2015年5月21日木曜日

[56] 確定給付型企業年金へ移行する企業【経営】 

♪負担が大きい世代間扶養… これも日本のよいところ? 
   

◆企業年金の2つ
企業年金には退職後の支払額が確定している「確定給付型」と、現役時代の支払額(拠出という)のみを退職後の受け取る時に変動させる「確定拠出型」の2種類があります。最近では、「確定拠出型」年金から「確定給付型」年金に移行する企業が増えています。

◆なぜ「確定給付型」なのか
かつて隆盛を誇った「確定拠出型」年金が減少する理由は以下のように考えられます。「確定給付型」と「確定拠出型」の最大の違いは、予定通りにいかないときの運用リスクを誰が引き受けるのか❓という点にあります。
・「確定給付型」・・・企業が引き受ける
・「確定拠出型」・・・運用リスクを従業員個人が引き受ける
つまり「確定給付型」に移行することで従業員のリスクを軽減させ、企業は将来きめられた年金を個人に受給させてあげようとするものです。

◆企業の負担は? 現役従業員にまわってくる…
当初のまま企業の業績が良ければ、年金不足分の拠出は容易です。経済が成長し、配分できる財源が増えるのであれば、増えた財源を現役と退職者で分配すればいいのですから問題はありません。しかし、年金は掛けはじめてから実際に受け取るまでに長期間かかりますから、その間の掛金の運用がうまくいけばいいのですが、予定通りにいかない場合もあります。「確定給付型」年金では、資産運用がうまくいかないときに生じる不足分は企業が負担しなければなりません。ところが、実際のところは企業業績が振るわない中で確定給付型の年金水準を維持するとすれば、これから厳しくなる環境で働いて稼いでもらわなければならない現役従業員の給与を削りながら、すでに会社を離れた退職者に、限られた企業財源を振り向けざるを得ない事態に追い込まれます。

◆世代間扶養の二面性 陰と陽
退職者とすれば年金の対価としての労働は既に提供済みであり、一時金としてもらうこともできた自分の資産を年金という形で受け取っているのですから、約束された年金額を受給するのは当然の権利だと考えます。しかし、現在働いている現役の従業員からすれば、労働の負荷はますます重くなり、私生活においても育ち盛りの子供を抱え生活費が増加するのに、退職者の年金を維持するために自分の給与を減らされるのは釈然としないわけです。

結論、経済全体のパイが増えない状況では、確定給付型年金は限られた財源の奪い合いになり、深刻な世代間対立を引き起こす可能性があるといえます。医療の進歩は人の寿命は延ばし、今後退職する人は百歳まで生きることも不思議ではない時代が到来し、働いている期間より年金をもらう期間の方が長くなる人も増えてくるでしょう。一方、時代の変化は激しく、一昔前の優良企業が瞬く間に存亡の淵に立たされる事例が相次いでいます。どんな優良企業でもその寿命が人間の寿命より長いとは断言できず、企業が人間の生涯にわたる保証を行えると考えるのは、これからは企業の傲慢❓無理あるプライドになるかもしれません。残念ながら、退職後の経済保証をかつて所属した企業に求めることができる時代は終わりはじめている事を認識しなければなりません。運用の自己責任は一層重要になるでしょう。記事(税務研究会 税研情報センター)
**** ひとりごと ****
以前わたしは、年金の世代間扶養には無理があるので反対派でした。なぜなら、かつて戦後の高度経済成長時代には、現在年金を受給されているシルバーの方々がそれこそ企業戦士とも言われながら不眠不休で働き続け、その結果日本企業はどんどん業績を伸ばし景気も上昇していきました。家族も一体になって日本全体が団結していましたね。それで将来の年金給付財源も潤沢であったようにみえました。

しかし単純な話、当時の政府は50年先100年先の人口統計を含めたところのリスクなどを考えておらず、と言いますか、まあそんな先のことどうでもよかったというのが政府の本音でしょうか、年金の運用を結局失敗してしまい世代間扶養のひずみをが表面化する結果になったわけです。ですので、わたしはCFPになった頃に世代間扶養は現在の時代にはミスマッチであるから早々に改善すべきだと思っていました。
でも最近この世代間扶養を、違う角度から見るようになったのです。何かと申しすと…、現在も日本は経済界で世界のトップバッターとしてのゆるぎない立ち位置をもち、その実績と自信があります。日本製品は繊細であり高品質で、技術もはんぱじゃなく高いです。一方日本はもともと農耕民族であったこともあり、周りの人への思いやり団結力がほかの欧米国にくらべて秀でています。つまり日本の世代間扶養の背景には “自国の自信と豊かさ+温情が深くやさしい” というキーポイントがある‼ですので老人保健医療、生活保護、母子家庭、障碍者保護などの諸手当、国民全員年金制度など福祉的制度がとてもあつく、いろいろとみんあで “あ~だこ~だ”と 議論しても言っても変わることがなくずっと続いてるのだろうと…。
世代間扶養と安定志向は、世界経済のトップクラスを築いてきた日本の自信と国民的やさしさなのですね。これは日本人が誇れる文化かもしれません。日本は国民性もふくめてやはり素敵な国ですね^^
【執筆者: 金田一希世美 税理士・CFP・FP1級技能士】
Webサイト |
http://et-inc.jp

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