決算書は財務内容を正確に表示することにより、企業の現状の課題を正しく認識し、その課題解決に踏み出すスプリングボードの役割を果たすといわれています。その一例として、上場企業では退職給付会計がありますが、退職給付に関する会計処理は、上場企業と非上場企業で相違があります。そのことは年金基金の処理の違いにも結びついています。
◆上場企業は時価会計?
上場企業では2000年に退職給付会計の改正が行われました。それまでの年金会計は給付を確定している厚生年金基金であっても、原則的に毎年の掛け金を費用処理するだけで、約束した給付と積み立てた資産との差額である積立不足は、貸借対照表には表示されていませんでした。
しかし、改正された退職給付会計では、確定給付年金の積立不足は企業の債務ですから、貸借対照表の負債の部に退職給付引当金としてオンバランスすることが求められたのです。いわば、負債の時価会計といえます。当然、その分自己資本は減少します。その積立不足額は予想していた以上に巨額で、自己資本のほとんどを打ち消してしまうような会社すらありました。
その後も運用環境の好転は望み薄で、確定給付型の厚生年金基金を抱え続ける限り、年金資産の運用成績は悪化することが予想されました。そうなると負債の退職給付引当金は増加し、自己資本を毀損させ続けます。ただでさえ厳しい経営環境の中で、そうした危険性のある制度を抱え続けることは株主が許さず、多くの上場企業は、やむなく積立不足の補填という大きな犠牲を甘受した上で、厚生年金基金の廃止や、401k等の確定拠出型年金への変更に踏み切ったのです。
◆非上場企業は取得原価主義?
しかし、非上場企業では上場企業が採用している退職給付会計そのものが適用されていないので、厚生年金基金の積立不足については完全にブラックボックスになっており、決算書からは全くうかがい知ることはできません。そのことが非上場企業の厚生年金基金の解決の遅れにつながっているのが現状です。
基金の抱える深刻な課題の存在は認識できていても、その課題が自身の決算書に表示されず、しかも課題解決には積立不足の解消というかなり強烈な痛みを伴うものであり、処理を先延ばししたくなるのが内心だったのでしょう。そして、そのうちに相場環境が改善されるかもしれない、などといった期待を抱き続けた結果、事態はますます悪化し、問題は放置されてしまいがちになります。
◆決算書を側面から検討してみる
いずれの経営者も自分の会社の決算書に積立不足額が計上され、自己資本を減少させていれば、何とか解決しなければならないと考えます。非上場企業でも、上場企業と同様の退職給付に関する時価会計が導入されれば、事態が深刻化する前に何らかの処置を施すことができるかもしれません。悪いことは時が経つほど状況が悪化して処理が難しくなります。
決算書に企業の現状の姿を正しく映し出す時価会計は、企業の課題処理を促す有用なツールだと考えることができます。非上場企業は、主として税務基準で決算処理を行うため、どのように時価会計を導入していくのかは難しい問題ですが、経営者は将来の起こり得る経営課題をとらえ、顧問の専門家から積極的にアドバイスを受けたりしながらリスク管理を前倒しで取り組むべき時期がきているといえます。
出典:税務研究会より
【執筆者: Kyosann 税理士・CFP・FP1級技能士】Webサイト | http://et-inc.jp
2014.12現在、日本において67の国・地域に対してビザ免除措置を実施しています。これらの国・地域の人、商用、会議、観光、親族・知人訪問等を目的とする場合には、入国に際してVISAを取得する必要はありません。ただし、日本で報酬を受ける活動に従事する場合又はそれぞれ国毎に決められた短期滞在の期間を超えて滞在する場合にはVISAを取得する必要があります。なお、上陸許可の際に付与される在留期間は、インドネシア、タイ及びブルネイは15日、その他の国・地域については90日となっています。
インドネシア、アイスランド、シンガポール、アイルランド、タイ、アンドラ、マレーシア、イタリア、ブルネイ、エストニア、韓国、オーストリア、台湾、オランダ、香港、キプロス、マカオ、ギリシャ、クロアチア、米国、サンマリノ、カナダ、スイス、スウェーデン、アルゼンチン、スペイン、ウルグアイ、スロバキア、エルサルバドル、スロベニア、グアテマラ、セルビア、コスタリカ、チェコ、スリナム、デンマーク、チリ、ドイツ、ドミニカ共和国、ノルウェー、バハマ、ハンガリー、バルバドス、フィンランド、ホンジュラス、フランス、メキシコ、ブルガリア、ベルギー、オーストラリア、ポーランド、ニュージーランド、ポルトガル、マケドニア旧ユーゴスラビア、イスラエル、マルタ、トルコ、モナコ、アフリカ、ラトビア、チュニジア、リトアニア、モーリシャス、リヒテンシュタイン、レソト、ルーマニア、ルクセンブルク、英国
