2015年末に完成を目指すASEAN経済共同体(ASEAN Economic Community)では、圏内での関税撤廃がほぼ実現します。
ASEAN10ヵ国は、ASEAN6とCLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)から成りますが、CLMVは2015年から89~93%の品目で関税を撤廃し、一部例外を除く、残りの品目も2018年に撤廃します。関税以外の分野では、2014年に「原産地証明書へのFOB価格不記載化」が一定条件のもと実現し、今後、自己証明制度の導入、ASEANシングルウインドウ、規格基準の相互認証などの非関税分野、サービス、投資分野等で自由化・円滑化が期待されています。
AECにより圏内の「モノ」「ヒト」「サービス」の自由化が進み、さらなる経済発展が見込まれます。すなわち、「モノ」の自由化では市場統合による関税を撤廃し、「ヒト」の自由化では熟練労働者の移動を解禁、「サービス」の自由化では、出資の規制緩和などが進む見通しです。
ギリシャ問題で揺れる欧州連合(EU)と比較してみると、一番の大きな違いはAECが経済協力に絞っている点であり、EUはAECに比して法整備や金融政策の統合などより緊密です。また、AECには共通通貨がないため、原則人の行き来は自由ですが、人の移動が限定的になる可能性があります。
AECの発足に伴い、私を含め多くの人は、タイが中心的な役割を担うとみています。タイは、インフラ環境の整備や外資系企業の集積という点で他国に勝っており、地理的優位性もありますが、現在の政情不安はどのように影響するのでしょうか。
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士 松澤公貴】
Webサイト | www.jp-kmao.com
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