先日日経新聞にタワーマンションを利用した相続税の節税について国税庁が監視を強化するという記事が出ていました。
今年から始まった相続税の改定により相続に関する課税が強化され、これに対応するため数年前からタワーマンションを利用した節税スキームが富裕層の間で盛んになっているようです。相続にあたっては現金で資産を持っておくよりも不動産で資産を持っていた方が不動産の評価額が減額され、相続税が安くなるというのは一般的には知られています。これがタワーマンションとなるとさらに節税効果が出るのです。マンションの相続税評価上、土地と建物は別々に計算されます。土地はマンションの敷地全体の面積を専有部分の面積で按分して各戸の持分が決まることが一般的です。つまり、高層のマンションほど各戸の土地の持分は小さくなり、評価額も小さくなります。建物の評価額は、階数は関係なく低層階でも高層階でも占有面積に応じて一定となるため高層階の方が時価と評価額の乖離が大きく、節税効果が出ます。
このような富裕層の課税逃れに対して国税庁は監視を強化し、行き過ぎた節税は追徴課税の対象とするという方針のようですが、ある程度しっかりした基準を示さないとそれこそ課税の公平を害することになるので透明性のある対応をしてほしいですね。
【執筆者:公認会計士・税理士 青木重典】
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