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士・税理士 松澤公貴】
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◆概要
2014年度税制改正にて、源泉徴収免除制度の対象となる特定の国内源泉所得とは「対象国内源泉所得※」とする改正が行われました。
(※・・・外国法人又は非居住者の恒久的施設に帰せられる国内源泉所得)
1.外国法人の源泉徴収免除制度の対象となる国内源泉所得は、外国法人が2016年4月1日以後に支払を受けるべきものから、
2.非居住者の源泉徴収免除制度の対象となるものは、非居住者が2017年1月1日以後に支払を受けるべきものから、それぞれ適用されます。
これに伴い、従来は源泉徴収免除制度の対象となっておりました「A.国外の本店支店等に帰せられる特定の国内源泉所得」については、適用後は“源泉徴収免除制度の対象となる対象国内源泉所得に該当しない!” こととなります。
◆影響は
2014年改正法によって、改正後に源泉徴収免除制度の対象とならない「A.」については、原則として源泉徴収が行われることになりますので、該当されます方は、ご注意ください。
◆租税条約による免除
ただし、外国法人又は非居住者の居住地国と我が国との間で租税条約が締結されている場合には、その外国法人又は非居住者が支払を受ける所得に対する課税が軽減又は免除される場合があります。
この課税の軽減又は免除を受けようとする場合は、所定事項を記載した届出書をその国内源泉所得の源泉徴収義務者を経由して税務署に提出する必要があります。
◆継続による免除
なお、すでに交付を受けている「源泉徴収の免除証明書」は、新たに、所得税法の規定に基づく「源泉徴収の免除証明書」の交付を受けるまでの間は、有効期限内であれば引き続き使用できます。交付要件に該当しないこととなった場合には、遅滞なく、納税地の所轄税務署長に「外国法人又は非居住者が証明書の交付要件に該当しなくなったことの届出書」を提出するとともに、その証明書の提示先にその旨を通知する必要がありますので、該当されます方は、あわせてご注意ください
※上記の記載内容は、平成28年9月15日現在の情報に基づいて記載しております。今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
【執筆者: Kyosann 税理士・CFP・FP1級技能士】Webサイト | http://et-inc.jp
2016.9.5に公正取引委員会は、介護分野の現状について調査・検討を行い、競争政策上の考え方を整理し、調査報告書を公表しています。公正取引委員会としては、介護分野について検討を行うに当たっては、[1]多様な事業者の新規参入が可能となる環境、[2]事業者が公平な条件の下で競争できる環境、[3]事業者の創意工夫が発揮され得る環境、[4]利用者の選択が適切に行われ得る環境が整っているかといった点が重要であると考えているようです。なお、調査報告書の要旨は、以下のとおりとなっています。
<1> 提供主体等による規制の緩和:特別養護老人ホームの開設主体に係る参入規制については、多様な事業者の新規参入を図るためにこれを撤廃し、医療法人、株式会社等が社会福祉法人と対等の立場で参入できるようにすることが望ましいとし、多様な事業者の新規参入を図る観点から、自治体が設置する特別養護老人ホームにおいて、株式会社等を指定管理者とするように、指定管理者制度を積極的に活用していくべきであるとしています。
<2> 需給調整を目的とした規制の緩和:自治体は、介護保険事業計画等の本来の目的に立ち返り、総量規制を適切に運用すべきであり、あわせて、選定基準を明確化し、客観的な指標に基づいて選定を行うなど、恣意性の排除を図るとともに選定の透明性を高めるべきであるとしています。
