2015年5月14日木曜日

[54] 東芝の不適切な会計処理【国内不祥事】

粉飾決算のことをなぜ不適切な会計処理と呼ぶようになったのかはわかりませんが、東芝がこれにより決算発表を延期することになりました。なんでもインフラ工事に係る不正のようで、決算発表は6月まで延期、配当を無配にするとのこと。延期期間が長すぎることもさることながら、無配にするというのには驚きました。

不正の内容は工事進行基準に関係するもので、工事進行基準とは通常は工事が完成したときに売上を計上するところ、工期が長期間に及ぶ工事においては工事の進捗に応じて売上を計上するというものです。
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/kouji-keiyaku/kouji-keiyaku.pdf
この基準を適用する際には想定される工事原価を見積ったうえで、実際に発生した工事原価との比率から進捗度を算定し、これに受注金額を乗じて売上を計上することになります。このような計算により売上が計上されるため、想定される工事原価を実際よりも低く見積もれば、早い段階でより多くの売上を計上することが可能になります。2007年にIHIで同様の粉飾が行われましたが、この時は金融庁からの課徴金が16億円、株主代表訴訟により損害賠償の判決もでました。さて、今回はどうなりますか注目ですね。
【執筆者:公認会計士・税理士 青木重典】


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