2015年2月23日月曜日

[31] スキャナ保存制度の規制緩和【規制】


「平成27年度税制改正大綱」の発表により、「納税者の国税関係書類の保存に係るコスト削減等を図る観点からスキャナ保存制度の要件を緩和」することが予定されています。

(1)対象書類の見直し:スキャナ保存の対象となる契約書及び領収書に係る金額基準(現行:3万円 未満)が廃止されます。ただし、この際、重要書類(契約書・領収書等)については、適 正な事務処理の実施を担保する規程の整備と、これに基づき事務処理を実施していること(適正事務処理要件を満たしていること)をスキャナ保存に係る承認の要件としています。
 (注)上記の「適正事務処理要件」とは、内部統制を担保するために、相互牽制制、定期的なチェック及び再発防止策を社内規程等において整備するとともに、これに基づいて事務処理を実施していることをいう。
 (2)業務処理後に保存を行う場合の要件の見直し:重要書類について、業務処理後にスキャナ保存を行う場合に必要とされている関係帳簿の電子保存の承認要件が廃止されます。
 (3)電子署名要件の見直し:スキャナで読み取る際に必要とされている入力者等の電子署名を不要とし、タイムスタンプを付すこととするとともに、入力者等に関する情報の保存が要件となります。
 (4)大きさ情報・カラー保存要件の見直し:重要書類以外の書類について、スキャナで読み取る際に必要とされているその書類の大きさに関する情報の保存を不要とするとともに、カラーでの保存を不要とし、グレースケール(いわゆる「白黒」)での保存でも要件を満たすことが必要です。
経団連の試算では「税務関係書類の紙による保存コストは年間約3,000億円」(平成17年:e-文書法制定当時)とされ、「適正事務処理要件」という内部統制の確立が、具体的な経費削減に結びつくものであり、企業では、自らの内部統制の確立を再点検して、この「適正事務処理要件」の充足に向けた体制整備をする必要があるでしょう。
【執筆者:公認会計士松澤公貴】Webサイト/
www.jp-kmao.com

資料提供:インテリジェントウィルパワー株式会社http://www.tiwc.co.jp

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