2014.6.20に、会社法(平成十七年七月二十六日法律第八十六号)の一部を改正する法律が成立し、2015.5.1から施行されます。
改正法は、多岐に亘っており、ビジネスに与える影響が大きいと予想されています。よって、3回に分けてポイントのみ解説致します。1回目は、「中小企業」にも影響があるポイントに絞り解説致します。
改正1:監査役の監査範囲を会計監査に限定している場合の登記義務
定款で株式の譲渡制限を定めている株式会社は、定款で監査役の監査の範囲を会計監査に限定する旨定めることができます。改正法において、監査役の監査の範囲を会計監査に限定する場合はその旨を登記することが義務づけられました(会社法第911条3項17号)。当該登記は、改正会社法の施行後最初に監査役が就退任(重任を含む)する際に行う必要があります。
改正2:多重代表訴訟制度
改正法では、従来の株主代表訴訟に加え、新たに親会社の株主が子会社の役員の責任について一定の要件を満たせば株主代表訴訟ができる制度(多重代表訴訟制度)が設けられました(同法第847条の3第1項)。
改正3:社外役員(取締役・監査役)の資格要件の変更
社外役員については、要件が厳格化され、親会社や兄弟会社の関係者でないことや(同法第2条15号ハ、16号ハ)、関係者の近親者(配偶者または2親等内の親族)ではないことが必要となりました(同法第2条15号ホ、16号ホ)。また、過去10年間当該会社または子会社の業務執行取締役等でなかった者は社外取締役になることができるようになりました(同法第2条15号ロ)。
改正4:責任限定契約を締結できる取締役・監査役の範囲の拡大
業務執行取締役・執行役または支配人その他使用人でない取締役と全ての監査役は、会社との間で責任限定契約を締結することが可能になりました。これに伴い責任限定限度額も、業務執行をしていたか否かで区分する形に変更されました(同法第425条1項)。
改正5:株主名簿等の閲覧等の拒絶事由の削除
株主名簿等の閲覧等の拒絶事由であった「請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、またはこれに従事するものであるとき」が削除されました(同法第125条3項、252条3項)。
次回も引き続き解説致します。なお、詳しい内容は、法律の専門家にお問合せ下さい。
【執筆者:公認会計士松澤公貴】
Webサイト/www.jp-kmao.com
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