2014年12月8日月曜日

[11] おさえておきたい贈与税~今年と来年の精算課税の違い~【国内税務】

◆相続時精算課税の制度とは
 贈与税本来の暦年課税方式(超過累進税率)にかえて、一律20%の税率と特別控除2,500万円がある相続時精算課税制度の適用を受けることができるという制度です。


◆H27年以後の贈与の相続時精算課税の改正
 来年(平成27年)から贈与税改正があることをご存知の方の中には、親族間の資産移転を来年にしようかと考えている方もいらっしゃるかもしれません。今回は、来年(平成27年)以降の贈与から適用される相続時精算課税制度の改正点について確認します。
◆H26年までの相続時精算課税制度
 この制度の適用を受けることができる受贈者・贈与者の要件は次のとおりです。
  (1) もらう人は、
 贈与者の推定相続人(子と、孫でもその代襲相続人のみ)のうち、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること。
  (2) あげる人は、
 贈与をした年の1月1日において65歳以上である者であること。また、この制度を受けようとする(1)は、贈与税の申告期限内(通常は翌年3/15まで)に「相続時精算課税選択届出書」を税務署まで提出します。
◆H27年以後の贈与の精算課税制度
 このもらう人、あげる人の要件が平成27年1月1日以後の贈与から、次のとおり拡充されることになりました。
  (1) もらう人要件の拡充
 あげる人の孫は、H26年までは子の代襲相続人としてあげる人(=孫)ケースでのみが精算課税の適用対象でしたが、H27年からは、その年の1月1日において20歳以上である「孫」であれば、精算課税の適用を受けることができるようになりました。
  (2) あげる人要件の拡充
 改正前の「65歳」の年齢要件が「60歳」に引き下げられました。
 
 この改正により、平成27年からは60歳を迎えたばかりの祖父母が、20歳以上の子・孫の両者に相続時精算課税を適用することができることとなります。具体的には、平成27年以後であれば、昭和30年1月2日以前に生また祖父母が、平成7年1月2日以前に生まれ孫に贈与するケースでも、この制度の適用を受けることができます。つまり、来年の方が適用枠はひろがり税金の面からは柔軟的な検討ができそうです。
【執筆者: 金田一希世美 税理士・CFP・FP1級技能士】

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