さて相続税が改正された影響で、自宅だけでも相続税を払わなくてはならない方が増えてきた!と専門誌等では報道し、様々な節税策も喧伝されていますね。
では、今回改正があった相続税基礎控除の4割削減によりどのくらい負担が増えるのでしょうか。実際のところは、首都圏近郊エリアの自宅+現預金2,000万円前後の遺産ですと、相続税の負担はだいたい200万円前後と試算されます。財産をもらっての負担ですから、決して払えない金額ではありませんが、できるだけ節税したいとの気持ちがわからなくもありません。でも、ちょっと不安をあおる広告が多い気もします。
一方、財産は家+現金だけ、相続人は自分ひとりだけとなれば、申告書の作成も自分でできる可能が十分にあります。それを見越してか、最近国税庁では誤りやすい相続税申告の事例を公表しました。“生涯に1回くらいしか経験できない相続税申告、やってやれないことはないはず⁉”
~そのうちいくつかの事例を紹介します~
◆被相続人(亡くなった方のこと)の兄弟姉妹が相続人の時
相続税法では、相続・遺贈で財産を貰った人が一親等の血族及び配偶者以外であれば、計算した相続税にさらに2割加算することになっていますが、兄弟姉妹は二親等の血族ですから2割加算の対象になります。また、孫が相続した場合も、その孫が代襲相続人(親が死亡しているため飛び相続すること)でない場合には、2割加算の対象になることも事例として掲げています。
◆お墓の購入費用に係る借入金
被相続人が借金して350万円のお墓を購入、相続開始時には220万円のローンが残っており、そのローン220万円を相続財産の債務控除して申告できるか?
➣ お墓は非課税財産であるので、非課税財産に関する債務は相続税の計算上債務として差引くことはできません…。
◆未納の固定資産税・住税
相続開始日に(たとえば3/1)、まだ固定資産税と住民税の納税通知書が送付されてきていなかったので、債務控除しなかった。
➣ 固定資産税と住民税の納税義務は毎年1月以降既に成立しているので、納税通知書の有無にかかわらず債務控除ができます。
◆団信生命保険と住宅ローン
団体信用生命保険契約に加入しているにもかかわらず住宅ローンを相続財産から債務控除できる?
➣ 住宅ローンは相続人が支払う必要のない債務なので控除できません。
◆養子縁組と法定相続人の数
相続税の計算に当たっては、養子の法定相続人の数は制限されています。
➣ 被相続人に実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までしかカウントできない。
といった各内容がありました。
もし初めて相続税の申告に挑戦してみようと思った場合には、下書きと仮計算をして最寄りの税務署や会計事務所でチェックしてもらうことが必須です!相続税の計算は金額が大きいのであとから不納付加算税がきたらショックですし、税務署からいつか電話があるかもしれないし、ないかもしれないし。。。と、もんもんとした眠れない日々を避けるためです。
*** あとづけ ***
さて、いつもは税金の徴収側と、節税側の両立場で原稿を書いておりますが、こんどは税金の無駄遣いをチェックする立場があるのをご紹介します。それは憲法上の独立したカッコイイ機関!“会計検査院”なのです。
会計検査院が昨年末に発表した最新報告書では、2014年度に1,000億円を超える税金が各省庁などによって〝ムダ遣い〟された実態を指摘しています。
この年度に発生した税金の無駄遣いや、不適切な経理は570件で、金額にすると1,568億6,701万円だったそうです。そのうち、法律や政令、予算として付けられた目的に違反していた「不当事項」が450件で164億6,537万円、さらに検査院が無駄遣いの改善や制度の見直しを求めた「意見表示」と「改善要求」は49件で721億円!
う~ん、ひどい話だ。。
消費税は所得がない人も同様に払っているし、サラリーマンなどは節税できませんからガラス張りの所得税払っているのに。。。無駄に使うなんて、と言いたいことはいっぱいある!ムダ遣いで最も大きな額を指摘されたのは防衛省の航空自衛隊のレーダー機器に関するものでした。この無駄遣いレーダー機器は総額243億5,267万円だったそうです。
そして・・・“無駄遣い常連さん”は、単独案件の指摘金額では航空自衛隊が最高額ですが、件数ベースで見てみると、厚生労働省が292件で単独で全体の過半数を占めています。同省は過去10年間にわたって毎年もっとも指摘件数が多く、いわば報告書の〝常連〟と言われています。
その指摘項目を見ると、医療費の過大給付が目立ち、計算間違いをはじめ初診料を二重に加算したり、本来と異なる高価な医療行為として誤って給付していたり、さまざまな過誤によって10億円以上の医療費を過大に支出しているそう。
報告書では、社会的に話題となったさまざまなテーマについても取り上げています。新国立競技場をめぐるずさんな管理運営体制が問題となった日本スポーツ振興センター(JSC)では、新国立の建設計画に絡む設計業務などで、書面による正式な契約を交わさないまま業者に多数発注を行っていたことが明らかになっています。
また、STAP細胞論文問題のあった理化学研究所では、同細胞にかかる不正の調査に要した費用は9,170万円、これまでに研究に投じてきた費用が5,324万円だったことを検査院が明らかにしています。
【国】⇒徴収する側、
【国民・法人】⇒納税する側、
【政府関係機関】⇒使用する側、
【会計検査院】⇒監視側
と、みんながそれぞれの立場で考えることができるといいんですがね~💛国税局からの依頼で、私は小学校で年間で数回税金の授業をしますが、
こんな全体のしくみがあり、国の経済的活動が成り立っていることを、理解してくれる子供たちが育つといいなぁ^^と期待しています。
【執筆者:Kyosann 税理士・CFP・FP1級技能士】Webサイト | http://et-inc.jp
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