2015年7月6日月曜日

[69] 世界遺産と経済効果【国内政経】

2015.7.5に「明治日本の産業革命遺産」が紆余曲折を経て世界遺産への登録が決定しました。今回は富士山や富岡製糸場と異なり遺産が8県にまたがり、全部で23件がまとめて登録されることになるため、登録を祝うセレモニーが各地で行われていたようです。
さて、世界遺産というとどうしても経済効果に注目が集まりますが、世界遺産に登録されると世界遺産を有する国、地域には、遺産の価値を損なわないように恒久的に保護する義務や責任が生じます。富岡製糸場では経済効果は毎年33億円程度のようですが、建物の保存修理や防災工事、トイレなどの整備に30年で100億円ほどかかるとのことです。その他地元の役所には世界遺産に係る担当部署が設置され、駐車場や道路の整備も必要になります。おそらく経済効果は年々減少していくでしょうし、本当に世界遺産への登録により経済的メリットは得られるのでしょうか。
まあ、当然経済効果が目的ではなく過去の素晴らしい遺産を後世に受け継いでいくということが大目標ではあるのですが。今回の世界遺産は複数地区にまたがっているため維持管理コストもそれなりにかかるでしょうし、よくよく見るとそんなの必要かという資産もあり、個人的には今回の世界遺産は別に登録する必要がないのでは?と思っています。
【執筆者:公認会計士・税理士 青木重典】

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