2015年4月6日月曜日

[43] 続・IPO不信―IPO企業には朗報だが、投資家には悲報?【国内政経】

2013年12月に公表された金融審議会「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ」報告書では、新規・成長企業の新規上場を促進するために、新規上場時の負担を軽減する提言がされています(http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/risk_money/siryou/20131015/04.pdf)。これに伴い、金融商品取引法及び企業内容等の開示に関する内閣府令等の改正が行われ、新規上場時の負担を軽減する改正が行われています。そして、2015.2.13において平成26年金融商品取引法等改正(1年以内施行)等に係る政令・内閣府令案等を公表しています。これにより新規上場企業においては、従来に比べ下記の事項の負担が軽減されることになっています。

A. 有価証券届出書
[現行] 過去5年分の財務書類の開示・うち直近2年分につき監査証明
[改正] 過去2年分の財務書類の開示・これらにつき監査証明

B. 内部統制報告書
[現行] 上場後、事業年度ごとに監査済部統制報告書の開示
[改正] 上場後3年間は開示する内部統制報告書に対する監査を免除
(ただし、「資本金100億円以上または負債総額1,000億円以上」の企業は対象外)


新規上場企業は、公開会社として相応しい内部管理体制の構築が求められていることは言うまでもありません。所謂オーナー経営から、組織的な企業運営を行うことができる体制を整える必要があります。これは、内部統制監査報告制度において整備、運用、評価が求められる全社レベルの内部統制及び業務プロセスレベルでの内部統制を整備することと異なることはありません。また、これは上場審査においてチェックを受けることになります。従って、上場準備における影響はあくまで「内部統制監査」部分についてであるということになり、不正を看過してもよいという言い訳にはならないのです。IPO不信にならないように、上場企業・取引所・証券会社・監査法人・投資者etc. ステークホルダーが一丸となって不正を看過しないように目を光らせる必要があるのでしょう。
【執筆者:公認会計士松澤公貴】
Webサイト/
www.jp-kmao.com

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