2015年11月23日月曜日

[109] 相次ぐ専門家による成年後見制度の悪用【国内不祥事】


成年後見制度とは、認知症、知的障害及び精神障害等の理由により判断能力の不十分な方々は、不動産や預貯金等の財産を管理したり、身のまわりの世話のために介護サービスや施設への入所に関する契約締結したり、遺産分割の協議をする必要があっても、自ら当該事象をすることが困難な状況にあります。また、自分に不利益な契約であっても判断ができずに契約を締結してしまい、悪徳商法の被害にあう虞もあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html#a1)。成年後見人になれるのは家庭裁判所によって選任された人のみであり、多くは親族が務めるが、弁護士、司法書士、社会福祉士、行政書士等の専門家が選任されることもあります。

近年、専門家である成年後見人がその地位を悪用して、自己の権利を主張できない本人の財産を後見人自身のために使う「業務上横領事件」が頻発しています。2014年の被害は計5億6千万円に上り、2015年も悪質な事件が次々に明らかになっています。不正を防ぐチェック体制の甘さを指摘する声も多く、裁判所や弁護士会、司法書士会は防止策を講じ始めていますが、弱者を保護するためにも形式的ではなく有効な防止策となることを望みます。
 

詳細は、最高裁のWebサイトをご覧ください。
http://www.courts.go.jp/about/siryo/kouken/


【執筆者:公認会計士・公認不正検査士 松澤公貴】 Webサイト | www.jp-kmao.com

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