<3> 補助制度・税制等の見直し:自治体は、助成・補助に当たっては経営主体による差異を設けないように求める厚生労働省の通知の趣旨を踏まえ、独自に行う補助制度について、法人形態を問わず公平な補助制度とすべきであるとしています。なお、特別養護老人ホームに対する補助は、例えば、低所得者層の自己負担の軽減等といった公益的な役割を果たすために必要な範囲で行われるべきであり、それを超える過剰な補助は好ましく、社福軽減事業についても、導入していない自治体においては、法人形態を問わずに利用できるようにすることが望ましいとしています。また、社会福祉法人に対する税制上の優遇措置等については、基本的枠組みは維持するとしても、株式会社等が提供可能な介護サービスと同一の介護サービスを提供する場合には、その部分について社会福祉法人に対する税制上の優遇措置は除外する方向で検討することが望ましいとしています。
<4> 介護サービス・価格の弾力化:介護サービス事業者間の競争を促進し、介護サービスの効率性の向上や利用者の多様なニーズに応えるためには、混合介護の弾力化を認めることにより、事業者の創意工夫を促し、サービスの多様化を図ることが望ましいとしています。介護付き有料老人ホームの体験入居費について、割引提供を行おうとすると、一部の自治体から値引き提供を禁止する指導が行われるなど、事業者の価格の弾力的な運用を妨げる指導が行われているといった指摘があり、このように、自治体によって制度の解釈や運用が異なると、事業者が十分に創意工夫を発揮できなくなるため、国は、自治体により事業者の創意工夫を妨げるような運用が行われることがないよう、制度の解釈を明確化し、事業者の予見可能性や透明性を高めるべきであるとしています。
<5> 情報公開の促進:事業者には、利用者が入手しやすい方法により、更に積極的な情報公開を行うことを期待したい。国は、介護サービス情報公表制度の抜本的な見直しを含めて、その在り方について検討すべきであるとしています。
<6> 第三者評価の活用:自治体においては、第三者評価の対象となるサービスをできるだけ拡大し、事業者が第三者評価を受審できる体制を整えるとともに、受審を促進するための積極的な施策を講じるべきであるとし、事業者においては、第三者評価の必要性や意義を十分に認識し、積極的な受審や評価結果の公表に努めるべきであるとしています。
詳細は、公正取引委員会のWebサイトをご覧ください(http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h28/sep/160905_1.html)。
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士・税理士 松澤公貴】 Webサイト | www.jp-kmao.com
こんにちは。社会保険労務士のシオンシーです。
昨年度から厚生労働省が「過重労働防止(残業時間削減)」をテーマにしたセミナーを全国で開催しています。
私は、この手のセミナーの講師を年に何回かさせていただくことがあります。昨年に、このセミナーも2回ほど東京近郊の会場でやらせていただきました。
会場によって、50名から100名くらいの方(社長様、役員様、人事系の担当者様)がいらっしゃいます。
厚生労働省は、今年度のセミナーは「過重労働防止(残業時間削減)」に加えて、それが「業績がアップ」に繋がることをテーマとしました。注目は、やはり労働時間を減らして・・・・・「業績アップ!」「そんなことあるのかよー。」という声も聞こえてきそうですが、セミナーでご紹介する事例はヒント盛りだくさんです。
・役員様の覚悟と実践
・従業員を主としたプロジェクト化
・削減した経費の活かし方 など
セミナー自体は基本的な内容と成功事例がメインとなります。専門家として日頃からいろいろな事例に触れていますが、このセミナーで出てくる事例もかなり参考になります。
私は、今回も講師の依頼をいただきましたので、引き続きやらせていただいています。手前味噌ですが、今年度は、昨年度の受講生のアンケートで高評価だった講師を選んでいる、らしいです。私は、昨年より多い会場(全国60会場で開催されるうち、東北から関東甲信越エリアの10会場)を担当させていただいておりますので、参加される場合にはお会いできるかもしれませんね。
でも、自分のスタイルでやっているだけなので講師としての、良いところ悪いところは、自分でも正直分かりません。セミナー講師とは、合う合わないもありますので、期待しないで参加がよいなあ、と思います。
セミナーは無料ですので、お時間ある方はヒントをひとつだけ見つけるつもりで、お近くの会場にお申込みされてはいかがでしょうか。
〈参考:過重労働解消セミナー〉http://partner.lec-jp.com/ti/overwork/
【執筆者:シオンシー/社会保険労務士・ファイナンシャルプランナーAFP】
◆中小企業等の生産性向上の為の法律です!
