2015年5月11日月曜日

[53] 運転資金分析:キャッシュ・コンバージョン・サイクル【経営】

♪だんだん黒字法人が増えてきました…。資金繰りも同時に検証しましょう。

●6年ぶりに黒字法人が増えてきた!
平成25年度の日本の法人数は259万5,903社(前年増6万631社)。資本金1千万円以下法人は85.3%、1千万円超1億円以下は13.8%で、資本金1億円以下の企業が全体の99.1%となっています。そして連結子法人の数を差し引いた258万5,732社のうち赤字法人は68.2%(176万2,596社)なのですが、実は7割を下回ったのは平成19年度(67.1%)以来6年ぶりのことです。(1.8%と微少ですが…。)
~赤字法人・黒字法人~
 業種別の赤字法人割合は、料理飲食旅館業が79.5%で最も高く、繊維工業、出版印刷業、食料品製造業、小売業、その他の製造業、農林水産業の7業種が7割超で、前年度は9業種が7割超で、そのうち2業種が8割超でした。黒字法人の利益処分の内訳を構成比で見ると、社内留保51.1%、支払配当23.0%、法人税額15.3%、その他の社外流出10.6%となっており、社内留保が5割を超えるのは現在の調査基準になってからはじめてだといえます。
~繰欠~
 繰越欠損金は5年連続で減少し、繰越欠損金の残高は68兆6344億円と前年度比4兆4,492億円の減少です。ようやくリーマンショック前の水準に戻ったところです。 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●運転資金の分析のひとつ!
黒字法人とは利益がプラスということですが、資金があるのとは別のことになります。つまり利益が黒字でもキャッシュがなければ経営は苦しいことになり、ます。資金繰りは企業の血液の流れといえ、この重要な健康診断を定期的に行っていかなければなりません。ここでひとつキャッシュ分析の方法をご紹介。
~キャッシュ・コンバージョン・サイクル~
 次の算式で表される仕入から、販売、代金回収までのサイクルタイムのことで、「CCC」或いは「現金循環化日数」などとも呼ばれます。
【計算算式】CCC=棚卸資産回転日数+売上債権回転日数-買掛債務回転日数
この「キャッシュ・コンバージョン・サイクル」の日数が短くなればなるほど、「運転資金が楽になる」ことを示しています。
~売掛金の資金化+買掛金の支払のタイミング~
 計算式からわかるのは「売掛金の資金化」と「買掛金の支払」のサイクルを組み合わせて、会社の必要資金を表しています。例えば、会社が商品を仕入れたのち、販売、売掛金回収という「資金化」のサイクルは、「棚卸資産回転日数+売掛債権回転日数」と表現されます。一方、仕入れた商品の買掛債務の支払いは、上の売掛金回収のタイミングより先行することが通常です。従って、「棚卸資産の回転日数+売上債権回転日数-買掛債務回転日数」に相当する「運転資金」を用意しなければならないということになります。「日数」という分かりやすい表現にすることで「売掛金回収の弱点がどこにあるのか」「何をしなければならないのか」という課題が浮き彫りとなることがこの指標のよいところで、日数をグラフにするなど図表で示したりすると運転資金の流れがより感覚的に理解できます
~CCCを短くするにはどうするか?~
 この「CCC」を短くする施策には次のようなものがあります。
(1) 在庫回転日数を短くする(在庫削減)
(2) 売掛金回転日数を短くする(現金回収を増やすなど取引条件を見直す)
(3) 買掛債務回転日数を長くする(取引条件を緩和してもらう)
~自社の「CCC」の前期比較を見てみる!~
 まず、会社の「CCC」の前期比較を作成して頂くと、資金面での状況変化がわかります。また、業界平均との「CCC」の比較、重要取引先毎、重要商品毎の「CCC」を出してみると、運転資金面での「強み」「弱み」が分かるので、是非活用してみたい経営分析ツールの一つであると言えます。

**** ひとりごと ****
この仕事にながいこと携わっている私ですが、いままで当所のクライアント様で黒字倒産したところも、まして倒産そのものをしたという事業者はいらっしゃいません。これに関しては事業の繁栄とご家族・従業員の安心安全を目指すわたしの想いからして大変にうれしいことです。クライアント様の繁栄とともに自分が頑張れることに感謝の日々です。これからもどうぞよろしくお願いいたします^^

【執筆者: 金田一希世美 税理士・CFP・FP1級技能士】
Webサイト/
http://et-inc.jp

0 件のコメント:

コメントを投稿