2016.1.22に政府は、イランに対する経済制裁の解除を閣議了解しています。これは、同国の核合意履行が確認されたことを受けたもので、今後は政治・経済関係の強化を図ることを予定しています。解除されたのは、主に①核関連活動への関与の疑いがある個人や団体、金融機関の資産凍結や入国禁止、②日本企業による石油・ガス分野の新規投資の停止及び③日本の金融機関とイランの銀行との新規の為替業務代行契約の停止があります。なお、核関連活動への関与の疑いが濃い一部の個人や団体に対する資産凍結等の制裁は今後も継続されます。
長年に亘り制裁措置及び海外投資の制限を受けてきたイランでは、インフラの近代化が切望されています。なお、イランの人口は約7,700万人、そのうち約4,300万人は30歳以下と言われています。
外国投資家の保護に関し、イランは2002年に外国投資奨励保護法(FIPPA)が制定されており、大規模なインフラ事業、バイバック契約などの金融スキーム、投資家が事業主となるBOT
(建設・運営・譲渡)事業への外国投資家による投資について定めています。FIPPAに基づき承認される外国投資額に制限はなく、同法に従い事業遂行を目的として設立される会社は、100%海外資本でも良いことになっておっており、承認・登録された外国投資は、没収や国有化に対し補償を受ける権利が与えられるなど、手厚く保護されます。また、FIPPAは、交換可能通貨による利益の本国送還のために、数々の外国為替換算法を設けています。
イランには、多くのフリーゾーンが存在し、フリーゾーン内では、税金や関税が免除され、100%海外資本会社の設立、資本および利益の本国送還も認められています。
このように、ほぼ未開拓の巨大なイラン市場は、今後、日本企業のビジネスにとっても、大きなチャンスを秘めた取引市場といえるでしょう。
経済制裁の詳細は、財務省のWebサイトをご覧ください。http://www.mof.go.jp/international_policy/gaitame_kawase/gaitame/economic_sanctions/list.html
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士 松澤公貴】 Webサイト | www.jp-kmao.com
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