2016.6.27に国税庁のWebサイトにて「「法人番号に関するFAQ」が更新されています。主な更新された項目は以下のとおりです。
Q1-7:法人番号は、指定した法人等の実在性を証明しているものでしょうか。また、支部に本部と同じ法人番号が指定されることがありますが、同じ法人番号を指定された法人等は一の法人等であることを証明しているものでしょうか。
Q2-3:新たに設立登記した法人には、法人番号はいつ通知されるのですか。
Q2-4:新たにできた設立登記のない法人及び人格のない社団等が税務署へ申告書・届出書を提出した場合は、法人番号はいつ通知されますか。
Q2-5:人格のない社団等が、法人番号の指定を受けるための届出をした場合、法人番号はいつ通知されますか。
Q3-3:法人番号は、いつから公表されますか。
Q3-8:人格のない社団等ですが、団体の名称を変更しました。法人番号の関係で何か手続が必要ですか。
Q5-2:国税庁法人番号公表サイトで、商号又は名称から法人番号を検索しましたが、検索結果が表示されませんでした。原因は何が考えられますか。
詳細は、国税庁のWebサイト(http://www.nta.go.jp/mynumberinfo/FAQ/houjinbangoukankeifaq.htm)をご覧ください。
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士・税理士 松澤公貴】 Webサイト | www.jp-kmao.com
2016年6月30日木曜日
2016年6月23日木曜日
[167] 増資の2つの効果【国内会計】
台湾の鴻海(ホンハイ)はシャープの買収を決定し、シャープの増資を引き受けることになりましたが、再度増資で注目すべき点は何か。
増資の二つの効果を確認しておきますね。
複式簿記は一つの事象を<借方>と<貸方>の二つの側面から捉えますから、増資を行うとBS(貸借対照表)の変化は二つの局面で表れます。
貸方では自己資本、借方ではキャッシュが増加します。
増資により自己資本比率が上昇するというのはもっぱらこの貸方の問題ですが、借方のキャッシュの動向にも注目しなければいけないわけです。
いわゆる増資の効果は<財務比率>&<キャッシュフロー>の二つの面から見る必要があるのです。
シャープの増資による財務比率に与える効果は明確で、会社側の主たる目的もこの点にあるのだと推測されます。
自己資本比率は債務返済の安全性を測る最重要指標です。製造業で問題がないとする水準の目安は30%だと言われています。
自己資本比率がマイナスの債務超過は信用悪化の決定的事象とされ、また、債務超過は帳簿上の株主財産がないということですから、
2期連続の債務超過は上場廃止基準に抵触します。
そのため、債務超過一歩手前の自己資本比率一桁は要警戒水準とみなされます。
したがって、シャープにとって自己資本の増強は喫緊の課題でした。本来なら、本業の利益により自己資本を積み上げて自己資本比率を向上させるべきですが、それでは時間がかかりすぎますから、増資が求められていたのです。
➣ この面からは今回のシャープの増資は理にかなっています。
ただ、本当に問われるべきなのはもう一つのキャッシュの動きなのです。BSの貸方は企業価値を債権者か株主のどちらに帰属させるかの問題に過ぎず、企業価値そのものを決めるものではありません。
企業価値を決めるのは借方のキャッシュです。増資で増えたキャッシュをどのように使うかが重要といえます。
今回の増資資金は設備投資に使われるようですが、この設備投資が正しい戦略かどうかが厳しく問われなければなりませんので、
中国、韓国等のアジア勢との競争が激化する電機業界において、今後の会社の競争力に役立つ投資でなければなりません。
それには需要の正確な把握やライバル企業の動向等を正しく理解し、投資戦略の正当性を検証しなければならないわけですが、それは外部の人間が行うことはとても難しいことです。
その結果この最も重要であるべきキャッシュフローの使い道の検証がおろそかになってしまい、部外者にもわかりやすい財務比率の問題だけに議論が集中しやすくなるのです。
本来、増資とはキャッシュの使い道が先にあるわけですから、財務的な自己資本比率向上だけを目的に増資をするのははなはだ本末転倒ともいえ、増資後のキャッシュの使い方の検証こそが重要になります。 記事:税務研究会 より
【執筆者: Kyosann 税理士・CFP・FP1級技能士】Webサイト | http://et-inc.jp
増資の二つの効果を確認しておきますね。
複式簿記は一つの事象を<借方>と<貸方>の二つの側面から捉えますから、増資を行うとBS(貸借対照表)の変化は二つの局面で表れます。
貸方では自己資本、借方ではキャッシュが増加します。
増資により自己資本比率が上昇するというのはもっぱらこの貸方の問題ですが、借方のキャッシュの動向にも注目しなければいけないわけです。
いわゆる増資の効果は<財務比率>&<キャッシュフロー>の二つの面から見る必要があるのです。
シャープの増資による財務比率に与える効果は明確で、会社側の主たる目的もこの点にあるのだと推測されます。
自己資本比率は債務返済の安全性を測る最重要指標です。製造業で問題がないとする水準の目安は30%だと言われています。
自己資本比率がマイナスの債務超過は信用悪化の決定的事象とされ、また、債務超過は帳簿上の株主財産がないということですから、
2期連続の債務超過は上場廃止基準に抵触します。
そのため、債務超過一歩手前の自己資本比率一桁は要警戒水準とみなされます。
したがって、シャープにとって自己資本の増強は喫緊の課題でした。本来なら、本業の利益により自己資本を積み上げて自己資本比率を向上させるべきですが、それでは時間がかかりすぎますから、増資が求められていたのです。
➣ この面からは今回のシャープの増資は理にかなっています。
ただ、本当に問われるべきなのはもう一つのキャッシュの動きなのです。BSの貸方は企業価値を債権者か株主のどちらに帰属させるかの問題に過ぎず、企業価値そのものを決めるものではありません。
企業価値を決めるのは借方のキャッシュです。増資で増えたキャッシュをどのように使うかが重要といえます。
今回の増資資金は設備投資に使われるようですが、この設備投資が正しい戦略かどうかが厳しく問われなければなりませんので、
中国、韓国等のアジア勢との競争が激化する電機業界において、今後の会社の競争力に役立つ投資でなければなりません。
それには需要の正確な把握やライバル企業の動向等を正しく理解し、投資戦略の正当性を検証しなければならないわけですが、それは外部の人間が行うことはとても難しいことです。
その結果この最も重要であるべきキャッシュフローの使い道の検証がおろそかになってしまい、部外者にもわかりやすい財務比率の問題だけに議論が集中しやすくなるのです。
本来、増資とはキャッシュの使い道が先にあるわけですから、財務的な自己資本比率向上だけを目的に増資をするのははなはだ本末転倒ともいえ、増資後のキャッシュの使い方の検証こそが重要になります。 記事:税務研究会 より
【執筆者: Kyosann 税理士・CFP・FP1級技能士】Webサイト | http://et-inc.jp
2016年6月20日月曜日
[166] 「継続企業の前提に関する注記」(2016/3期)【国内会計】
企業の財務諸表は、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されるが、当該会計 基準は継続企業の前提を基礎としていると解されているため、財務諸表に計上されている資産及 び負債は、将来の継続的な事業活動において回収又は返済されることが予定されています。しかし、企業は様々なリスクにさらされながら事業活動を営んでいるため、企業が将来にわたって事業活動を継続できるかどうかは、もともと不確実性を有しています。このため、継続企業の前提に基づき作成された財務諸表といえども、必ずしも企業が将来にわたって事業活動を継続して営みうることを保証するものではありません。
