2015年8月27日木曜日

[84] 監査法人の交代制【国内不祥事】

東芝が不正会計問題を受けて監査法人の交代制を検討しているようです。

現在は新日本監査法人が監査を担当しており、今回の件に関して会計監査人の責任について明確になっていない段階ではありますが、監査法人の固定化は好ましくないという判断のようです。ただ、新日本監査法人としても経営者が主導した組織的な不正があった会社と今後も継続して契約を続けていくのはなかなか厳しいと思われ、交代自体は既定路線かと思います。
会社と会計監査人の癒着という点では日本では公認会計士法等により監査担当者の交代は5年もしくは7年という形で制度化されていましたが、監査法人実態の交代は制度化されておりません。EUでは2014年に監査法人の継続関与年数を10年に制限することが議会で承認されたようですが、アメリカでは反対意見も多く導入が見送られたようです。
監査法人の交代自体は監査法人及び会社ともに一時的にかなりの負担がかかるとともに、会計監査人は営業活動に重点を置き、監査が後回しになってしまうということも危惧されます。また、大企業の場合取引がグローバル化、複雑化しているので、企業の内容を適切に理解し監査を行うようになるにはある程度の年数がかかると思います。
さらに、監査担当者のローテ―ションが導入されているので、昔のような長年の関係による癒着は起こりづらく、最近は金融庁の目が光っていることもありあまりおかしなことはできないようになっています。会社が独自に監査法人の交代を制度化するのは自由ですが、EUのように制度として導入するのは反対ですね。
【執筆者:公認会計士・税理士 青木重典】

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