経営力強化のために適切な計画をする中小企業・小規模事業者等を政府が積極的に支援する法律が施行されました。人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や、設備投資等から、生産性を向上させる計画を作成することと認定された事業者は税務上等、様々な支援措置を受けることができます。
◆固定資産税(償却資産税)が半分に!
中小企業者等が機械装置(新品に限る)を導入する場合で要件を満たすときは、一定の手続きのもとに償却資産税が3年間1/2に軽減となる特例が設けられました。
[要件とは]
➣ 生産性を高める機械装置の取得が対象
② 160万円以上、
②生産性1%向上、
③10年以内に販売開始
※生産性向上設備投資促進税制のA類型から最新モデルを除外しているため、10年以内のものであれば、古いモデルでも対象となります。
※中古機械は対象になりません
◆固定資産税の軽減措置を受ける場合の流れは次のようになります
①経営力向上計画策定時に設備を決定
↓設備メーカーを通じて工業会等による証明書の入手
②主務大臣に計画を申請
↓経営力向上設備等の種類を記載した計画申請書と証明書を提出
③主務大臣より認定される
↓計画認定書と計画申請書の写しが交付される
④償却資産税申告書に書類添付
計画申請書、証明書の写しを添え償却資産税の申告時に提出
※年末までに認定が受けられない場合は減税の期間が2年となります。申請から認定までは最大30日程度要しますので、余裕を持った計画策定が必要となります。
◆その他金融支援
固定資産税減税以外の支援措置として、
①商工中金による低利融資
②中小企業信用保険法の特例
③中小企業投資育成株式会社法の特例
などがあり、購入に際して、円滑な資金調達ができるようになりました
※上記の記載内容は、平成28年7月1日現在の情報に基づいて記載しております。今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
【執筆者: Kyosann 税理士・CFP・FP1級技能士】Webサイト | http://et-inc.jp
2016.9.1に、経済産業省は「ネガワット取引に関するガイドライン」(2015.3月策定)を改定しています。2017年中に予定されているネガワット取引市場の創設により、今後、ネガワット取引が活発化していくことが期待されます。
本ガイドラインは、需要家が節電した電力量(ネガワット)に対し電力会社が対価を支払う「ネガワット取引」に関するガイドラインであり、ネガワット取引の普及に向け、ネガワットの量の評価方法など、取引の実務において重要となる事項について指針を示したものです。なお、今回の改定では、電力会社とネガワット事業者(ネガワットアグリゲーター)との間の取引における基本的なルールをガイドラインに追加する等の変更を行っています。
<主な改定ポイント>
❏ ベースラインの設定方法:市場でのネガワット取引を想定して、ネガワットの量の評価の基準となるベースラインの設定方法が変更されています。
❏ ネガワット調整金:供給力調達のための費用を負担する小売事業者と、ネガワット取引に基づいてその供給力の一部を譲り受けるネガワット事業者との間での利益調整を行うため、ネガワット調整金についての規定が追加されています。
詳細は、経済産業省のWebサイトをご覧ください(http://www.meti.go.jp/press/2016/09/20160901003/20160901003.html)。
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士・税理士 松澤公貴】 Webサイト | www.jp-kmao.com