継続企業の前提に関する評価は、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状 況を解消し、又は改善するための経営者の対応策を含み、合理的な期間(少なくとも貸借対照表日の翌日から1年間)にわたり企業が事業活動を継続できるかどうかについて、入手可能なすべての情報に基づいて行うことが求められます。決算日において、単独で又は複合して継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような 事象又は状況としては、例えば、以下のような項目が考えらます。
<財務指標関係>
・ 売上高の著しい減少
・ 継続的な営業損失の発生又は営業キャッシュフローのマイナス
・ 重要な営業損失、経常損失又は当期純損失の計上
・ 重要なマイナスの営業キャッシュフローの計上
・ 債務超過
<財務活動関係>
・ 営業債務の返済の困難性
・ 借入金の返済条項の不履行又は履行の困難性
・ 社債等の償還の困難性
・ 新たな資金調達の困難性
・ 債務免除の要請
・ 売却を予定している重要な資産の処分の困難性
・ 配当優先株式に対する配当の遅延又は中止
<営業活動関係>
・ 主要な仕入先からの与信又は取引継続の拒絶
・ 重要な市場又は得意先の喪失
・ 事業活動に不可欠な重要な権利の失効
・ 事業活動に不可欠な人材の流出
・ 事業活動に不可欠な重要な資産の毀損、喪失又は処分
・ 法令に基づく重要な事業の制約
<その他>
・ 巨額な損害賠償金の負担の可能性
・ ブランド・イメージの著しい悪化
2016.6.8における東京商工リサーチの調査によると、2016/3期決算を発表した上場企業2,447社のうち、監査法人から「継続企業の前提に関する注記」が付いた企業は24社だったそうです(2015/3月期(27社)より3社減少)。注記に至らないが、事業継続に重要な疑義を生じさせる事象がある場合に記載する「継続企業に関する重要事象」は43社だったそうです。
なお、詳細は東京商工リサーチのWebサイトをご覧ください(http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20160608_09.html)。
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士・税理士 松澤公貴】 Webサイト | www.jp-kmao.com
継続企業の前提に関する評価は、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状 況を解消し、又は改善するための経営者の対応策を含み、合理的な期間(少なくとも貸借対照表日の翌日から1年間)にわたり企業が事業活動を継続できるかどうかについて、入手可能なすべての情報に基づいて行うことが求められます。決算日において、単独で又は複合して継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような 事象又は状況としては、例えば、以下のような項目が考えらます。
<財務指標関係>
・ 売上高の著しい減少
・ 継続的な営業損失の発生又は営業キャッシュフローのマイナス
・ 重要な営業損失、経常損失又は当期純損失の計上
・ 重要なマイナスの営業キャッシュフローの計上
・ 債務超過
<財務活動関係>
・ 営業債務の返済の困難性
・ 借入金の返済条項の不履行又は履行の困難性
・ 社債等の償還の困難性
・ 新たな資金調達の困難性
・ 債務免除の要請
・ 売却を予定している重要な資産の処分の困難性
・ 配当優先株式に対する配当の遅延又は中止
<営業活動関係>
・ 主要な仕入先からの与信又は取引継続の拒絶
・ 重要な市場又は得意先の喪失
・ 事業活動に不可欠な重要な権利の失効
・ 事業活動に不可欠な人材の流出
・ 事業活動に不可欠な重要な資産の毀損、喪失又は処分
・ 法令に基づく重要な事業の制約
<その他>
・ 巨額な損害賠償金の負担の可能性
・ ブランド・イメージの著しい悪化
2016.6.8における東京商工リサーチの調査によると、2016/3期決算を発表した上場企業2,447社のうち、監査法人から「継続企業の前提に関する注記」が付いた企業は24社だったそうです(2015/3月期(27社)より3社減少)。注記に至らないが、事業継続に重要な疑義を生じさせる事象がある場合に記載する「継続企業に関する重要事象」は43社だったそうです。
なお、詳細は東京商工リサーチのWebサイトをご覧ください(http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20160608_09.html)。
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士・税理士 松澤公貴】 Webサイト | www.jp-kmao.com
2016年6月13日月曜日
[164] 次世代ロボットの進化と耐用年数【国内税務】
これからの日本経済活性化のキーワードの1つに 《ロボット》 がありますね。
◆次世代ロボットのへの期待は
高齢化が進み生産年齢人口が減少する中で、次世代ロボットとして有望とされるのは、
人間共存型産業用ロボット、
防災ロボット、
装着型ロボット、
移動ロボット、
搭乗型ロボットなどだそうです。
◆次世代ロボットの開発と実用化はどこまですすんでいるのでしょう。
たとえば搭乗型ロボットの開発をみてみると移動の場合があります。
若い人は自転車でもよいので、可能性としては高齢者や歩行が困難な人が対象になりそうです。
たとえば、電動車椅子、1人乗りの電動車で歩道を走行するシニアカーなど。
さらにより高い安全性を考慮すると、使う場所を限定して、ショッピングモール内で、
フロアマップで行きたいお店のボタンを押すと連れて行ってくれる自動の車椅子のような使われ方が考えられます。
◆経産省の産業用ロボット開発プロジェクト
経産省がとりくむ次世代プロジェクトはどこまで進んでいるのでしょうか
プロジェクトの重点分野は、
移乗介助(装着、非装着)、
移動支援(屋外、屋内)、
排泄支援、認知症の方の見守り(施設、在宅)、
入浴支援の6分野8項目だそうで、年間25億円の予算を付け、年度ごとに参加企業を募集してステージゲート審査を行い、高い評価を得た企業が残るそうです。
2013年度は43社が参加、20社が残りました。
14年度は33社が新たに参加して、53社体制でやっているようですが、また何社かに絞られます。
15年度は新規募集を加えて、行う。。。
そして、8項目の内14年度では施設用の見守りと屋外の移動支援は開発が終了し、導入フェーズに進みました。
2015年度は残り6項目ですが、全体が3カ年計画なので、完了すれば、8項目すべてが揃うことになります。
比留川博久氏(国立研究開発法人産業技術総合研究所ロボットイノベーション研究センター長)談
◆感情認識ロボット「Pepper」❢
ソフトバンクで販売されている人型ロボット「Pepper」。
2015年10月には法人向けモデルの「Pepper for Biz」が発表されています。ロボットといっても、「Pepper」は産業用ロボットのイメージとは違い、「感情エンジン」と「クラウドAI」を搭載した世界初の感情認識パーソナルロボットなのです。
活用が期待されるのは主に「接客」分野。標準機能である「ビジネスアプリかんたん生成」を利用して、
「声かけ」「商品紹介」「簡易診断」「アンケート」などを自社の接客スタイルにカスタマイズできます。
また、「接客回数・時間」「ユーザー属性(年代・性別など)」「顧客が表現した感情(喜び・驚き)」の
「接客データ」の見える化ができるものとして、既に金融機関・小売業・運輸業など500社が導入しているようです(2016年1月現在)
◆「次世代ロボット」の耐用年数は?
