2014年12月4日木曜日

[10] 相次ぐ政治資金問題と政治資金監査制度の問題点【国内不祥事】

「政治資金規正法」が2007/12月に改正され、国会議員関係政治団体については、あらかじめ、収支報告書、会計帳簿、領収書等について、登録政治資金監査人(政治資金適正化委員会の登録を受けた公認会計士等)による政治資金監査を受けることが義務付けられており、私自身も登録政治資金監査人です。
しかしながら、政治とカネのスキャンダルは後を絶ちません。これは、「国民の不断の監視と批判」に堪える制度として導入された政治資金監査制度にまだまだ乗り越えなければならない問題点が存在するからだと思料します。
第一に、現行制度では、監査対象となる範囲が、「支出」のみに限定され、「収入」及び資産や負債の「残高」は監査の対象となっていません。第二に、現行制度では、登録政治資金監査人は、監査対象につき適正性、適法性について意見を言うことはできません。例えば、政治活動とは無関係な事象(例:家族旅行、SMバーetc.)に支出しても領収書が存在すれば問題なく、政治活動との関連性は問えないことになっています。
このような点を踏まえると、政治資金監査制度は、通常公認会計士が実施する財務諸表監査とは「似て非なるもの」なのです。
ある政治家は、自身のスキャンダルの報道に対し「公認会計士を入れて、きちんと税務処理をしており、何の問題もない。」と回答しています。政治資金監査制度の問題点を理解すれば、少なくとも「何の問題もない。」とは、回答できないのではないでしょうか。

【執筆者:登録政治資金監査人松澤公貴/www.jp-kmao.com

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