2015年11月5日木曜日

[104] プチ富裕層もそろそろ課税対象になるかも【国内税務】

◆「富裕層」の重点調査
ここ数年、国税庁で公表される税務調査事績は、いわゆる「富裕層」に対しての資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭において実施すると公表しています。そして最近、税務専門誌に突然報道されたところによると、国税当局には「重点管理富裕層名簿」というものがあり、この名簿への登載は、各国税局内部の複数の係の協議の上で、指定されているようです。登載されるのは、周囲の一定の個人(例えば家族など)や法人も含まれ、一体的に管理されている様子。


◆登載の指定基準
該当者と指定される基準には、①形式基準と②実質基準があり、次のようになっています。
①  見込保有資産総額が特に大の者
②  形式基準に該当しないが、一定規模以上の資産をもっていて、かつ、国際的租税回避行為、その他の富裕層固有の問題が想定され、重点管理富裕層として特に指定する必要があると認められる者

◆保有財産からの富裕層の数はどれくらい
一般に資産家とか富裕層とかいう言葉がありますが、どれくらいの人数がいるのでしょうか。ストック(財産規模)からみては近年において次のようないくつかの報告があります!(*なお、フロー(年収入)からみたプチ富裕層は最後のあとづけをみてください)

 《クレディ・スイスのレポート》
・純資産100万ドル以上の日本の富裕層は2,700,000人、
・純資産額5,000万ドル以上の超富裕層は2,887人

《イギリスのナイト・フランのレポート》
・純資産3,000万ドル以上の日本の超富裕層は16,703人としています。

《野村総研の公表》
・純金融資産保有額が1億円以上の日本の富裕層は100.7万世帯、
・純金融資産保有額が5億円以上の日本の超富裕層は5.4万世帯と公表しています

◆超富裕層への課税強化体制整備
国税庁は超富裕層への課税強化として、
・所得税、相続税・贈与税の最高税率のアップ、
・国外送金等調書
・国外証券移管等調書
・国外財産調書制度の施行、財産債務調書制度の一新化、
・マイナンバー制度の導入と、情報捕捉の態勢も整えられ、
・平成27年7月から施行の出国税(国外転出時課税制度)、
・平成28年から施行の金融税制の構造変換と
着実に歩みを進めています。
財産の総額に累進税率を掛ける富裕税の復活も視野にあるのかもしれません。そういうことのための富裕層へのメッセージと言えそうです。

上記の記載内容は、平成27年10月20日現在の情報に基づいて記載しております。今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
*** あとづけ ***
さて、上記に記載した富裕層の基準はストック(財産)からみたものです。しかし、最近ではフロー(年収)からみた富裕層の概念も定着してきています。
世帯収入を基盤とした富裕層の定義について考えてみると、新聞などでは平均的に年収2,000万円以上の方として活用していますが、富裕層の定義としてはあいまいで、年収1,500万円以上とするものや、3,000万円以上の収入を定義とするものなどラインは様々です。最近では富裕層における年収の下限として1000万円以上と言うものもある、プチ富裕層に区分されはじめました。
  
*女性に人気のネイルアートは今まではお金持ちの特権のようなものでしたが
  “短い爪でも楽しめるショートネール!” 
との広告のとおり、多少の高額でも確実にプチ富裕層の主婦を含む女性に広がってきていますね。
しかし・・・、このところだれでも日本の各種税金の負担感を感じはじめているのではないでしょうかね~。個人課税は基本的に所得税・住民税はもちろん社会保険料、近年から10%になる消費税・・・とかかってきます。つまりたぶん、う~ん少なくみても収入の40%以上は国内の税金の支払いに消えていきます。今年から相続税もあがりましたし・・・、専門職という立場というよりわたしも個人的に ‘はぁ~’ とため息。。。 これ以上のコメントは控えておきます(;^ω^)
【執筆者:Kyosann 税理士・CFP・FP1級技能士】 

Webサイト | http://et-inc.jp 

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