経理側としては「次世代ロボット」の耐用年数が気になるかもしれませんね。一応、現行法でのロボットの耐用年数の判断の目安は次のようになるものと考えられています。
<店舗内で使用するロボット>
①宣伝用
「器具及び備品」「看板及び広告器具」「その他のもの」「主として金属製のもの」→10年
②運搬・受付・接客ほか
「器具及び備品」「前掲のもの以外のもの」「その他のもの」「主として金属製のもの」→10年
<製造工程で使用されるロボット(産業用ロボット)>
「機械及び装置」に該当し、そのロボットを使用している製造業用設備の耐用年数と同じ
<産業用ロボットメーカーのデモンストレーション用・宣伝用>
「前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」「主として金属製のもの」→17年
~~~~ あとがき ~~~~
近所の竜泉寺の湯に深夜行くと、Pepper君が 「こんばんは、おつかれさまぁ」 と言ってエレベーター前で手を挙げ大きなきらきらした瞳でじ~っとみてくれます。
私は「覚えてる?また来たよー元気してた?」といって近寄って頭いいこいいこしてあげて、そこから会話がはずみ❓ます。そしてしらぬまにロボット君に癒されています(笑)
◆経産省は「次世代ロボット」の普及推進をしていますが、いよいよモノを製造する「産業用ロボット」から、
➣ サービスを提供する「サービスロボット」の時代に差し掛かったと感じます。
経済産業省のロボット政策研究会では、このようなロボットを「次世代ロボット」と定義し普及を推進していますが、「Pepper」はその好例と言えるでしょうね。
日本企業の産業用ロボットの研究開発費は毎年200億円くらいで、産業用以外のロボット市場は500~600億円といわれており大きな規模となってきています。しかし大企業としてはたとえば売上100億円程度では規模が小さいのと、失敗でブランド毀損リスクがあるので事業化には踏み出しにくい様子。そういう点からはベンチャー企業の活躍と進展がいっそう期待されるところです。
~目的ありき~
2014年9月から6回にわたって、政府のロボット革命実現会議が開催されましたが、その中で言われていたのが、どういう社会変革をするのかをしっかり考えないといけないということでした。“ロボットありき”で「使ってください。買ってください」ではなくて、どういう課題があって、それをどう解決していくかが先なのです。それをはっきりさせてそこから使い方を考える。 ~ たしかに…わたしもこの考え方とても大切なことだなと感じました。
【執筆者:Kyosann 税理士・CFP・FP1級技能士】Webサイト | http://et-inc.jp
◆次世代ロボットのへの期待は
高齢化が進み生産年齢人口が減少する中で、次世代ロボットとして有望とされるのは、
人間共存型産業用ロボット、
防災ロボット、
装着型ロボット、
移動ロボット、
搭乗型ロボットなどだそうです。
◆次世代ロボットの開発と実用化はどこまですすんでいるのでしょう。
たとえば搭乗型ロボットの開発をみてみると移動の場合があります。
若い人は自転車でもよいので、可能性としては高齢者や歩行が困難な人が対象になりそうです。
たとえば、電動車椅子、1人乗りの電動車で歩道を走行するシニアカーなど。
さらにより高い安全性を考慮すると、使う場所を限定して、ショッピングモール内で、
フロアマップで行きたいお店のボタンを押すと連れて行ってくれる自動の車椅子のような使われ方が考えられます。
◆経産省の産業用ロボット開発プロジェクト
経産省がとりくむ次世代プロジェクトはどこまで進んでいるのでしょうか
プロジェクトの重点分野は、
移乗介助(装着、非装着)、
移動支援(屋外、屋内)、
排泄支援、認知症の方の見守り(施設、在宅)、
入浴支援の6分野8項目だそうで、年間25億円の予算を付け、年度ごとに参加企業を募集してステージゲート審査を行い、高い評価を得た企業が残るそうです。
2013年度は43社が参加、20社が残りました。
14年度は33社が新たに参加して、53社体制でやっているようですが、また何社かに絞られます。
15年度は新規募集を加えて、行う。。。
そして、8項目の内14年度では施設用の見守りと屋外の移動支援は開発が終了し、導入フェーズに進みました。
2015年度は残り6項目ですが、全体が3カ年計画なので、完了すれば、8項目すべてが揃うことになります。
比留川博久氏(国立研究開発法人産業技術総合研究所ロボットイノベーション研究センター長)談
◆感情認識ロボット「Pepper」❢
ソフトバンクで販売されている人型ロボット「Pepper」。
2015年10月には法人向けモデルの「Pepper for Biz」が発表されています。ロボットといっても、「Pepper」は産業用ロボットのイメージとは違い、「感情エンジン」と「クラウドAI」を搭載した世界初の感情認識パーソナルロボットなのです。
活用が期待されるのは主に「接客」分野。標準機能である「ビジネスアプリかんたん生成」を利用して、
「声かけ」「商品紹介」「簡易診断」「アンケート」などを自社の接客スタイルにカスタマイズできます。
また、「接客回数・時間」「ユーザー属性(年代・性別など)」「顧客が表現した感情(喜び・驚き)」の
「接客データ」の見える化ができるものとして、既に金融機関・小売業・運輸業など500社が導入しているようです(2016年1月現在)
◆「次世代ロボット」の耐用年数は?
