企業の「営業秘密」を漏えいしたときの罰則を厳しくする不正競争防止法の改正作業が進んでいますのでご紹介します。
2014.11末、経済産業省の有識者による委員会で、不正取得の未遂行為を新たに処罰対象とすることや、罰金引上げなどが了承され、政府は2015年の通常国会に改正案を提出、2016年度にも施行する方針のようです。なお、不正競争防止法は、企業の「営業秘密」を不正に外部に持出したり、外部の者が取得したりすることを禁じる法律で、日本企業の独自技術などの「営業秘密」が海外企業から狙われる例が増え、特にITの発展により情報が漏れる機会が増加し、政府は、日本産業の国際競争力を守るため制度改革が必要と「遅まきながら」判断したようです。営業秘密に係る近年の主な事件は、
※ 2012年:新日鉄住金が、韓国の鉄鋼会社、ポスコに対し高機能鋼板の製造技術を不正に取得したとして東京地裁に提訴。
※ 2014年:東芝が最先端の半導体技術を不正に韓国メーカーに流出されたとして同じく東京地裁に提訴(2014.12.19東芝が和解成立と発表)。
※ 2014年:横浜地検が、日産自動車の秘密情報を不正にコピーして転職先の会社に持込んだとして、元社員を在宅起訴。
※ 2014年:ベネッセが顧客情報流出し社会問題化、刑事事件に発展。
などがあります。「営業秘密」を漏えいを防止するためには、法改正のみでは限界があります。企業自身も子会社を含めて再度情報管理体制を改めて点検・強化することも必要となるでしょう。なお、法改正の詳細内容はまたの機会に解説致します。
【執筆者:公認会計士松澤公貴】Webサイト/www.jp-kmao.com
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