2015年10月5日月曜日

[95] 退職金の勤続5年以下は課税額がかわります【国内税務】 

♪役員等で5年以下の勤続ですと退職金の1/2課税はなくなります^^
いつもお世話になっております。

◆節税効果の内容
退職金には節税効果があると喧伝されている理由は次のような事からです。
1.勤続年数に応じて控除をうけることができる!
=退職所得控除額(勤続1~20年…40万/年・勤続20年以上…70万/年)
2.所得金額が1/2になること
退職所得が退職所得控除後“2分の1”になる!
3.所得税は雑所得として一律20%
 


 
=具体例=
・前  提: 退職金の額1,500万円・勤続年数5年
・所得額: 退職所得額650万円
(退職金の額1,500万円-退職所得控除額40万×5年)×1/2
・税額:13万円 (650万円×20%)
★かなり税額は安いですよね。
◆〔渡り〕の人とは
今までこの退職金に対する2分の1課税は、一部外国人役員の給与等の節税に利用される他、特権を持った一部の人が退職後に外郭団体で役員に就任して短期間で退職し、その都度退職金の支給を受ける等の、いわゆる「渡り」と呼ばれる人が上手く利用していました。
◆改正された経緯
役員等の勤続期間5年以下の場合の1/2課税方式は超過累進税率の適用を緩和するためのもので、こういった特殊な事例で適用されることは想定されておらず本旨に反するとの批判が高まり、平成24年度に税制改正がありました。
改正内容⇒ 役員等に就任し、その勤続年数5年以下の当該役員等の期間に対する退職金については、1/2課税は適用しない。なお、平成25年1月1日以後の支給分から適用となっています。
◆すべての法人等に適用
この1/2課税は中小法人であっても適用され、当然使用人から兼務役員になった役員期間も対象です。中小法人では、よく定年前に使用人から兼務役員へ、場合によっては更に本役員(常務等)に昇格をし、5年以下で退職してもらうという事例がよくあります。この場合、役員等の勤続期間が5年以下ですので、役員としての退職金には1/2課税の適用はありませんので、⇒留意が必要です。
そう考えると、5年超勤続させるか、それができない場合には、役員期間の退職金を合理的に算定してできる限り少なくするか等も考えられます。少なくとも、気持や感謝の心だけで根拠なく役員部分の退職金を多くすることは考えものです。

★☆彡 なお、使用人部分の退職金は、勤続期間の有無にかかわらず、2分の1課税は適用されますのでご心配ありません^^
*** あとづけ ***
昨今のCompanyは5年以内であたりまえのように組織編制などして形態を変えており、新設スタートの事業原型が大幅に修正されたり、変更される等が恒常的になっています。会社自体も吸収される、分割される、外国に行く、役員が独立して・・・等で無くなる。

以前のように“今の事業も地道に5年頑張れば必ず目がでます!”なんてことが簡単に言えなくなってきました(笑)
ほんとうそれだけ経済環境はめくるめく変化し、流動性に拍車がかかっています。逆に経営方法を変更した方がいいと思える事はいっぱいあります。

歴史の古い安定した老舗を除くと、新設法人は小回りが利きますので縦横無尽の柔軟的な対応が必要と言えるかもしれません。然るべき5年以内の役員退職で次の会社に移動する!等というのは今後も増えるでしょう。し、実際には退職金の支払いをしない企業も増えることが予想できます。

税法は日本のよき伝統である年功序列による弾痕世代ageの退職金の考えをそのまま踏襲していますが、もしかしたら近い未来は“退職金”という概念すらなくなるかもしれませんね。
余談ですが昨今の大人のひきこもりが、これらの環境へついていけないことがひとつの原因であると指摘されています。しかし残念ながら、嘆きいじけていても、環境は人にあわせようとはしません。ですから人が環境に適合していくか、それを追うのをやめればいいのでしょうから、その人たちは多忙に翻弄されずにゆっくりとり休み、環境とのよき関係を築ける自分を見つけることができれば、また元気になる日が訪れる事でしょう・・・。
【執筆者: Kyosann 税理士・CFP・FP1級技能士】          

0 件のコメント:

コメントを投稿