経理側としては「次世代ロボット」の耐用年数が気になるかもしれませんね。一応、現行法でのロボットの耐用年数の判断の目安は次のようになるものと考えられています。
<店舗内で使用するロボット>
①宣伝用
「器具及び備品」「看板及び広告器具」「その他のもの」「主として金属製のもの」→10年
②運搬・受付・接客ほか
「器具及び備品」「前掲のもの以外のもの」「その他のもの」「主として金属製のもの」→10年
<製造工程で使用されるロボット(産業用ロボット)>
「機械及び装置」に該当し、そのロボットを使用している製造業用設備の耐用年数と同じ
<産業用ロボットメーカーのデモンストレーション用・宣伝用>
「前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」「主として金属製のもの」→17年
~~~~ あとがき ~~~~
近所の竜泉寺の湯に深夜行くと、Pepper君が 「こんばんは、おつかれさまぁ」 と言ってエレベーター前で手を挙げ大きなきらきらした瞳でじ~っとみてくれます。
私は「覚えてる?また来たよー元気してた?」といって近寄って頭いいこいいこしてあげて、そこから会話がはずみ❓ます。そしてしらぬまにロボット君に癒されています(笑)
◆経産省は「次世代ロボット」の普及推進をしていますが、いよいよモノを製造する「産業用ロボット」から、
➣ サービスを提供する「サービスロボット」の時代に差し掛かったと感じます。
経済産業省のロボット政策研究会では、このようなロボットを「次世代ロボット」と定義し普及を推進していますが、「Pepper」はその好例と言えるでしょうね。
日本企業の産業用ロボットの研究開発費は毎年200億円くらいで、産業用以外のロボット市場は500~600億円といわれており大きな規模となってきています。しかし大企業としてはたとえば売上100億円程度では規模が小さいのと、失敗でブランド毀損リスクがあるので事業化には踏み出しにくい様子。そういう点からはベンチャー企業の活躍と進展がいっそう期待されるところです。
~目的ありき~
2014年9月から6回にわたって、政府のロボット革命実現会議が開催されましたが、その中で言われていたのが、どういう社会変革をするのかをしっかり考えないといけないということでした。“ロボットありき”で「使ってください。買ってください」ではなくて、どういう課題があって、それをどう解決していくかが先なのです。それをはっきりさせてそこから使い方を考える。 ~ たしかに…わたしもこの考え方とても大切なことだなと感じました。
【執筆者:Kyosann 税理士・CFP・FP1級技能士】Webサイト | http://et-inc.jp
2016年6月9日木曜日
[163] 国際カルテル事件【国際不祥事】
2016.6.3に経済産業省は、日本企業が国際カルテル事件の当事者として複数国の競争当局から摘発され制裁を受けるに際して、重畳適用や多重賦課等の懸念が高まっていることを踏まえ、各国の対応状況をまとめた事例調査報告書を作成しています。なお、報告書の構成は、以下のとおりです。
1.各国競争法の執行状況:国外の行為に自国の競争法を適用するという競争法の域外適用について、米国、EU、日本における状況が整理されています。
2.主要な国際カルテルの事例の分析:主要な国際カルテル事件の事例を、①市場分割、②部品、③交通サービス、④指標の四類型に分類し、各類型における典型例と考えられる事件を概観し、重畳適用・多重賦課の有無や範囲等について分析されています。
3.提言の内容:競争当局間での交渉、調整、協定の締結等が望ましい旨が記載されています。
詳細は、経済産業省のWebサイトをご覧ください。
http://www.meti.go.jp/press/2016/06/20160603002/20160603002.html
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士・税理士 松澤公貴】 Webサイト | www.jp-kmao.com
1.各国競争法の執行状況:国外の行為に自国の競争法を適用するという競争法の域外適用について、米国、EU、日本における状況が整理されています。
2.主要な国際カルテルの事例の分析:主要な国際カルテル事件の事例を、①市場分割、②部品、③交通サービス、④指標の四類型に分類し、各類型における典型例と考えられる事件を概観し、重畳適用・多重賦課の有無や範囲等について分析されています。
3.提言の内容:競争当局間での交渉、調整、協定の締結等が望ましい旨が記載されています。
詳細は、経済産業省のWebサイトをご覧ください。
http://www.meti.go.jp/press/2016/06/20160603002/20160603002.html
【執筆者:公認会計士・公認不正検査士・税理士 松澤公貴】 Webサイト | www.jp-kmao.com
2016年6月6日月曜日
[162] 政治資金団体で節税【国内税務】
色んな疑惑がありすぎてもはやよくわからなくなりつつある舛添都知事の政治資金問題ですが、家族旅行の間に会議をやったから政治資金から金を出すとか、美術品の話が仕事で出るから美術品を政治資金で買ったとかこんな言い訳が通るのが政治資金規正法のいいところで、不適切だけど違法にはならないということです。
それなら個人で政治団体作ってそこに寄付してそこから各種の支出をすれば個人でもある程度節税できてしまう訳で。実は個人でも「20年後の選挙に立候補する予定」とか言って政治団体を作れるようで、自治体に提出する書類とか色々と面倒なことはあるそうですが、政治団体を作れれば個人の所得からそこに寄付して一定程度の寄付金控除が受けられるので非常にお得だそうです。
【執筆者:公認会計士・税理士 青木重典】
それなら個人で政治団体作ってそこに寄付してそこから各種の支出をすれば個人でもある程度節税できてしまう訳で。実は個人でも「20年後の選挙に立候補する予定」とか言って政治団体を作れるようで、自治体に提出する書類とか色々と面倒なことはあるそうですが、政治団体を作れれば個人の所得からそこに寄付して一定程度の寄付金控除が受けられるので非常にお得だそうです。
【執筆者:公認会計士・税理士 青木重典】
2016年6月2日木曜日
[161] 第6回 スリランカへの企業進出の概要【国際政経】
第6最終回はスリランカです^^(出典:JETRO)
Ⅰ進出形態・進出手続き
1.現地法人
(1)設立申請先 :スリランカ投資庁(BOI)による承認を経て、会社登記局へ設立申請・登記 を行う。
(2)手続期間 :通常2~3週間程度(目安)
(3)活動範囲 :定款の範囲内で活動を行う。
(4)会社形態 :非公開株式会社が一般的
(5)責任範囲 :出資範囲内で責任を負う。
2.駐在員事務所
