2015年10月26日月曜日

[101] 経済財政運営と改革の基本方針2015【国内税務】

♪ 政府の方針はいつもの骨太⁈♪
政府の「税制構造改革の基本方針」(骨太の方針)の公表内容は、歳入改革、資産・債務圧縮しながら税制構造改革を進める!です。進行中の成長志向法人税改革は、できるだけ早期に完了することを掲げており、国・地方を合わせた法人実効税率は、2015年度現在の32.11から2016年度に31.33%になる予定ですが、今後の税制改正により法人実効税率20%台まで引き下げることを目指しています。


◆税制の構造改革の内容の特徴
 ①夫婦共働きで子育てをする世帯にとっても、働き方に中立的で、安心して子育てができること
 ②格差が固定化せず、若者が意欲を持って働くことができ、持続的成長を担える社会の実現を目指すこと
 このため、基本方針を踏まえ、速やかに具体的な制度設計の検討に着手し、税制の見直しをできるだけ早期に行うようにし、その際、今後の改革の中心となる個人所得課税については、税収中立の考え方を基本として、総合的・一体的に税負担構造の見直しを行う!としています。
 
◆女性の働きやすさと子育て支援として
女性の活躍推進・子育て支援の観点等を踏まえつつ、多様化する働き方・稼ぎ方等への中立性・公平性を高める。
>具体的には・・・、夫婦共働き世帯に比べ専業主婦世帯が、税制上も社会保険上でも有利である現状は、女性の働き方に対して中立とは言えないことから、配偶者控除の見直しは必至としており、年齢ではなく所得や資産等の経済力を重視しつつ、世代間・世代内の公平を確保するとしています。

◆年金課税と高齢者優遇について
今年(2015年)の税制改正において検討事項として取り上げられていた、年金課税など高齢者に対する優遇税制が見直される模様で
す。
>具体的には・・・、世代間・世代内の公平を確保する観点から、資産格差が次世代における子女教育等の機会格差につながることを避ける必要があることとし、老後扶養の社会化が相当程度進展している実態の中で遺産の社会還元といった観点が重要となっていることを踏まえての見直しも行うようです。
 
◆歳入改革
2017年4月に消費税率10%への引上げの実施予定ですが、それ以外の国民負担増は極力抑制するよう努めると明記しています。今後の動向に注目です。

◆2016年度税制改正に関するアンケート結果を公表
全国法人会総連合(全法連)は、全国の法人会税制委員、役員を中心に実施した「2016年度税制改正に関するアンケート」調査結果を下記のように公表しました。

⦅軽減税率⦆
2016年度税制改正では、消費税の軽減税率の導入が焦点の一つとなると思われますが、どの品目を軽減税率の対象とするかについて、例えば「全ての飲食料品」に軽減税率を適用した場合は1%軽減されるごとに6,600億円が減収になると試算されており、この対象品目の線引きについての回答として、
・「最低限の飲食料品のみにとどめるべき(1)」との回答が46.8%で最も多く、
・次いで「飲食料品全般を対象とすべき(2)」が30.4%、
・「(1)と(2)の中間にする」が12.4%でした。

⦅事業者の軽減税率の計算は?⦆
消費税率10%への引上げに伴い軽減税率が導入された場合、適正な仕入税額の計算には適用税率・税額の記載が必要とされますが、この点についてEU諸国ではインボイス制度を採用していますが、このインボイスの導入については、
・「インボイスを導入すべき」との回答が30.0%、
・「現行の請求書等保存方式の見直し(請求書等に税率区分を追加する等)により対応すべき」が33.7%、
・「わからない」が32.8%となりました。

 ⦅軽減税率が導入された場合の自社で特に懸念される点(2つ選択)⦆
・「煩雑な経理処理」との回答が27.5%、
・次いで「ソフトウェアの変更や新規購入」が20.3%、
・「事務負担の増加による人件費の負担増」が11.7%、
・「軽減税率についての社員教育」が8.1%、
・「適正な価格表示」が6.8%、
・「レジスターなどの新たな設備投資」が3.7%、
・「特に問題はない」が18.4%となっています。
 
⦅中小企業税制の見直し⦆
中小企業に対する法人税の課税ベースの拡大について
・「反対」との回答が48.0%、
・「中小企業について、ある程度課税ベースを拡大することはやむを得ない」が31.2%となりました。

(上記の記載内容は、平成27年10月20日現在の情報に基づいて記載しております。今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません)

*** あとづけ ***
《 ご参考までに、各省庁からの税制改正の要望が次のように公表され出揃っていますよ 》
*経済産業省からの要望は・・・、
(1)未来投資を拡大する成長志向の法人税改革、(2)地域経済再生、中小企業・小規模事業者の活性化、(3)車体課税の抜本的見直しの要望(1)では、法人実効税率の早期の20%台引下げや、企業経営者に「攻めの経営」を促すため、コーポレートガバナンスが強化されている上場企業等を対象に、役員給与における多様な業績連動報酬や株式報酬の導入を促進することを求めています。

*内閣府・・・、
「企業版ふるさと納税」の創設や、国家戦略特区で事業を行う法人に対する所得控除制度の創設などを要望。企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)は、地方公共団体が地方創生、人口減少克服といった国家的課題に対応して行う地方創生事業などを支援するため、これらの事業を行う地方公共団体へ企業が寄附した場合に係る税制上の優遇措置として、現行の損金算入措置に加え、法人税及び法人住民税の税額控除の優遇措置を新たに講じるというものです。

*金融庁・・・、
家計の資産形成の支援と成長資金の供給拡大のため、NISAの更なる利用拡大に向けた利便性向上やマイナンバーの導入に伴う手続きの簡素化、金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大)、「国際金融センター」としての利便性向上と活性化の観点から、日本版スクークに係る非課税措置の恒久化などを要望。

*国土交通省・・・、
(1)空き家の発生を抑制するための特例措置の創設、(2)地方を訪れる外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充、(3)自動車車体課税の見直し、などが要望項目として。空き家発生抑制の特例措置は、旧耐震基準の下で建築された居住用家屋を相続し、相続後一定期間内に耐震リフォーム又は除却を行った場合に、標準工事費の10%を所得税額から控除する特例措置を創設するというものです。

*総務省・・・、
中小企業者等に対する少額減価償却資産における取得価額の損金算入特例措置の延長を要望。同特例制度は、中小企業者等が取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合、資産の年間取得価額の合計額300万円を限度に全額を損金算入できるというもので、今年度でこの特例措置の期限切れを迎えることから、同省が延長を求めたものです。

*厚生労働省・・・、
セルフメディケーションを推進する観点から、「市販薬控除」、「検診控除」など、従来の医療費控除を補完する新しい所得控除の創設を盛り込んでいます。セルフメディケーションは国民自らが自己の健康管理を進めるものですが、例えば、「市販薬控除」は、市販薬を年間1万円以上購入した世帯について、総額から1万円を引いた金額を最大10万円まで所得控除の対象にするというもの。現行制度は自己負担額が10万円を超えない場合には対象とならないため、要指導医薬品及び一般医薬品を用いてセルフメディケーションに取り組んでも医療費控除の対象外となる場合があるため、金額的なハードルを下げて使いやすくする狙いがあります。現行の医療費控除との選択適用となります。

*みなさまに直接関係する項目はございましたか^^;。
【執筆者: 金田一希世美 税理士・CFP・FP1級技能士】 Webサイト |
http://et-inc.jp

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