問合せ下さい。
【執筆者:公認会計士松澤公貴】Webサイト/
www.jp-kmao.com
<バックナンバー>
会社法改正のポイント①:中小企業編【法務】
http://keiei-economy.blogspot.jp/2015/01/23.html
会社法改正のポイント②:公開会社編【法務】http://keiei-economy.blogspot.jp/2015/02/25.html

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