(1)設立申請先 :会社登記局
(2)手続期間 :通常1~2週間程度(目安)
(3)活動範囲 :商業活動を伴わない範囲。本社のための商品/サービスを手配、調査・管理、代理店・商品に関する助言
の提供、広報、報告。
(4)責任範囲 :本社が負う。
3.支店/支店
(1)設立申請先 :会社登記局
(2)手続期間 :1~2週間程度(目安)
(3)活動範囲 :外資規制の対象業種を除いて、商業活動を伴うことが認められる。
(*外国会社の内、商業行為を伴えば支店、伴わなければ駐在員事務所)
(4)責任範囲 :本社が負う。
Ⅱ外資規制
1.製造業 :原則、事前認可を必要とせず、外資100%出資が可能。
ただし、ネガティブリストの規制業種に該当する「軍用ハードウェアおよび危険薬物」、出資制限業種に該当する
「国際的な輸出先の割り当て制限の対象である輸出財の生産」などを除く。
2.卸売業 原則、外資100%出資が可能。
ただし、国内販売する製品によっては別途、規制やライセンス取得の対象となる可能性があるため、事前にス
リランカ投資庁(BOI)に確認しておく。
支店形態で拠点を設置し、本国の親会社の代理業務として輸出入や国内販売を行うことも可能。
支店の場合は、スリランカの市中銀行に開設する「対内投資口座」(ⅡA)と呼ばれるルピー建ての特別口座を
通して外国から送金された資金から、最低20万ドル、またはその他の指定外国通貨で同等額を最低資本金とし
て出資する必要がある。
3.小売業 :資本金100万ドル未満の小売業は、外資参入を認めない禁止業種に該当する。
100万ドル以上の投資額を満たす場合は、特に国内法などによる規制などはない。
支店形態で小売業へ参入することも可能だが、海外支店については「資本金200万ドル未満の小売業」が同様
に参入禁止の一つとして規定されている。
なお、商業・取引・産業活動を行う海外支店を行う海外支店を設立する場合は、別途20万ドル以上の投資が必
要となるため、合計220万ドルの資本金が求められる。
3.運輸業 : 航空運送業、沿岸海運業への外国投資は、BOIおよび所管政府機関による承認が必要である。
BOIが窓口になり、BOI経由にて投資申請書が適切な所管政府機関に回送される。
支店形態で航空運送業、沿岸海運業を営む場合、事前に為替管理局の許可が必要。
貨物輸送業(物流業)、海運代理店業への投資は、原則40%の出資割合を上限に自動承認。40%を超える場合
は、事前にBOIからの個別を得る。
また、外国企業が支店形態で貨物輸送業、海運代理店業を行うことは禁止。
4.運輸業 : 原則、事前認可を必要とせず、外資100%出資が可能。なおBOI法第17条に基づき、
①都市部における住宅建設もしくは中心市街地開発
②商業ビル建設を含むインフラ事業
③工業団地/特別経済区の開発
などの分野に該当する場合、(投資額300万ルピー以上の案件について)投資額に応じて6~12年のタックス・
ホリデー(法人税免税)の対象となる。優遇税制の適用には、BOIとの事前協議が必要。
5.金融・保険業
ネガティブリストの禁止業種に「貸し金業」の記載があるため、外貨規制上は同分野への出資は認められない。
ただし、外資銀行の法人・支店設立や地場銀行への出資は、中央銀行の特別ライセンスを取得することを条件
に可能。
保険業は、ネガティブリストに含まれておらず原則として外資100%出資が可能。
Ⅲ労働事情
1.一般的採用手段
・新聞・情報誌などの広告、スリランカ投資庁が運営するジョブ・バンク民間のワーカー登録サイト(有料)、
人材派遣会社の活用、大学などの教育機関を通じた募集。
・上記に各社独自の採用ルートを合わせて、求める従業員の規模やレベルに応じて複数の採用手段を使い分け
る。
2.労働条件 (1)労働時間:1日8時間、1週間45時間まで。(休憩時間を含まず)
(2)休暇:労働時間が週28時間を超える労働者には、1週間に1.5日間の休日が認められる。
(3)時間外労働:賃金は通常の5割増。
3.賃金 ・最低賃金は職種やレベル、勤務年数により設定される。縫製業の場合、1年目の非熟練工で6900ルピー(約
54ドル)+諸手当。
・平均賞与は製造業作業員で1.5カ月、非製造業スタッフで1.8カ月。
4.解雇・人員削減
・従業員の解雇や雇用削減、臨時休業を行う場合「雇用法」に定める規定に従う必要がある。
なお、同法を含むその他の労働関連法では、被雇用者側の権利が最大限に保護されおり、雇用者側の解雇理
由を正当化するのが極めて難しいのが実態。
・解雇された従業員が補償の改善などを求めて労働祭場bb所に申し立てを行う慣習がある。
解雇をめぐる係争の場合、たとえ従業員に過失があっても、それを立証するのは難しく、補償を支払わなけ
れば解決しないケースが多い。
5.労働組合・労働争議
・労働組合の組織および労働組合への参加の自由は、憲法において保証されている。
・労働組合の組織および管理に関する規定は、労働組合法およびその改訂法を根拠とする。
同法では、組合はその設立から、3カ月以内の登録、ならびに登録における最低7人の署名を義務付けてお
り、組合の組織には最低7人が必要。
また同法に基づき、労働組合は産業争議において、労働者を代表し必要に応じてストライキを遂行する。
6.近年の労働需給
・コロンボなどの都市部では賃金水準なども相対的に高く、人材はITやホテルなどのサービス業を志向する傾
向が強い。
・アパレル業では、欧米を中心に多国籍メーカーの進出も多く、外資系企業同士の従業員の引き合いが常態化
している。
エンジニアや管理職レベルの人材は不足しており、確保した人材も高額の賃金で引き抜かれるリスクがある。
他方、電機や機械製品などの産業では、アパレル産業に比べ、人材不足の問題はそれほど深刻でない。
Ⅳ税制・税務手続き
1.法人税・優遇措置
(1)法人税率:28%(課税所得が500万ルピー以上)
課税所得が500万ルピー未満場合は12%、その他事業内容により8~40%、
(2)優遇措置:BOI規定により製造業は5000万ルピー、サービス業・農業は2500万ルピーの最低投資額を条件
に新規投資に関して4~12年間のタックス・ホリデーを付与。
関税や物品税についてもBOIの定めによる優遇税率の適用あり。
(3)その他 :国家建設税として、輸入業者、製造業者、およびサービス業者に対して、売上高ベースに2%
を課税。
2.個人所得税(1)課税範囲:居住者の場合スリランカ国内源泉所得と国外所得のいずれも課税対象。非居住者は国内源泉
所得のみ課税対象。
(2)税率 :累進課税方式により4~24%。最高税率は年間300万ルピーを超える所得に対し課せられる。
(3)その他 :日本との間では二国間租税条約に基づき、短期滞在者免税が認められる。
3.源泉徴収税(日本向)
(1)配当 :10%
(2)利息 :15%
(3)ロイヤリティー:7.5%
