2015年7月2日木曜日

[68] 相続税の申告の要否チェック&おまけは外国人も相続税【国内税務】

♪ 国税庁サイトで・・・、うちは相続発生する!?♪
   
◆相続税判定の便利ツール!
相続税の申告が必要かどうかをインターネット上で簡単に判定できる「相続税の申告要否判定コーナー」が、国税庁ホームページ上に公開されました。
画面上の指示に従って相続人の人数や財産の価額を入力することで、相続税の申告要否が自動で判定されます。
https://www.keisan.nta.go.jp/sozoku/yohihantei/top#bsctrl
配偶者、子の数、父母、兄弟姉妹の数などを入力して法定相続人の数を確定させ、次に土地、建物・有価証券・現預金・生命保険金といった相続税の対象となる財産の価額を入力します。そして、債務と葬式費用を差し引いた額が相続税の基礎控除額を上回っていたときは、相続税の申告が必要と判定されることになります。
ただし、相続財産を大幅に減らすことができる<小規模宅地の特例>や<配偶者控除>には対応していないため、本当にあくまで「おおよその目安がわかるもの」と考えたほうが良いようです。正確に知るためには、税理士や税務署に見てもらう必要があるでしょう。このコーナーで作成したデータは、相続税の申告書として利用することはできませんが、税務署から「相続税についてのお尋ね」などのタイトルで送られてくる、いわゆる「お尋ね文書」への回答には使えるようです。 


◆外国人にも相続税がかかる?準拠法令について
最近、少しずつこのようなことが身近になってきたことを感じます。

= 国際私法~私法の国際間の抵触を調整 =
「日本に居住(※1)する外国人が亡くなった場合」、あるいは「外国に居住する日本人が亡くなった場合」には、一体どの国の民法などの私法がどのように適用されるかが問題となります。(※1)現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人
このような日本と外国の私法が抵触する状況を解決するためにいちおう「国際私法」という法律があります。日本でも「法の適用に関する通則法」という「国際私法」が設けられています。この「通則法」36条には「相続は被相続人(亡くなった方)の本国法による」と規定されているため、亡くなった方の本国の相続関係の法律が適用されることになります。この適用される国の法律を「準拠法」と言います。

= では日本の相続税法ではどう考えるか? =
国税庁ホームページの質疑応答事例の中に「被相続人が外国人である場合の未分割遺産に対する課税」というものが掲載されていますが、これによると「通則法」36条で相続は本国法によるとされているので、未分割の場合には、その被相続人の本国法による相続分で計算するとされることになるようです。一方で、遺産に係る基礎控除額の計算基礎となる法定相続人や法定相続分については、被相続人が外国人であっても、日本の民法の規定の適用があるものとした場合の法定相続人や法定相続分をもとに相続税の総額を計算することとされています。

⇒ つまり、“未分割財産は外国の相続分で計算し、法定相続人は日本の法律をもとに ⇒ 相続税が計算される!” ということになるようです。
*** ひとりごと ***
ますます進展する「おカネ」「モノ」のグローバル化ですね。日経新聞によれば、家計の外貨建て金融資産が約46兆円となり約7年半ぶりに過去最高となったそうです^^。理由としてあげられているのは
①急速な円安で円建ての評価額が膨らんだこと。
②国内の低金利や円の先安観を背景に海外投資志向も強まったことが挙げられており、特に富裕層の個人資産が増えているとのこと。
③一方で海外からの不動産投資も拡大しているようで、2014年の海外企業による日本の不動産取得額はこれも過去最高の約1兆円で前年の約3倍となっており、国内不動産取引の約2割を占めたそうですよ!
⇒円安を基因とした一連の現象ではありますが、それでも「ヒト」「モノ」「おカネ」のうち、「おカネ」「モノ」の国際間移動についていよいよ障害が少なくなってきたことが実感されるところです。
“ちょっと重要なこと” さらに補足ですが…
1.出国時の含み益課税:それに関連しますが2015年度税制改正で2015年7月から金融資産1億円以上の人に対して、出国する時に含み益を課税される特例が創設されることになりました! 

2.財産債務明細の提出範囲がひろがります:これとあわせて、現行の“財産債務明細書”について記載内容を充実するなどの見直しがされます。
“財産債務明細書”とは、所得金額が年間2,000万円を超える人を対象に、その年12月31日現在の財産や債務の金額などを申告書と一緒に提出するものですが、この“財産債務明細書”を新たに「財産債務調書」として整備し、現行の提出基準である「所得金額が2,000万円超であること」に加えて、「その年の12月31日において有する財産の価額の合計額が3億円以上であること、又は同日において有する国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の対象資産の価額の合計額が1億円以上であること」が提出基準とされることになります。
これは2016年1月1日以後に提出すべき「財産債務調書」から適用されます^^
この「財産債務調書」は、国外資産5,000万円以上の場合に提出する<国外財産調書>とは異なるのですが、同じように「財産債務調書」の提出の有無によって、その後もし発生した場合の所得税又は相続税に係る過少申告加算税等を加減算する特例が講じられことになりました。

* 具体的にはこのようなものです↓
<国外財産調書>について、提出期限内に提出した場合には、そこに記載がある国外財産に関して所得税・相続税の申告漏れが生じたときでも過少申告加算税等が5%軽減されるという優遇措置があります。
 
♪これも今後の動向に一層注目ですね~♪

(上記の記載内容は、平成27年5月7日現在の情報に基づいて記載しております。今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません)
【執筆者: 金田一希世美 税理士・CFP・FP1級技能士】Webサイト |
http://et-inc.jp

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