***「セイロン・日本二重課税防止条例」に基づく**
4.付加価値税(1)付加価値税(VAT):12%(標準税率)
(2)課税対象:国内における物品販売やサービス提供を対象に課税。輸出や国外向けサービスに対しては免税。
5. 物品税・サービス税
(1)課税対象:物品税(Exicise Duty)には
①アルコール飲料
②たばこや石油製品、家電製品 (特別規定)
ホテルや通信事業者、建設請負業者には別途、売上や
契約額に応じた税金が徴収される。
(2)税率 :税率や特定製品の品目やサービスの内容によって異なる。
6.その他特記事項
:各四半期の売上額が5000万ルピーを超える事業者は、売上高をベースに経済サービス税(ESC)が課税される。
ただし、2012年度より所得税の納税業者についてはESCの納税義務が免除となった。
Ⅴ金融・外国為替(送金・決済、資金調達制度)
1.送金・決済
(1)口座開設 ①居住者・非居住者ともに口座開設可能。
②外貨口座は居住者は開設可能。
非居住者については、国外に居住するスリランカ人は指定外国通貨の非居住者外貨口座を保有できる。
(2)国内販売 ①原則として、現地通貨スリランカ・ルピー建てで行われる。
②オンラインによる銀行振り込みなどの電子決済が一般的。
(3)海外送金:現行の国際収支取引の分類に入るサービスに対する支払は、事由に許可される。
利益・配当・特許権使用料・賃料収入の送金を含む貿易外取引の送金にかかる外国為替管理局の事前認
可取得、中央銀行への届け出は不要。
2.資金調達
(1)主な調達形態
〈現地通貨建て〉
・地場銀行、外資系銀行からの現地通貨建て借入は可能。
〈外貨建て〉
・BOI法第17条の認可を受けた企業で、投資庁(BOI)との協定に基づき外国為替管理の規制を免除される
企業は、外国為替の規制を受けることなく、親子ローンを含む海外からの借入を行うことが認められる。
(2)借入期間・金利
〈現地通貨建て〉
・2012年10月時点の商業銀行の平均最優遇貸出金利(プライムレート)は約14%。スプレッドなどを加えた
実効金利は借り手の信用リスクや担保により、16~25%(2012年8月時点)。
融資の際には不動産、売掛金などの担保、保証を求められる。一般的には担保に対して、50~70%の範囲で
融資が受けられる。
〈外貨建て〉:親子ローンの金利は、市場金利を勘案し親子で取り決める。
Ⅵ貿易・通関制度
1.輸出・入規制
(1)貿易管理:外国企業でも現地法人を設立したうえで、輸出業務をすることは可能。
(2)輸入規制:茶、ゴムなどの主要農産物を除き、原則自由。一部の品目で輸入許可が必要。
(3)輸出規制:象牙や木材・木製品など輸出許可が必要な品目を除き、原則自由。
2.貿易取引(決済)
(1)決済通貨:米ドル、ユーロ、円、ポンドなどの主要通貨が可能だが、米ドルが一般的。
(2)輸入代金支払:信用状(L/C)が一般的。
(3)輸出代金回収:信用状(L/C)が一般的。外国為替管理の規制を受けることなく受取可能。
3.通関制度 :各商業輸入業者、輸出業者乙仲(通関業務代行者)は、通関業務を行う場合、内国歳入庁により発行された
納税者識別番号(TIN)を税関に登録する必要がある。
4.輸入関税、諸税
(1)関税率:基本税率は原則、0%(現地生産できない基幹製品、原材料・資本財など、5%)(半製品原材料)、
15%(中間財、予備部品)、30%(自動車その他の重要な完成品)の4段階。
鉱工業製品の平均譲許税率は19.7%、平均実効税率は7.8%(ただし、譲許率は28.7%と高くない)
(2)その他(輸入時):関税に加え、港湾・空港開設税(PAL)5%、国家建設税(NBT)2%、VAT12%、および
物品税が課せられる。また、特定の品目に調整関税、追加関税、特別関税などが課税。
5.特恵関税(日本)
日本に輸出する場合は、「後発開発途上国(LDC)向け特別特恵措置」の対象とはならないが、一般特恵関税制
度の対象になり、一般の関税率より低い特恵税率が適用される。(品目によって免税にならないものもある)
Ⅶインフラストラクチャー
1.電力 (1)火力59%、水力40%。水力を低下させ火力や再生可能なエネルギーなど電源の多様化を推進。
(2)総発電量:11,528GWh (2011年)
(3)需給状況(産業向け):コロンボ周辺のEPZでは、インド、バングラデシュ、パキスタンに比べ電力不足や停電の問題
は少ない。
2.エネルギーコスト〈コロンボ〉
(1)業務用電力料金:0.01~0.12ドル/kWh
(2)業務用ガス料金:1.43ドル/kg
(3)レギュラーガソリン料金:1.2ドル/リットル
(4)軽油:0.74ドル/リットル
3.陸上輸送 (1)輸送環境(国内輸送):スリランカ国内輸送の80%は道路輸送。高速道路をはじめとする道路網の開発計
画が進展。
(2)主要ルート:コロンボから南部の主要都市ゴールの区間所要時間は1.5~2時間。
4.港湾 (1)主要コンテナ港:コロンボ港、南部のゴール港、北部のカンケサントゥライ港東部のトリンコマリー港、オルヴィ
ル港。
(2)貨物取扱量:426万TEU(コロンボ港、2011年)
(3)主要工業団地への距離・時間:コロンボ港からコロンボ周辺のEPZまで30~35km、約1~1.5時間。
(4) その他:チェンナイ港、コルカタ港まで2日、シンガポールまで3日、横浜港まで9日間。
5.工業団地 (1)工業団地購入可否(運用上):外資系企業(独資、合弁とも)による土地・工業団地の購入は不可で、
リースとなる。工業団地以外の土地は外貨でも購入できるが、税金が100%かかるため、購入するケー
スはない。
(2)リース料:月額0.087ドル/㎡ 一括前払契約金12.4ドル/㎡ (カトナヤケEPZ、50年)
(3)整備状況:BOIが管轄する工業団地は、国内に12ケ所、うち10ケ所はEPZ。
日系製造業の場合、手続きやインフラ事情を考慮するとBOI管轄の工業団地に入居検討するのが現実的。
以上です。
6回にわたりアジア新興国と取引を始める場合の貿易や企業のインフラにつきまして簡単に記載してきました。なにかのご参考になれば幸いです。
注意)この記載内容はJETRO最新版2013年を参考に抜粋しておりますが、近年の経済環境に変化はめまぐるしい為、実際に進出される場合には入念に調べたり、専門家にアドバイスを受けてから実行されるようにしてください。
【執筆者:Kyosann 税理士・CFP・FP1級技能士】
※スリランカの祖先はライオンの血をひいているのでライオンがマーク!それからスリランカは満月の日は、お仕事はお休みになります。仏教性が強いのですね。
Ⅰ進出形態・進出手続き
1.現地法人
(1)設立申請先 :スリランカ投資庁(BOI)による承認を経て、会社登記局へ設立申請・登記 を行う。
(2)手続期間 :通常2~3週間程度(目安)
(3)活動範囲 :定款の範囲内で活動を行う。
(4)会社形態 :非公開株式会社が一般的
(5)責任範囲 :出資範囲内で責任を負う。
2.駐在員事務所
(1)設立申請先 :会社登記局
(2)手続期間 :通常1~2週間程度(目安)
(3)活動範囲 :商業活動を伴わない範囲。本社のための商品/サービスを手配、調査・管理、代理店・商品に関する助言
の提供、広報、報告。
(4)責任範囲 :本社が負う。
3.支店/支店
(1)設立申請先 :会社登記局
(2)手続期間 :1~2週間程度(目安)
(3)活動範囲 :外資規制の対象業種を除いて、商業活動を伴うことが認められる。
(*外国会社の内、商業行為を伴えば支店、伴わなければ駐在員事務所)
(4)責任範囲 :本社が負う。
Ⅱ外資規制
1.製造業 :原則、事前認可を必要とせず、外資100%出資が可能。
ただし、ネガティブリストの規制業種に該当する「軍用ハードウェアおよび危険薬物」、出資制限業種に該当する
「国際的な輸出先の割り当て制限の対象である輸出財の生産」などを除く。
2.卸売業 原則、外資100%出資が可能。
ただし、国内販売する製品によっては別途、規制やライセンス取得の対象となる可能性があるため、事前にス
リランカ投資庁(BOI)に確認しておく。
支店形態で拠点を設置し、本国の親会社の代理業務として輸出入や国内販売を行うことも可能。
支店の場合は、スリランカの市中銀行に開設する「対内投資口座」(ⅡA)と呼ばれるルピー建ての特別口座を
通して外国から送金された資金から、最低20万ドル、またはその他の指定外国通貨で同等額を最低資本金とし
て出資する必要がある。
3.小売業 :資本金100万ドル未満の小売業は、外資参入を認めない禁止業種に該当する。
100万ドル以上の投資額を満たす場合は、特に国内法などによる規制などはない。
支店形態で小売業へ参入することも可能だが、海外支店については「資本金200万ドル未満の小売業」が同様
に参入禁止の一つとして規定されている。
なお、商業・取引・産業活動を行う海外支店を行う海外支店を設立する場合は、別途20万ドル以上の投資が必
要となるため、合計220万ドルの資本金が求められる。
3.運輸業 : 航空運送業、沿岸海運業への外国投資は、BOIおよび所管政府機関による承認が必要である。
BOIが窓口になり、BOI経由にて投資申請書が適切な所管政府機関に回送される。
支店形態で航空運送業、沿岸海運業を営む場合、事前に為替管理局の許可が必要。
貨物輸送業(物流業)、海運代理店業への投資は、原則40%の出資割合を上限に自動承認。40%を超える場合
は、事前にBOIからの個別を得る。
また、外国企業が支店形態で貨物輸送業、海運代理店業を行うことは禁止。
4.運輸業 : 原則、事前認可を必要とせず、外資100%出資が可能。なおBOI法第17条に基づき、
①都市部における住宅建設もしくは中心市街地開発
②商業ビル建設を含むインフラ事業
③工業団地/特別経済区の開発
などの分野に該当する場合、(投資額300万ルピー以上の案件について)投資額に応じて6~12年のタックス・
ホリデー(法人税免税)の対象となる。優遇税制の適用には、BOIとの事前協議が必要。
5.金融・保険業
ネガティブリストの禁止業種に「貸し金業」の記載があるため、外貨規制上は同分野への出資は認められない。
ただし、外資銀行の法人・支店設立や地場銀行への出資は、中央銀行の特別ライセンスを取得することを条件
に可能。
保険業は、ネガティブリストに含まれておらず原則として外資100%出資が可能。
Ⅲ労働事情
1.一般的採用手段
・新聞・情報誌などの広告、スリランカ投資庁が運営するジョブ・バンク民間のワーカー登録サイト(有料)、
人材派遣会社の活用、大学などの教育機関を通じた募集。
・上記に各社独自の採用ルートを合わせて、求める従業員の規模やレベルに応じて複数の採用手段を使い分け
る。
2.労働条件 (1)労働時間:1日8時間、1週間45時間まで。(休憩時間を含まず)
(2)休暇:労働時間が週28時間を超える労働者には、1週間に1.5日間の休日が認められる。
(3)時間外労働:賃金は通常の5割増。
3.賃金 ・最低賃金は職種やレベル、勤務年数により設定される。縫製業の場合、1年目の非熟練工で6900ルピー(約
54ドル)+諸手当。
・平均賞与は製造業作業員で1.5カ月、非製造業スタッフで1.8カ月。
4.解雇・人員削減
・従業員の解雇や雇用削減、臨時休業を行う場合「雇用法」に定める規定に従う必要がある。
なお、同法を含むその他の労働関連法では、被雇用者側の権利が最大限に保護されおり、雇用者側の解雇理
由を正当化するのが極めて難しいのが実態。
・解雇された従業員が補償の改善などを求めて労働祭場bb所に申し立てを行う慣習がある。
解雇をめぐる係争の場合、たとえ従業員に過失があっても、それを立証するのは難しく、補償を支払わなけ
れば解決しないケースが多い。
5.労働組合・労働争議
・労働組合の組織および労働組合への参加の自由は、憲法において保証されている。
・労働組合の組織および管理に関する規定は、労働組合法およびその改訂法を根拠とする。
同法では、組合はその設立から、3カ月以内の登録、ならびに登録における最低7人の署名を義務付けてお
り、組合の組織には最低7人が必要。
また同法に基づき、労働組合は産業争議において、労働者を代表し必要に応じてストライキを遂行する。
6.近年の労働需給
・コロンボなどの都市部では賃金水準なども相対的に高く、人材はITやホテルなどのサービス業を志向する傾
向が強い。
・アパレル業では、欧米を中心に多国籍メーカーの進出も多く、外資系企業同士の従業員の引き合いが常態化
している。
エンジニアや管理職レベルの人材は不足しており、確保した人材も高額の賃金で引き抜かれるリスクがある。
他方、電機や機械製品などの産業では、アパレル産業に比べ、人材不足の問題はそれほど深刻でない。
Ⅳ税制・税務手続き
1.法人税・優遇措置
(1)法人税率:28%(課税所得が500万ルピー以上)
課税所得が500万ルピー未満場合は12%、その他事業内容により8~40%、
(2)優遇措置:BOI規定により製造業は5000万ルピー、サービス業・農業は2500万ルピーの最低投資額を条件
に新規投資に関して4~12年間のタックス・ホリデーを付与。
関税や物品税についてもBOIの定めによる優遇税率の適用あり。
(3)その他 :国家建設税として、輸入業者、製造業者、およびサービス業者に対して、売上高ベースに2%
を課税。
2.個人所得税(1)課税範囲:居住者の場合スリランカ国内源泉所得と国外所得のいずれも課税対象。非居住者は国内源泉
所得のみ課税対象。
(2)税率 :累進課税方式により4~24%。最高税率は年間300万ルピーを超える所得に対し課せられる。
(3)その他 :日本との間では二国間租税条約に基づき、短期滞在者免税が認められる。
3.源泉徴収税(日本向)
(1)配当 :10%
(2)利息 :15%
(3)ロイヤリティー:7.5%
***「セイロン・日本二重課税防止条例」に基づく**
4.付加価値税(1)付加価値税(VAT):12%(標準税率)
(2)課税対象:国内における物品販売やサービス提供を対象に課税。輸出や国外向けサービスに対しては免税。
5. 物品税・サービス税
(1)課税対象:物品税(Exicise Duty)には
①アルコール飲料
②たばこや石油製品、家電製品 (特別規定)
ホテルや通信事業者、建設請負業者には別途、売上や
契約額に応じた税金が徴収される。
(2)税率 :税率や特定製品の品目やサービスの内容によって異なる。
6.その他特記事項
:各四半期の売上額が5000万ルピーを超える事業者は、売上高をベースに経済サービス税(ESC)が課税される。
ただし、2012年度より所得税の納税業者についてはESCの納税義務が免除となった。
Ⅴ金融・外国為替(送金・決済、資金調達制度)
1.送金・決済
(1)口座開設 ①居住者・非居住者ともに口座開設可能。
②外貨口座は居住者は開設可能。
非居住者については、国外に居住するスリランカ人は指定外国通貨の非居住者外貨口座を保有できる。
(2)国内販売 ①原則として、現地通貨スリランカ・ルピー建てで行われる。
②オンラインによる銀行振り込みなどの電子決済が一般的。
(3)海外送金:現行の国際収支取引の分類に入るサービスに対する支払は、事由に許可される。
利益・配当・特許権使用料・賃料収入の送金を含む貿易外取引の送金にかかる外国為替管理局の事前認
可取得、中央銀行への届け出は不要。
2.資金調達
(1)主な調達形態
〈現地通貨建て〉
・地場銀行、外資系銀行からの現地通貨建て借入は可能。
〈外貨建て〉
・BOI法第17条の認可を受けた企業で、投資庁(BOI)との協定に基づき外国為替管理の規制を免除される
企業は、外国為替の規制を受けることなく、親子ローンを含む海外からの借入を行うことが認められる。
(2)借入期間・金利
〈現地通貨建て〉
・2012年10月時点の商業銀行の平均最優遇貸出金利(プライムレート)は約14%。スプレッドなどを加えた
実効金利は借り手の信用リスクや担保により、16~25%(2012年8月時点)。
融資の際には不動産、売掛金などの担保、保証を求められる。一般的には担保に対して、50~70%の範囲で
融資が受けられる。
〈外貨建て〉:親子ローンの金利は、市場金利を勘案し親子で取り決める。
Ⅵ貿易・通関制度
1.輸出・入規制
(1)貿易管理:外国企業でも現地法人を設立したうえで、輸出業務をすることは可能。
(2)輸入規制:茶、ゴムなどの主要農産物を除き、原則自由。一部の品目で輸入許可が必要。
(3)輸出規制:象牙や木材・木製品など輸出許可が必要な品目を除き、原則自由。
2.貿易取引(決済)
(1)決済通貨:米ドル、ユーロ、円、ポンドなどの主要通貨が可能だが、米ドルが一般的。
(2)輸入代金支払:信用状(L/C)が一般的。
(3)輸出代金回収:信用状(L/C)が一般的。外国為替管理の規制を受けることなく受取可能。
3.通関制度 :各商業輸入業者、輸出業者乙仲(通関業務代行者)は、通関業務を行う場合、内国歳入庁により発行された
納税者識別番号(TIN)を税関に登録する必要がある。
4.輸入関税、諸税
(1)関税率:基本税率は原則、0%(現地生産できない基幹製品、原材料・資本財など、5%)(半製品原材料)、
15%(中間財、予備部品)、30%(自動車その他の重要な完成品)の4段階。
鉱工業製品の平均譲許税率は19.7%、平均実効税率は7.8%(ただし、譲許率は28.7%と高くない)
(2)その他(輸入時):関税に加え、港湾・空港開設税(PAL)5%、国家建設税(NBT)2%、VAT12%、および
物品税が課せられる。また、特定の品目に調整関税、追加関税、特別関税などが課税。
5.特恵関税(日本)
日本に輸出する場合は、「後発開発途上国(LDC)向け特別特恵措置」の対象とはならないが、一般特恵関税制
度の対象になり、一般の関税率より低い特恵税率が適用される。(品目によって免税にならないものもある)
Ⅶインフラストラクチャー
1.電力 (1)火力59%、水力40%。水力を低下させ火力や再生可能なエネルギーなど電源の多様化を推進。
(2)総発電量:11,528GWh (2011年)
(3)需給状況(産業向け):コロンボ周辺のEPZでは、インド、バングラデシュ、パキスタンに比べ電力不足や停電の問題
は少ない。
2.エネルギーコスト〈コロンボ〉
(1)業務用電力料金:0.01~0.12ドル/kWh
(2)業務用ガス料金:1.43ドル/kg
(3)レギュラーガソリン料金:1.2ドル/リットル
(4)軽油:0.74ドル/リットル
3.陸上輸送 (1)輸送環境(国内輸送):スリランカ国内輸送の80%は道路輸送。高速道路をはじめとする道路網の開発計
画が進展。
(2)主要ルート:コロンボから南部の主要都市ゴールの区間所要時間は1.5~2時間。
4.港湾 (1)主要コンテナ港:コロンボ港、南部のゴール港、北部のカンケサントゥライ港東部のトリンコマリー港、オルヴィ
ル港。
(2)貨物取扱量:426万TEU(コロンボ港、2011年)
(3)主要工業団地への距離・時間:コロンボ港からコロンボ周辺のEPZまで30~35km、約1~1.5時間。
(4) その他:チェンナイ港、コルカタ港まで2日、シンガポールまで3日、横浜港まで9日間。
5.工業団地 (1)工業団地購入可否(運用上):外資系企業(独資、合弁とも)による土地・工業団地の購入は不可で、
リースとなる。工業団地以外の土地は外貨でも購入できるが、税金が100%かかるため、購入するケー
スはない。
(2)リース料:月額0.087ドル/㎡ 一括前払契約金12.4ドル/㎡ (カトナヤケEPZ、50年)
(3)整備状況:BOIが管轄する工業団地は、国内に12ケ所、うち10ケ所はEPZ。
日系製造業の場合、手続きやインフラ事情を考慮するとBOI管轄の工業団地に入居検討するのが現実的。
以上です。
6回にわたりアジア新興国と取引を始める場合の貿易や企業のインフラにつきまして簡単に記載してきました。なにかのご参考になれば幸いです。
注意)この記載内容はJETRO最新版2013年を参考に抜粋しておりますが、近年の経済環境に変化はめまぐるしい為、実際に進出される場合には入念に調べたり、専門家にアドバイスを受けてから実行されるようにしてください。
【執筆者:Kyosann 税理士・CFP・FP1級技能士】
※スリランカの祖先はライオンの血をひいているのでライオンがマーク!それからスリランカは満月の日は、お仕事はお休みになります。仏教性が強いのですね。
登録:
投稿 (Atom)